「なに…これ…?」
「あちこち荒らされる…」
リクの家に辿り着くと、イオンとシャオは中に上がり込んで唖然としていた。
部屋の中はどう言う訳か荒らされており、壁や床の一部は戦った後なのか無残に壊されている。
軽く辺りを見回すが人の気配は感じず、すぐに三人は散開してあちこちの部屋を調べ始めた。
「まさか、本当にカルマが…!!」
「イオン、来て!」
焦りを浮かべるイオンに、別の部屋を調べていたペルセが叫ぶ。
イオンと同じように他の場所を調べていたシャオも駆け付けると、ペルセの手にはボロボロになった一枚の白い羽根が握られていた。
「白い羽根…ペルセ、これをどこで?」
「リクさんの部屋にあったの…これ以上傷つかないように、これで包んでたみたい」
そう言うと、もう片方の手に握っていた保存用の布を二人に見せる。
その時、ペルセが握る白い羽根を見ていたシャオが何かに気付いた。
「この羽根…もしかして、エン?」
「「エン!?」」
「確証はまだ出来ないけど…でも、師匠なら分かるかもしれない。とりあえず、その羽根はボクが持っておくよ」
白い羽根をペルセから受け取り、そのままポケットに入れ込むシャオ。
しかし、怪しい物を見つけたからと言って問題が解決した訳ではない。イオンの両親、それに加えリクまでも行方不明になっているのだ。この状況からして、何かに巻き込まれたのは確かだ。
「父さん…母さん…!」
「リクさんも、連れて行かれたのかな…?」
イオンが拳を震わせる横で、カルマの能力を思い出したのかペルセも不安を露わにする。
そんな二人にシャオも声をかけられず、口を閉ざして黙りこんだ時だった。
「イオン、帰ってたのか!?」
開きっぱなしの玄関からかけられた声に、三人が振り返る。
そこには、この島に住む男―――ワッカがいた。
「ワッカさん!」
「まさかとは思ったが…――いや、そんな事より早く病院に行ってやれ!」
「病院、ですか?」
急かすような言い方でイオンに告げるワッカに、思わずペルセが首を傾げる。
「今日の朝、ここでリクだけじゃなくお前の両親も倒れてたんだ。すぐに病院に運んだんだが、どう言う訳か意識不明で――って、うぉ!?」
「イオン!?」
「先輩!?」
ワッカの説明を聞くなり、突然イオンが押しのけるように玄関を飛び出していく。
これを見て、すぐに二人もワッカの横を通り過ぎてイオンを追って走り出す。
病院に駆け出す三人にワッカは茫然となって見送っていたが、不意にある疑問が浮上した。
「そういやイオン達と一緒に居たあの子、誰だ?」
本島に唯一存在する小さな病院。
イオンは病院に辿り着くなり、中にいた人達を無視して入院する人達がいる部屋へと進み一つ一つ扉に書いてあるプレートを調べる。
やがて一番奥の部屋にあるプレートに両親の名前を見つけ、イオンは飛び込む様に扉を開け放った。
「――父さんッ!!」
中に飛び込むと、視界に映ったのは3つの白いベット。
そして、そのベットの中にいる人物を見下ろすクウの姿だった。
「クウ…さん?」
「――やられたよ、本当に」
「え…?」
「イオン!!」
ポツリと呟いたクウの言葉に反応していると、続けてペルセが入ってくる。
同じくシャオも病室に入ると、途中で抜けさせた筈のクウがいる事に驚いた。
「師匠!? どうしてここに!?」
非情にマズい状況にシャオの表情が強張る中、イオンはクウの視線の先に気づいた。
「父さん、母さん!? リクさんまで…!!」
イオンがベットに駆け寄ると、この世界―――大人となってる三人が横になって眠っている。
外傷は特に見当たらないが、三人の不安は消えない。そんな気持ちが伝わったのか、クウはその場に立ったまま静かに言い聞かせた。
「焦るな。身体はちゃんと生きている」
「身体は?」
妙な言い方にペルセが聞き返すと、ソラ達を見ていたシャオがある事に気付いた。
「なに、この感じ…? 眠ってるだけの筈なのに…空っぽな感じがする」
呼吸は微かにしているから死んではいない。だが、どう言う訳か生きていると感じない。今の三人を例えるなら…人形。人の形をした器だ。
イオンとペルセもその欠落に気付いて表情を強張らせていると、軽くクウが頷いて足りない物の正体を述べた。
「あぁ…三人共『心』を抜かれてる」
思いもしなかった答えに、三人は一斉にクウに顔を向けた。
「心を、抜かれてる…!?」
「まさか…キーブレードの力!?」
ベットに眠っている三人が陥っている状態に絶句するイオンとは別に、心を抜いた方法にシャオが思いついた推測を叫ぶ。
キーブレードマスター。あるいはそれと同等の力
[3]
次へ
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想
TOP
掲示板一覧
ゲームリスト |
ゲーム小説掲示板
サイト案内 |
管理人Twitter
HOME