太陽が真上を通り過ぎ、昼と夕方の境目となった時刻。
城の大浴場にて、女湯で浴槽に入る人物がいた。
「んぁ〜! きもっちいぃ〜!」
長い髪をタオルで包む様に一つに纏め、身体をバスタオルで胸の辺りまで包む様に隠しているのはオパールだ。
オパールは思いっきり背伸びをすると、至極の笑みで肩まで緑色の湯に浸かる。
「あ〜…癒される〜。もー、肩ボッキボキ」
軽く肩を押えながら首を動かすと、ゴキゴキッと言う音が浴場内に響く。
半日も画面とキーボードを操作する強行な作業のおかげで、一部だがシルビアのデータの解析が出来た。その分疲れ切ってしまった自分に、キルレストやベルフェゴルがこの大浴場を紹介してくれた。
浴室の広い空間と丁度いい温度の湯で身体と心の疲れを癒すと、軽く浴槽の淵に両腕を乗せて周りを見回す。
「昼風呂ってのも悪くないなー。今度カイリ達も誘ってみようかな?」
お風呂に浸かっての女子だけの話を想像し、フフッと笑うオパール。
しかし、その表情に陰りが過った。
「あの情報、本当にどうしよ…?」
「何の情報なの?」
「きゃあぁ!?」
後ろからいきなり声をかけられ、オパールは思わず悲鳴を上げる。
すぐに振り返ると、いつの間にか浴槽に入っているイブがいた。身体にはタオルを巻いており、髪を一つに括って湯につけない様にしている。
「あ、あんた…!」
「ふふっ、これでも先に入ってたわよ? ここ夜になると込んだりするから」
クスクス笑いながら警戒するオパールに言うと、イブはゆっくりと近づいて隣に陣取った。
「で、その様子だと何かしらのデータが手に入ったみたいね? それもヤバげな感じの」
「…あんたには関係ないでしょ」
「いいじゃない、教えてくれても。私達仲間でしょ〜?」
そう言いながらオパールに迫ると、手を伸ばしてタオル越しに身体を触り出した。
「ひやぅ!? ちょ、どこ触ってんのよ!?」
「身体つきはまずまずって所ね。劣る部分はないから、それなりにいけるんじゃない?」
「いけるって何がよっ!!? もー、いい気分なのが最悪…」
唇を尖らせ、イブと顔を合わすまいと更に湯の中に身を沈める。
こうして不機嫌になったオパールに、イブは大して気にする事無く一つの疑問を投げかけた。
「ねえ。あなた、どうしてリクの事が好きなの?」
「あ、あたしは別にリクの事なんて…!!」
恥ずかしそうに言いながらも、距離を取ろうと移動し出すオパール。
それに対し、イブは怪しい目をするなり何かを考えるように手に顎を乗せる。
「ふーん…ま、それもそうか。あの人見るからに悪党そうだしー、平気で人を傷付けたり裏切ってたりしそうだもんねー。他人なんて知った事かって感じかなー?」
「なっ…!! あんた、それ本気で言ってる!? リクの事知らないくせに、好き勝手に悪口言ってんじゃないわよっ!!!」
「へー? じゃあ、あなたは知ってるんだー? 詳しくお聞かせ願いたいなー?」
「ええ知ってるわよ!! あいつは何時だって――ハッ!?」
直前でどうにかオパールは我に返るが、気づいた時にはイブはニヤニヤと笑ってこちらを見ていた。
(この目…鎌かけしたわね…ッ!!)
「何時だって…なーに?」
怪しい笑みを浮かべ、ワザとらしい猫なで声で話を催促するイブ。
さすがのオパールもこうなってしまえば反論など出来る訳もなく、半ば逃げるように口元まで湯に浸かった。
「…忘れてよ…」
「えー? それだと疑い晴れないままになるけどいいのー?」
「疑ってないくせに、よく言えるわね…」
「疑ってるわよ。少なくとも、チェルがそうだもの。元々彼とは“敵”だったから」
イブから発せられた思わぬ言葉に、オパールの周りの空気が変わる。
弱気だった顔付きが一気に敵意のある強張った表情へと変化する。そのままイブを睨む様に顔を向けた。
「ちょっと…それってどう言う――!!」
振り返った瞬間、イブの人差し指が顔の前に付きつけられる。
思わず喰いかかった状態で言葉を止めるオパールに、イブは意味ありげな笑みを作っていた。
「ここからはタダじゃ教えない。支払う対価は分かるでしょ、オパール?」
先程と違って真剣なイブに、オパールはゆっくりと座り直す。
そして、何処か遠くを見るように口を開いた。
「――あいつは何時だってあたし達を思って行動してくれる。自分が危ないって分かってても、自分を傷付ける事になっても…」
ポツリポツリと語りながら、オパールはこれまでの出来事を振り返る。
ソラとヴェンは考えが幼いし、カイリはしっかりした部分はあるものの何処となく子供的な部分がある。そんな危なっかしい三人を、年上としてリクと一緒に見
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