「「足手纏い?」」
外も夕暮れとなった時刻。レイアが休養している部屋で、本人だけでなく中にいたヴェンも同じ言葉を返す。
そんな二人の前には、お見舞いに来たヴァイが頷いていた。
「うん…私、皆の力になりたくてここまで一緒に来たんだけど…皆強くて、私の力だけじゃ敵わない事が合って、逆に足を引っ張ってしまってる気がして…」
そう二人に心の内を話しながら、ヴァイは先程の出来事を思い返す。
凛那の為に材料を取りに行ったのに、何も出来ずに怪我を負って帰って来てしまった。他にもレプセキアの奪還戦では油断して足を引っ張った事もあるし、この世界に来てから未熟ではないのではと嫌でも感じてしまう。
こうして自分の弱音を吐き出すと、すぐにベットにいるレイアに謝った。
「ごめんね、折角レイアちゃんのお見舞いに来たのにこんな話しちゃって」
「ううん――俺分かるよ、その気持ち」
ヴェンはそう言いながら、ヴァイに自分の気持ちを語る。
「俺、キーブレード使いとしては未熟だから本当は外の世界から出ちゃいけないんだ。でも、仮面の奴にテラの事悪く言われて…それで心配になって付いてきちゃったんだ」
過去の事を話しながら、今のヴァイと自分を重ね合わせる。
初めて降り立った世界では、あまり良い思い出はなかった。その後の旅だって、楽しい事ばかりではなく悲しい事や辛い事はいろいろあった。
「廻った世界の中で、俺一人じゃどうにもならなくて助けられたりした。テラやアクアにも戻れって何度も言われた。だから…分かるよ、ヴァイの気持ち」
「ヴェントゥスくん…」
「ヴェンでいいよ。みんなそう呼んでるから」
そう断ると、同じ悩みを持つ者同士笑い合う二人。
「私も分かります、ヴァイさん」
すると、レイアも話の輪に入るなりそっと胸に手を当てた。
「私も一緒に戦いたいのに、戦えない事が沢山ありました…私は弱いから、何かある度に誰かの後ろでずっと守られました」
クウと一緒に二人旅をしていた時もそうだが、テラと無轟と合流してからもそれは変わらなかった。
純粋な魔導師だから、どうしても後ろで戦わないといけないのだが…それ以外に、皆と違って感情の切り替えが出来ない事がある。その所為で、エンとの戦いは殆ど後ろで見ている事しか出来なかった。
「それでも…私達に出来る事はあるのではないでしょうか? 皆さんには出来なくて、私達には出来る事が」
「俺達に…」
「出来る事…」
思いがけないレイアの言葉に、ヴェンとヴァイは無意識に呟く。
そんな二人に、レイアは苦笑を浮かべた。
「――って、ミュロスさんに言われたんです。私だけ動けなくて落ち込んでいたら…そう言って励ましてくれたんです」
「そうだったんだ。でも、今の言葉聞いて何だかスッキリしたよ」
「俺も。レイア、ありがとう」
「あの…! 今のは私ではなく、ミュロスさんの言葉ですから…」
心の重荷が取れてお礼を言うヴァイとヴェンに、レイアは申し訳なさそうに両手を振る。
しかし、二人は気にする事無く笑顔を見せた。
「それでも、伝えてくれたのはレイアちゃんだよ。よーし、今から軽く特訓しに行こう!」
「ヴァイ、俺も付き合うよ!」
両手をギュッと握って意気込むヴァイに、ヴェンも目を輝かせて拳を作る。
悩みを解決した二人を見て、遠慮していたレイアも嬉しくてつい笑ってしまう。
こうして部屋の中が笑顔で包まれた時、部屋の外が急に騒がしくなった。
「あれ?」
「何の騒ぎ?」
気になってヴェンとヴァイが部屋の扉を開けると同時に、カイリの声が響いた。
「シーノ、早く!!」
「待って、いきなりどうしたの!?」
「それが、ルキルの様子がおかしくなったの!!」
「あんたなら何か打開策があるって教えて貰ったの!! ほら、早く!!」
「分かったから、そう引っ張らないでっ!!」
何やら切羽詰まった様子で、カイリとオパールがシーノの腕を掴んで引っ張っている。
明らかにただ事ではないと感じ取り、ヴェンとヴァイは互いに目配せすると部屋を出て三人の後を追いかけ始めた。
その頃、城下町にあるアスラ・ロッテの工房の前。
そこで何やら、ツヴァイが座り込む神無の肩を揺さぶっていた。
「あなた、そろそろ入ったらどうなの?」
「入れって言われても…こう言うのは勇気がいるだろ? 俺がいきなり押しかけても迷惑だろうし…」
「お店の前でウジウジしている方がよっぽど迷惑です」
「そんなハッキリ言う事ないだろ、ツヴァイ〜!」
心に棘が突き刺さる妻の正論に、思わず涙目になる神無。
そんな神無に呆れを見せつつも、ツヴァイは優しく話しかけた。
「神無、大丈夫よ。セカイは違えど…あなたはお義父さま
[3]
次へ
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想
TOP
掲示板一覧
ゲームリスト |
ゲーム小説掲示板
サイト案内 |
管理人Twitter
HOME