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Another chapter3 Aqua side‐1「光の行く先へ」


 子供達が住む、夢と冒険が溢れる世界―――『ネバーランド』。
 その世界のインディアン達の住む住居で、今一つの戦いに決着が付いた。
 仮面の少年―――ヴァニタスが吹き飛ばされて、地面に叩き付けられる。同時に、彼の持つキーブレードが遠くに落ちる。
 ヴァニタスが起き上がらないのを見て、青い髪の少女―――アクアは安心したのかキーブレードを消して膝を付いた。

「やった…! 奴を倒した――」

 荒い息で呟きつつ、どうにか笑みを浮かべる。
 それからヴァニタスによって折られたヴェンの木刀を見ると、再び前を見る。
 ヴァニタスが起き上がって来ないのを確かめると、アクアは戦いによって疲労した体に鞭を打ってゆっくりと歩み寄った。

「うっ…!」

 しかし、力尽きたのか途中で倒れてしまう。
 倒れたまま折れた木刀を見ると、アクアは何処か満足したように静かに笑った。

「ヴェン、テラ…もう、だいじょうぶよ――」

 そう呟き、ふと視線を横に向ける。
 青い海が太陽の光に反射されて美しく光っている。この風景を収めながら、アクアは静かに目を閉じた。
 そうして意識を失っていると、微かに倒れているヴァニタスの手が動く。
 次の瞬間、遠くに転がった禍々しいキーブレードが光りながら消え去り、そのままヴァニタスの手に握られた。

「まさか…ここまでとはな…」

 そんな呟きと共に、ヴァニタスはキーブレードを杖にして起き上がる。
 キーブレードの先端に光を溜めると、倒れたアクアに向けた。

「消えろ」

 冷たい言葉と同時に、倒れたアクアに向けてエネルギー弾を放つ。
 すると、それはアクアを巻き込むように大きく爆発した。
 少しずつ煙が晴れると、そこには焦げ付いた地面しか残っていなかった。

「ふん…」

 アクアを跡形も無く消し去って満足したのか、ヴァニタスは背を向けた。


「やれやれ……人助けするのも楽じゃないですね」


 直後、上空から男の声が放たれた。
 すぐにヴァニタスが見上げると、そこには黒いショートの髪に紫の瞳をした青年が白と黒の双翼を生やして空を飛んでいた。服装は白基調のロングコートに黒いジーパン、黒の長靴だ。
 その両手には、消したと思われたアクアを抱かかえている。

「誰だ?」

「あなたみたいな人に、名乗る名前はありませんよ」

「そうか…よっぽど消えたいらしいな」

「おや? 僕も随分甘く見られてるようで」

 キーブレードを構えるヴァニタスに、青年はどこか余裕のある表情で言葉を返して地面に降り立つ。
 そうしてアクアをそっと横に下ろすと距離を取るように、ヴァニタスに近付く。
 そうしながら右が白色、左が黒色のグローブを軽く引っ張るとヴァニタスに向かって拳を構えた。


 ―――次の瞬間、青年はヴァニタスのメットを掴んでその場から飛び去った。


「なっ…!?」

 ヴァニタスはメットを掴まれながら、宙振りの状態で青年から離れようと暴れだす。

「怪我人がいるのに、あんな場所でやりあう訳にはいかないでしょう? だから、大人しくしてください」

「大人しく出来るかぁぁぁ!!?」

「そうですか。そうなると暴れた拍子に僕の手が離れて、あなたはこの高さから落ちて死んじゃいますねぇ…」

「ぐっ…!!」

 しみじみと言う青年の言葉に、ヴァニタスは苦虫を噛んだ表情を浮かべる。
 今のヴァニタスは、青年の片手のみで上空に浮いている状態だ。こんな醜態や危機一髪な状況、かつてあっただろうか? いや、無い。断言する。
 そうしていると、青年が手を放す。思わず息を呑んで下を見ると、目の前に広がったのは切り取った地面と海だった。

「――って、いきなり放すなぁぁぁ!!!」

 そんな心の叫びと共に、ヴァニタスはどうにか体制を取って地面に着地する。
 その間に、青年は双翼を羽ばたかせながら地面に降り立った。

「どうです? ここなら、思う存分戦えるでしょう?」

「そうだな…!! この場所でお前を容赦無く消し去ってやるよっ!!!」

 怒りを爆発させながら、ヴァニタスは手に持っているキーブレードを構える。
 対する青年は背にある翼を消し、冷静な表情でヴァニタスに拳を構えた。

11/09/04 20:52更新 / NANA&夢旅人
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