出現した竜をラクラたちに任せ、先に進んだ伽藍たちはスピードを衰えずに移動している。
竜の気配はまだ感じないが、空気が変わったのは誰でも理解していた。
そんな中でゼツは先方を進んでいる伽藍に声を投げかける。
「おい、伽藍! このまま全速で進む気か?」
「できればそうしたいな。もうあの竜のテリトリーだから、な」
「でも、竜って1体だけじゃないの?」
「……どうだろうな」
ヴァイの問いかけに、伽藍は曇った言葉で応じた。
その言葉に皆の不安が過ぎる中で、ヘカテーは思わず動きを止め、上の方を仰いだ。
彼女の様子に伽藍たちは動きを止め、シンクは戸惑いながらも声をかける。
「! ヘカテーどうしたの?」
「―――来る」
『!!』
皆がその声に驚愕の色を見せ、彼女が仰いだ上の景色――眩しい陽光を照らす太陽と砂漠からその気配が現れる。
太陽の中から一つの影が現れる。次第に巨大になっていくその影がこちらへと降りてきた。
「ッ! 伽藍さん、皆さんはこのまま先へ急いでください! 此処は僕とヘカテーで抑えます!!」
そう吼えながらシンクは一瞬のうちに黒金の拳銃にしては巨大な銃を取り出して、その影へと撃ち込んでいた。
撃った魔弾は超凝縮された弾丸で、着弾すると大爆発を生じる爆炎が迫った影を飲み込む。
「よし、いくぞ!」
「無理しちゃだめだからね!」
それを見計らって、伽藍たちはそのまま先へと進んでいった。
シンクに続いて、ヘカテーも金色に染まった、先端に幾つもの連環がついた杖を取り出して臨戦態勢になり、無数の光弾を影のあった方へ一斉に放射する。
すると、爆炎と爆風を突きぬけ、影の正体が露になった。禍々しいまでの姿をし、赤く輝く血脈が体表に現れた巨大な竜が二人の前に咆哮を放つ。
「これが伽藍さんの言っていた、竜…!」
想像を絶する威圧を前に、シンクは息を呑むも銃口は決して逸らさなかった。
ヘカテーも同様に、杖を強く握り締めて威圧に耐えしのいだ。
「ヘカテー、此処はこの世界の地形を利用して戦おう。僕がなるべく前に出るから、後方からサポートしてくれる?」
「うん…任せて」
そう言って、シンクは頷いて散開した。無論、唯散開したのではない。自分へと攻撃を向けるように先手を打った。
「こっちだ!!」
銃口から光の力で構築した刃の弾丸が無数に射出し、竜の体表にヒットする。同時にヘカテーが散開の移動を行い、竜はシンクに怒りの眼差しを向けて猛然と突っ込んでくる。
シンクは小さく笑んで、自らも移動しながらの攻撃を開始する。無数に聳える摩天楼の壁を駆けながら魔弾を装填する。
シンクが駆ける摩天楼を突き破り、自分へと驀進する竜の双眸に魔弾を撃ち込んだ。見事に着弾して目潰しする。同時に爆発が竜の顔を焼き焦がす。
視界を潰された竜は自身のスピードを止められずに他の摩天楼に激突する。シンクは別の摩天楼に飛び移り、様子を見る。
「目を潰した程度じゃあどうなるか…」
見る一方で激突は収まり、次々と摩天楼が土煙と立ち上らせる。気配を鋭く保ちながら身構える。
土煙が薄らいでいくと共に竜の姿を捉える。と、同時にシンクは直ぐに別の摩天楼へと飛び移った。
その後を追うようにシンクが居た摩天楼が巨大な赤い光に飲まれて消し飛んだ。既に竜は攻撃の態勢を整えていた。
しかも、目を潰していたのにこちらへ正確に撃ち込んで来た。その程度では効き目は薄かったのだ。
シンクは飛び移りながら竜を捕捉する。巨大な翼をまるで砲身のように形を変えて、こちらへと向けている四肢を張っている竜。潰された筈の両目は無傷のように直っていた。
「ちっ!」
さすがのシンクも舌打ちし、砲撃を回避する。砲身を攻撃しても砲撃の衰える様子は無い。
そこへ、竜の頭上からヘカテーが躍り出た。杖に魔力を収束し、振り下ろす。
「ヘカテー!」
「双極竜星(そうきょくりゅうせい)!」
振り下ろすと同時に光と闇の双竜の塊が具現化し、一気に砲撃する竜へと激突する。
しかし、砲撃は尚も続けられており、ヘカテーは続けて攻撃する。
「なら……双極竜星―――煌月(こうげつ)!」
先ほどの光と闇の竜が、更に無数に降り注ぐ。砲撃を続けていた竜は攻撃を凌ぎながら砲口を彼女へと向けようとした。
だが、それを阻むようにシンクの魔弾が加勢するように轟いた。
「凍てつけ! コキュートス・レイジ!!」
連続で射出した魔弾が着弾すると体表の至る所へ氷結されていく。ヘカテーに向けられかけた砲身は在らぬ方へ凍結される。
そして、更に具現化した竜を砲口へと飲み込むように叩き込んだ。砲身に入った事で砲身が内部から暴発するように破壊され、竜は痛みの絶叫を上げながらヘカテ
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