白熱したコロシアムで死闘を繰り広げる小人サイズの美少女ロボ。
やがて試合に勝利すると、美少女ロボは主である夢旅人へと近づいた。
(うん、今日も絶好調だな)
(いいえ、これもマスターのおかげです! 私、マスターのような強くて優しくてたくましい方の神姫になれて本当に良かったです…これからもよろしくお願いします、マスター!)
(何て健気なんだ…さすがは俺の嫁だー!!)
嬉し涙で顔を濡らしながら、夢旅人は美少女ロボットを抱き締めるのであった…。
「――って、何とんでもない想像してんだお前らぁぁぁーーーーっ!!! あっちの作者に変なレッテル張らせる気かぁ!!!」
いろいろと誤解を生みかねない妄想に、クウは怒鳴り散らしながら全員の脳裏から妄想を追い払う。
そのおかげで全員我に返ると、大人としてスピカが頭を下げた。
「そ、そうよね!? ごめんなさい、つい…」
「待たせたなー!!」
その時、丁度いいタイミングでようやくオルガがやってきた。
「オルガ、主催なのに何し――ブーーーーーーッ!!!」
「オルガ!? お、お前…それは…!!」
珍しく噴き出すルキルの隣では、リクもまた唖然としている。
それもそうだろ…オルガの衣装は全体が黒いスーツに加え、何やら周りにはメカメカしい装甲を付けている。更に、水色のショートの鬘と赤のカラーコンタクトをしている。
「似合うか?」
「まさかの女装ーーーっ!!?」
ストラーフMk.2型のコスプレにシャオが絶叫を上げていると、オルガはやれやれと肩を竦めた。
「あのなぁ。女が男装している今の時代、男でも女性キャラをコスプレするもんだぜ。なっ、ウィド!!」
「………」
ここで全員、オルガの後ろに隠れていた人物に気付く。
そう。オルガと同じように全体が白い衣装にメカメカしい装甲をつけたウィドに。
「そそそその後ろにいるの、まさか…!!」
「ウィド、さん…?」
オルガと同じコスプレにクウとレイアが目を丸くすると、アーンヴァルMk.2型の衣装を纏ったウィドは顔を俯かせたまま呟いた。
「…らえ…」
何やら小さく呟くと、顔を上げて虚ろな目で笑みを浮かべた。
「笑え……笑いたければ笑えぇ!!! うあああああっ!!!」
この仕打ちにとうとう耐えれなくなったのか、頭を押さえウィドは発狂してしまう。
オルガに無理やり着せられたのが嫌でも分かる。だが、全員は笑う事はしなかった。
「『笑え』と言われても…」
「女にしか見えねぇ…!!」
「うん…私達の目から見ても、ウィドさん凄い美人だよ…」
「男って言われても半信半疑になるぞ…」
「ウィドは昔からよく女の子に間違えられてたけど、今でもこうだと思わなかったわ。ホント、どうして弟として産まれて来たのかしら?」
「姉さんまで感心しないでください!? 笑われた方がまだマシだぁぁぁ!!!」
シャオ、クウ、カイリ、テラ、スピカの悪意の無い言葉に、終いには泣きながら絶叫を上げる。だが、髪が銀色である事と胸が無い所を抜かせば完全に見た目はアーンヴァルである。
誰もが何とも言えない目で滅多にお目に掛かれない悲惨なウィドを見ていると、全員のコスプレも終わってオルガが纏めに入った。
「とにかく、今回のコスプレ企画はこれで終わるが…――みんな、どうだった?」
「凄く楽しかった!」
「うん! 他のキャラの衣装を着るだけで、こんなに楽しいとは思わなかった!」
笑顔でソラとカイリが感想を言うと、アクアとテラも頷いた。
「普段着には適しないけど、この衣装は戦いやすいと思ったわ。何時もの服よりも、気分が違うし」
「そうだな。コスプレと言う言い方だと抵抗があるが、何時もと違う服を着るのは楽しいな」
「そうね。いっその事、本編ではさっきのライトニングの衣装で登場しようかしら?」
「ただでさえ強いのに、そんな衣装着たら余計に強くなりそうだから止めてくれ…!」
気に入ったのか衣装を持ち帰ろうとするスピカを、クウは必死で止める。
これらの感想を聞き終えると、オルガは満面の笑みでカメラに向かって手を振った。
「コスプレイヤーにとって励みになる感想ありがとうな!! じゃあな、読者の皆!! これからも夢旅人をよろしくな!!」
これにて、コスプレ大会は終了―――に思われた。
オパールからの一言がなければ。
「ねえ、オルガ! カイリと相談したんだけど、あたし達どうしても着てみたい服があるの!」
「いいぜ! で、何の衣装だ?」
突然の申し出にも関わらず、オルガは返事一つで了承する。
すると、オパールはカイリと共に“ある人物”に人差し指を突き付けた。
「「あのね…ソラ(リク)の服っ!!」」
「「はいっ!?」」
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