それから夜も更けた時刻、シーノ達の準備がようやく出来た。
使用人の言伝を聞き、リク達は大部屋に集められる。部屋に入ると、ルキルの眠るベットの他に、自分達が眠る用のベットが三つ存在している。
いよいよ夢の世界への侵入に、部屋の中央にいたシーノが声をかけてきた。
「さて――準備はいいかい?」
「ええ…それで、この薬を飲むだけでいいのですか?」
「もちろんさ。ああ、その場で飲んで貰っても構わないよ。眠った後は三人共ベットに運んでおくから」
ウィドが先程貰った薬を見せると、シーノが笑いながらその後の事を話す。
それを聞き、リクはオパールに軽く目配せする。
「それじゃあ…行くぞ」
「うん…!」
オパールが軽く頷くと、二人も薬を取り出す。
覚悟を決めると同時に、三人は一斉に睡眠薬を飲み干した。
「三人共眠ったわね」
丁度その頃、別室の大部屋でイリアが静かに呟く。
彼女の前には、薬によって眠ったクウ、イオン、ペルセが床に倒れていた。
「まさかこんな事になるなんてな…」
「イオンもペルセも大丈夫かな…?」
夢の世界へと行くイオン達の見送りに来た、仲間であるオルガとアーファが心配そうに呟く。
そんな彼らの中に、同じくイリアを見送る為に来たヴェリシャナがいた。
「お母様…」
「大丈夫、必ず戻って来るわ。みんな、彼らの事をよろしくね」
心配するヴェリシャナにそう言って、ベットで眠るシャオに向き合う。
そのまま額に指を添えて光らせると、後を追うように意識を夢の世界へと沈めた。
「――なるほどな、お前達の事情は分かった」
一方、アイネアスの執務室では、テラ、ヴェン、アクア、カイリがオパールから貰った剣の製造の協力を仰いでいた。
全てを話してアイネアスが考え込むと、少しして大きく頷いた。
「いささか不安な部分はあるが、お前達が決めた事だ。私達も出来るだけ協力はしよう」
「ありがとうございます!」
交渉が成立し、アクアが頭を下げてお礼を述べる。
すぐにアイネアスは魔方陣で誰かしらと連絡を取り、物に精通しているキルレストを呼びつける。
そうして彼がやってくると、話は通しているのかキルレストはアクアに手を差し出した。
「で、剣を作るに当たって必要な素材とは何なんだ?」
「えっと…これです」
アクアではなく、持っていたカイリがレシピを手渡す。
受け取ったキルレストは、吟味するように書かれた内容に目を通していく。
「どうでしょうか?」
緊張の面付きでテラが声をかけると、キルレストは難しい表情で顔を上げた。
「これらに書かれている二つの素材は私の力で作れるが…《長年の時を過ごした朽ちた水晶の剣》だけは、どうにも出来そうにないな」
「どう言う事?」
ヴェンが首を傾げると、キルレストは軽く息を吐いた。
「水晶の剣と言うのは、恐らくアルカナの管理する【心剣世界】に存在する役割を失った心剣の事だろう。だが、あの世界では剣の形をしている物はあまり見かけない。ましてや、朽ちた状態ともなれば見つけるには骨がいる…」
「それでも、可能性があるのなら私達は探し出します」
「俺もアクアと同じです。大事な仲間の為にも、ここで引く訳にはいきません」
見つけるのが難しい素材だと聞かされても尚、アクアとテラは探し出す決意を見せる。
そんな二人に感化される様に、ヴェンも一歩前に出た。
「じゃあ、俺も行く!」
「「ヴェン!?」」
突然の言葉に保護者でもある二人が驚いていると、ヴェンは不満げに頬を膨らませた。
「何時までも子ども扱いしないでよ! 俺だってずっと戦ってきたんだし、今日だって他の人と鍛錬だってしたんだからさ!」
「でも…」
大丈夫な事をアピールするが、アクアは不安を見せる。
幾ら素材を見つけるだけとは言え、ここは自分達の知らない世界。何が起きるか分からない分、出来ればヴェンには安全なこの場所に残って貰いたい。
そんなアクアの不安を余所に、テラは衝撃の言葉を放った。
「いいじゃないか、アクア。ヴェンも連れて行こう」
「テラ!?」
ヴェンを連れていく事に迷いがないテラに、思わずアクアが叫ぶ。
しかし、テラは狼狽える事も無く笑って見せた。
「例え何かあっても、俺達がヴェンを守ればいいだろ? 俺達三人なら、きっと何とかなるさ」
自分達の絆を固く信じている言葉に、何時しかアクアは軽く溜息を吐いた。
「…そうね、ヴェン一人で行く訳じゃないものね」
「やった! テラ、ありがとう!」
「その代わり、無茶はするなよ?」
「もちろん!」
信じてはいるがちゃんと心配もしているようで、最後に釘を刺すテラ。
それに対しヴェンが笑顔で頷くと、執務
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