頭の中に、機械の様な無機質な声が響く。
平衡感覚が掴めない状態で、意識は下へ下へと向かっている。
俺は、どうなったんだ?
「――ク…リク…」
突然俺を呼ぶ声が聞こえ、ゆっくりと瞼を開ける。
瞬間、一面の闇に光が差しこんだ。
「う、ううっ…」
視界が真っ白になりつつ、ぼやける焦点を合わせる。
すると、目の前にオパールの顔が広がった。
「オパール…?」
ゆっくりと名前を呟くと、オパールがこちらに笑いかける。
ボンヤリと彼女の顔を見ていると、何か柔らかい物に頭を乗せている事に気付く。
視線を向けると、何とオパールの膝の上に頭を乗せていた。
「うわぁ!?」
「あ…良かった、目が覚めたみたいで」
慌てて飛び跳ねる様に起き上ると、オパールは安心したように微笑みかける。
改めてオパールを見ると、どう言う訳か軽装だった服が変わっていた。
少し明るめの色をしたシャツとズボンに様々なアクセサリーや布を付けており、頭のバンダナはなく幾つもの髪留めで長い髪を括っている。
より盗賊っぽくなった彼女の服装に、思わず目を疑った。
「オパール…その服、なんだ?」
「この服? あたしがイメージする空賊の服だけど、似合う?」
「似合うって、何時の間に…」
呆れたように頭を押さえていると、違和感を感じる。
すぐに自分の身体を見回すと、心に潜むアンセムの姿ではなく元の少年の姿に戻っていた。
「俺…何で、元の身体に戻っているんだ? それより、ここは何処だ!?」
バッと辺りを見回すと、そこは何処かの街並みだ。明らかにモノマキア内部ではない。
何が何だか分からない現象に驚いていると、オパールはゆっくりと胸に手を当てて語り出した。
「ここはあたしの――正確には、オパールの顕在・深層意識を具現化させた世界って所。それで、あたしは彼女の心の一部」
「何を言っているんだ…? 頭でも打ったぬごぉ!?」
本音を口にした途端、思いっきり頭を殴られた。
「ありのままの事実よ。分かりやすく言うなら、あんたがいるこの世界はあたしの精神から出来てるの。今あんたはオパールの心を覗き見ているようなものなんだから、もう少し考えて物を言いなさい」
「じゃあ、お前は…オパールであって、オパールじゃない?」
「そう言う事。とにかく、現状を理解した事だし…ここから出る方法探すわよ」
「出る方法?」
「《この世界》はあんたにとって危険なの。《あたしの世界》ならまだいいけど…オパールはあんたをそこまで受け入れてないから、道を作る事は出来ない。だから、一刻も帰る方法を――」
そこまでオパールが説明してた時、急に慌ただしい足音が近づいてきた。
「見つけたぞ!」
「全員包囲なさい!」
「見つかった!? 逃げるわよ!!」
「お、おい!?」
急にオパールが手を掴むと、その場から逃げるように走り出す。
それと同時に、後ろから沢山の人達が追いかけて来た。
「逃げたぞ!」
「すぐに捕まえて!」
聞き覚えのある声に、オパールに引っ張られながら後ろを振り返る。
何と、見慣れない白い服に全身を纏う鎧を引き攣れながらテラとアクアが先導に立って自分達を追いかけている。
「どうしてテラやアクアが俺の事…!?」
「ここはそう言う世界なのっ!! この世界のオパールはあんたを【一番の敵】って思ってる!! だから捕まえようとしてんのよ!!」
「じゃあ、お前も…!?」
「んな訳ないでしょ!! あんたは…【特別】なんだから…」
ボソリと何かを呟くが、逃げながらの状況では上手く聞き取れなかった。
「今、何て言ったんだ!?」
「――ッ、何でもないっ!!」
顔を赤くしながら誤魔化すなり、薄暗い裏路地に入り込む。
入り組んだ道を軽々と進んで兵士との距離を離すと、オパールは立ち止まってこちらを振り返った。
「このままじゃ、ラチが空かない…二手に分かれるわよ」
「それってどう言う…」
「あんたはこの辺に隠れてて。あたしが囮になって惹き付けるから」
「そんな事出来るか!? そうするくらいなら、俺がうぐぅ!?」
再び殴られてしまい頭を押さえると、オパールは呆れたように見返してきた。
「まーたそんな事言う。…あたしなら大丈夫よ、この世界はあたしにとっては掌も同然。簡単に捕まったりはしないから」
自信ありげに言い切ると、急に真剣な目で遠くからでも見える巨大な城壁で出来た門を差した。
「誰もいなくなったら、あそこの大きな門の上に行って。そこに協力者がいるから」
「協力者?」
「すぐに分かるわよ。それじゃ…――ごめん」
「え?」
その直後、後頭部に衝撃が走り意識が黒に染まった…。
「う、うぅ…!」
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