「反剣、私たち反剣士は心剣士と同じようで違う存在なの」
「同じようで…違う?」
「正確に言うと、ほっとんどの反剣士は『心剣士と違う方法で心剣を抜いた異端な心剣士』なのよ。……此処までは?」
ウィドへの確認に彼は頷き一つで、真摯に眼差しを見つめる。それに笑みで返して、話を続ける。
「心剣士って基本的に『自分』で『心の形を引き抜く』ことが最初の鍵なんだけどね、反剣士はケースは様々だけど大体が『他者』に『無理やり心の形を引き抜かれた』事が原因らしいのよ」
「他者に…」
「他者に引き抜いても心剣になるけど、それは引き抜くことが出来る状態…つまり『心の形』が出来上がっているから問題ないの。問題は『無理やり心の形』を出来上がらせてしまうこと」
「では…あなたも」
質問を耳にしたアトスは気にせずに頷き、一方の姉のクェーサーが何処か苦々しい表情を見せる。そんな様子に一瞥で注意する。
今ある自分は彼女のお陰でもある。だが、それを嘆き、呪う事は在り得なかった。それを否定してしまったら『自分は在り得ない』のだから。
視線で注意してから、ウィドへと問われた答えを言う。
「まあ、こうなった身でも悪くないわよ。
…オススメはしないけど。反剣士は一度なってしまうと二度と心剣士として目覚める事は無い。……ま、例外が今回いたけどいいわ」
その例外とはカルマに操られた男の一人ベルモンドと呼ばれる男だった。彼は心剣、反剣を両方を使う事が出来る異例の存在だった。
だが、その異例を除いて全ての反剣士は心剣士になることは在り得なかった。
「反剣士はどういうわけか、心剣を喰らう事で成長する事が出来るのよねー……心剣の『核』まで喰われた心剣は死ぬわ。もう二度とその心剣は使えない」
心剣の対の存在である反剣の最たる能力は心剣(特に心剣の『核』)を喰らう事による強化であった。
だが、心剣を喰らった反剣士は『拒絶反応』に見舞われ、暫くの間(喰らった心剣が反剣、自身の体に『なじむ』まで)猛烈な苦しみを受ける事から捕食による強化は少ない。
しかし、その拒絶の痛みもある程度『食べ慣れてしまう』と感じなくなるとアトスは遠い目で言った。恐らく彼女もそうしてきたのだろう、とウィドは心の内で呟く。
「……」
「後は『異端の回廊』ね」
「?」
「単純に言えば、反剣士専用の『闇の回廊』よ」
このセカイとウィドたちの居るセカイと大きく違う事はまさにそれであった。
このセカイには『旅人』と呼ばれる異世界を渡り歩く人間が数多存在している。
異なる世界同士の必要以上の干渉は大きな混乱と災厄を引き寄せてしまう危険性(ウィドたちのいる『セカイ』では)があった。しかし、こちら側(神無たちの居る『セカイ』)は『旅人』の存在もあり、その危険性が薄い。
当然、旅人全てが聖人君子の様な善人ではない。カルマのような『突如、セカイの害なる存在』になるものも居れば、元々、荒らす『旅人』も居た。
闇の回廊は闇の力を持たない者、闇に耐えない者が巻き込まれれば闇に飲まれてしまう。そうした危険性からか、様々な世界を移動する方法が『旅人』の中で自然と増えていった。
反剣士なら『異端の回廊』であった。反剣士自らが『狭間』に道を作り、世界を移動する方法。
そして、旅人も同じように『狭間』に道を作り、移動する方法『回廊』が生まれた。
「なんというか……凄いのですね」
「適当な言葉ありがとうね。まあ、反剣の大きなポイントはそこくらいかしらね。後は普通の心剣同様よ。以上ね」
そう言い切り、一通り言い終えたアトスは剣を収めてクェーサーと王羅に視線を向けた。
向けられた二人はそれぞれ応じるように頷き返し、二人して説明に入る。
「では、最後は心剣ですね」
「そうだな」
王羅は胸から出現した柄を、クェーサーは虚空よりそれぞれの方法で引き抜いた。
心剣士は一度、抜剣すればどのような方法でも問題なく取り出せるのである。王羅は『古めかしい方法』で、クェーサーが『一般的・基本的な方法』で魅せたのだった。
そして、心剣は万人が手に入れる可能性を秘めた剣であった。
「僕たちの心剣は文字通り『心の剣』と呼ばれているね。まあ、剣の形は基本的な『形』で、いろんな形があるんだよ」
「それは……他の武器の形になるということですか」
「そう。僕の嘗ての仲間に槍の心剣を使っていた者もいたし、この城にも『鎧』の形にしている者も居たね」
心に色、形は無い。『心が有れども』、その形態は未知数であった。
心剣は様々な条件や、きっかけで目覚める事が多々あった。
神無は守りたい心、無力を呪った事がきっかけで、神月は自分のコンプレックス(白髪)を許容し、自分を克服した覚醒が心剣を生
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