互いに触れていた温もりが、急に消え失せる。
オパールがゆっくりと前を見ると、拒絶されたと勘違いしたのかリクは驚きを浮かべ固まっている。
これには二人の間に気まずい空気が流れ、オパールはすぐに顔を青ざめて手を振った。
「あ…ごめん、違うの! 今のは、その…!!」
「気にするな…こんな奴の顔で近づいたんだ。怖かっただろ?」
「だから違うの! 何て言うか、目が…!」
「目?」
誤解を解こうと説明すると、ようやくリクが反応する。
訝しながらも話を聞いてくれるリクに、得体のしれない感覚を思い出しながらオパールは頭を押さえて説明した。
「あたしでも、よく分かんないけど…前に、そんな金色の目を見た事あって…怖い訳じゃないんだけど何だろ…」
「ゼアノートじゃないのか?」
「違う、と思う…何時かは分かんないけど…自分でも、上手く思い出せなくて…」
「そうか…」
なかなか記憶を引き出せないオパールに、無理をさせまいとリクはそこで会話を終える。
誤解は解けたものの、再び気まずい空気が二人の間に流れる。すると、黙っていたオパールが遠慮がちに口を開いた。
今まで触れない様にして来た話題を。
「ねえ、リク……もし、リリスとまた戦う事になったら…どうする?」
「もし、じゃない。あいつは俺を憎んでいる…戦う事になるさ、必ず」
「そっか…」
何の迷いも見せずに答えるリクに、オパールは顔を俯かせる。
様子がおかしいと感じたのか、リクは笑みを浮かべると彼女の頭に手を置いた。
「大丈夫だ。ちゃんとリリィを助ける、絶対に」
リクが優しい言葉をかけるが、嬉しい所か胸の辺りがズキリと痛む。
思わずオパールの表情が歪みかけるが、とっさに笑みを取り繕って誤魔化した。
「あ、あたしデータの作業に戻るねっ!! もう終わってるかなー!?」
出来るだけリクに表情を見せないように顔を背け、コンピューターの前に移動する。
顔に張り付けている笑みとは裏腹に、オパールの心は何とも言えない痛みで軋んでいた。
(答えなんて、最初から分かってたのに…あたしのバカ…!)
溢れようとする涙を必死で堪えようと、下唇を強く噛み締めた。
心剣についての講座でウィドが出て行き、ビラコチャも居なくなり今はルキルだけが残された部屋。
ただ一人彼が眠る中、シャオは片隅にある大きな袋を漁っていた。
「えーと…――あった、これだ!」
袋から取り出したのは、旅に出る前にジャスから貰った道具袋だ。
すぐに袋の口を開くと、ゴチャゴチャした中身を整理しながら入っている道具を確かめた。
「中身は少ないけど…ま、何も無いよりいいよね!」
今まで補充もままならない状況だったため、袋に入っている回復薬は残り少ない状態だ。
だが、何も持たないよりもいいだろう。道具袋の整理も終わり、イオンの待つ城門に向かおうとした所である人物が目に映った。
「…まだ眠ってるんだ」
ベットで眠るルキルを見て、シャオは不安そうに近づいて顔を覗き込む。
この人の事はよく知っている。さすがに若い頃の姿は見た事ないが…少なくとも、髪は黒く無かったはずだ。
何より、この眠りは――明らかに“異質”だ。
「この人が眠る理由…“母さん”と関係あったりするのかな…?」
自分の母親を思い出していると、扉の開く音が響く。
慌てて振り返ると、部屋に戻ったウィドが目を見開いていた。
「お前は…!」
「ウィドおじ――」
「クウの弟子とやらが、何の用だ? ルキルに近づいて何をする気だった?」
シャオが挨拶しようとした矢先に、冷たい言葉を浴びせるウィド。
信頼してない所か敵意を見せつける眼差しに、怯えながらも正直に話した。
「ボク…別に、何も…」
「用が無いならとっとと出ていきなさい。居ても邪魔なだけだ」
怯えるシャオに対し、ウィドは関わりたくないとばかりに拒絶の言葉を浴びせる。
これにはシャオも顔を俯かせるしかなかった。
「…ごめんなさい」
小さく謝るが、ウィドは眼中にないとばかりに無視して腕を組む様にルキルの傍に座る。
僅かに滲み出る苛立ちを感じ、これ以上声をかけられずにシャオは足早に部屋を出ていく。
そうして扉が閉まると、湧き上がる苛立ちのままにウィドは鼻を鳴らした。
「ふん…!」
ビフロンスの巨大な城門の前。
先に準備を終えたイオンとペルセが雑談をして待っていると、ようやくシャオが現れた。
「シャオ、こっち!」
イオンが大声で呼ぶと、声に気づいたシャオはすぐに駆け寄った。
「二人とも、遅れてごめん」
笑顔で謝るシャオだが、何処となく元気がない。
それに気付いたペルセは、すぐにシャオの顔を覗き見た。
「シャオ、
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