その後、イオン達三人は怒り心頭している神月とオルガの元にクウを返す訳にも行かず、仕方なく四人で行動する事に。
故郷である世界に向かう為に四人が回廊をしばらく歩いていると、唐突にイオンが溜息を吐いた。
「今更言うのも何ですが…クウさん、特訓どうするんですか?」
「あー、大丈夫だろ。これでも最低限の事は出来るようになった。それに――この力も何となく理解し始めてきた」
「それって、昨日イリアドゥスが話してた力?」
ペルセが聞くと、クウは頷いて右腕を見る。
今ではコートで隠された、シルビアが刻んでくれた刻印を。
「ああ。少なくとも、キーブレードを変形するだけに使われる訳じゃない。俺の意思でいろんな使い方が出来るかもしれないんだ」
「昨日の今日で、もうそこまで分かったの!? さすが師匠だよ!!」
「そう褒めるなって。今の所、これはまだ俺の理論だ…実行に移すには、時間がかかる」
喜ぶシャオに言い聞かせていると、話を聞いていたイオンが関心の表情を浮かべた。
「意外と頭が良いんですね、クウさんって」
「お前、俺の事さり気にバカにしてるだろ?」
「イオン先輩、言い過ぎだよ。確かに師匠は単純で頭で考える前に本能で動くタイプだけど、頭は働く方なんだかあいだぁ!!?」
シャオが笑いながら言い聞かせていると、頭に拳骨が落ちる。
思わず頭を押さえていると、クウは拳骨をした手で今度は頬をつねり出した。
「シャ〜オ〜? 実はお前も俺をバカにしてるだろぉ!? これでも俺は26だ!! れっきとした大人だぞ!!」
「ひしょ〜!! いひゃああぁいぃ!!?」
「アハハ…」
そんな二人のやり取りに、何処か微笑ましさを感じてしまう。
思わずクスクスとイオンが笑っていると、同じように笑っていたペルセがある事を思い出した。
「ねえ、シャオ。結局、お守りってどうなったの?」
「お守り?」
「クウさんは知らなかったですよね。実は――」
頬をつねっていたクウが反応するのを見て、ペルセはすぐに昨日の出来事を説明した。
すると、話を聞き終えるなりクウは抓った手を放す。そして、涙目で頬を擦っているシャオに質問をぶつける。
「なあ、シャオ。お守りに力を宿した少女って…銀髪に白い衣装纏って、古臭い喋り方していたんじゃないのか?」
「え…? そうだけど、知ってるの?」
「知ってるも何も…その子が“シルビア”なんだよ。どうやって俺にこいつを刻んだのか、ようやく分かったぜ…」
そう言うと、再度刻印のある部分を見る。
シルビアは自分達の目の前であちら側の世界で捕らわれた。それなのに、こちら側の世界で刻印を刻まれていたのは…シャオの持つお守りにあらじかめ仕込んでいたからだ。無轟と戦っていた際にシャオから発せられた光は、自分の思いに反応してお守りに封印していた力を与えてくれたに違いない。
こうして一連のカラクリを解くと、シャオも星形のお守りを取り出して握りしめる。
「ボクだけじゃない。シルビアさんも、師匠を信頼していたんだね…例え別の世界でも、師匠は師匠だから」
「羨ましいな…」
ボソリと聞こえた声に振り向くと、イオンが何処か寂しそうにこちらを見ていた。
「イオン?」
「な、何でもないです。早く行こう、今日中にビフロンスに戻らないといけないし!」
クウの声に我に返り、場を取り繕うようにイオンは話を終わらせて先へと進んでいった。
「アルガとティオンを借りたい?」
上層にあるビフロンスの応接間で、アイネアスが頭に疑問符を浮かべる。
そんな彼の前にいるのは、真剣な表情をしているアガレスだ。
「はい。ソラと言う少年を助けるには、どうしてもあちら側の世界に行かなければなりません。話を聞いた所、二人の力を使えば移動は可能だと言う事なので是非とも力をお借りしたいのです」
「確かに、俺達はエンの都合上あいつらの世界には何度も言っている。移動する分は構わない」
「ええ。王羅に封じられた力も元に戻ったし、何時でも行けるわ」
アガレスの申し出に、アイネアスと一緒に応接間にいたアルガとティオンは軽く頷く。
まだ『Sin化』されてカルマに支配されていた時、王羅の心剣である『妖刀ムラマサ』の能力で弱体化されていた。それでもあちら側の世界には行けた事には行けたが、能力が弱体している所為でそれなりの制限があった。
しかし、今ではその呪いも完全に解けている。コンディションも万全と言える。
本人達から同行の意思を貰い、次にアイネアスを見る。彼は仕方ないと言う表情を浮かべながら、無言のまま軽く頷いた。
「感謝します。ですが、出発の前にある少年と合流したいので、まずは一緒にタルタロスまで来てもらえないでしょうか?」
「
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