4人の剣幕に戸惑いながらも、サイキは彼女らの話を聞く。
シンクらとの思わぬ衝突による不和を引き起こし、侘びの為、イヴのアドバイスでお菓子を買うことで少しでも和解の足がかりにしたい事。
が、どれを選べばいいかわからずにいる事をそれぞれ打ち明け、サイキの助言を求めた。
「……とりあえず、幾つか買ってあげればいいわ。アレスティア、手伝ってくれる?」
「ああ。すまない」
詳しい事を敢えて言わなかったのは場所の雰囲気がそういった言い合いにそぐわないからだ。
此処は楽しく買い物をする場所である。サイキは自身の用事と彼女らの用事を手早く片付けるべく一番融通のきくアレスティアを同行させた。
「此処で待っててください。直ぐに終わるから」
残った3人は念入りに留まらせて、二人は再びお菓子を選びなおす。そして、数分経つと、
「――お待たせ。さ、城に戻りましょ」
会計を済ませ、丁寧に封したお菓子の入った箱をそれぞれ持ちながらサイキらが戻ってきた。
アレスティアもサイキの下でお菓子を幾つか選んで購入した。後はこれを二人に渡せばいいのだが―――。
「で、二人は城下町の何処に居るの?」
サイキの問いかけに、4人は互いに視線を合わせ、数秒の間、噤んだまま黙り込んだ。その様子に苦笑いを浮かべて提案する。
「……城で渡しましょうか?」
「ああ。そうしよう」
その提案を受け入れた4人はサイキと共に、店を出て、城へと戻ることにした。
一方、シンクとヘカテーのデートは順調に進んでいた。
機嫌を損なっていた彼女も、楽しさによって削ぎ落とされ、順風であった。
「美味しい? ヘカテー」
「うん」
露天のアイス屋を通りかかり、小腹が空いたこともあって、二人はそれぞれアイスクリームを買う。
シンクはミントの味、ヘカテーはバニラの味を、店の直ぐ傍にある長椅子に座ってそれぞれ、甘みを堪能している。
「―――よお、お二人さん。楽しくデートか?」
すると、二人の前に紅髪の男性―――イザヴェルがからかうように声をかけてきた。
「……」
そう言った彼を一瞥したヘカテーの表情には小さく険しさの色が濃くなった。
それは城でも同じように言われたこと、また、あんな事になるのでは――と不安を抱いている。
シンクは察して、彼女を制するように目くばせした。その眼差しに彼女は小さく頷き返した。
そうして、苦笑いと共に話し掛けてきた彼に尋ね返す。
「はは…イザヴェルさんは、どうして?」
「俺は日課のパトロールだよ」
そう言って、アイス屋の方に近づき、彼もアイスを注文した様子だった。
シンクが目線をそちらへ向け、聞き耳を立てて、様子を伺う。
「もう、イザヴェルさんー。いつものパトロールはおさぼりですか?」
「ハッ、小休憩だよ。あ、今日はチョコで」
そんな他愛ない雑談を交えながら彼は金を支払い、チョコアイスを受け取る。
そうして、再びシンクらへと戻って、笑みを投げかける。
「隣、OKェ?」
もう一度、ヘカテーに目配せで確認すると、彼女は小さく頷き返す。
了承の意を受け取ったシンクは彼を招く。
「ええ。どうぞ」
空いているシンクの隣へとイザヴェルが座り、アイスを頬張る。そんな彼へと質問を投げかける。
「あの――イザヴェルさんは此処で長く住んでいるんですか?」
「……んー? まあ、それなりだな」
問いかけられた彼は食う動きを止め、その質問に適当に返し、言葉を続ける。
「で、そっちこそどうしたんだ? そっちのお嬢ちゃんは機嫌が悪そうだし」
「…」
「まあ、ちょっとだけ」
「喧嘩か? お前と…じゃあないみたいだが」
「実は……」
シンクはヘカテーを思って、細かな詳細は言わずに大雑把に出来事を打ち明けた。
イザヴェルは、彼が思いやって話を簡略化していることを察して、適当に応じる。
「―――なるほどねえ。別にいいじゃねえか、デートしようが、何しようが」
「でも、僕たちは…」
「そう、俺たちはカルマを打倒する為、これ以上の被害を起こさない為に、各々此処へと集った。
だが……戦いだけが全てじゃないんだよ。ずっと殺気剥き出すのも面倒だ。息抜きする時は息抜きする、それでいいんだよ」
二人へと向けた笑みは熱意の色のあるものだった。優しさよりも真摯な思いで、浮かべている。
「それに―――此処でいろんな思い出を作ってくれるなら俺はいいと思う。だから、気にするな! ハハハ」
快活に笑い、二人は釣られるように笑みを返す。その笑みに満足したのか、彼はアイスをあっという間に食べ終えた。
「よし、元気な顔になったな。まずは満足だぜ」
そういって彼は立ち上がった。シンクは立ち去ろうとする
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