目を開けると、いつの間にか森の中にある雪原の中で倒れていた。
リクはゆっくりと起き上がり、ぼやける視界を戻そうと瞬きをする。
「ここは…?」
「――私の故郷の世界…【ウィンタースノウ】です」
答えが返ってきた方を見ると、ウィドも起き上がりながら遠い目をしている。
丁度後ろでザッと雪を踏みしめる音が聞こえ、急いで振り返る。そこにはオパールも目を擦りながら立ち上がっていた。
全員、無事に辿り着いた事にリクは安堵を浮かべる。すると、ウィドが複雑そうな表情でこちらを見ている事に気付いた。
「えっと…」
「…元の姿、戻ってると言うのに喜ばないんですね?」
「え…?」
すぐさま確認の為に顔を触ったり身体を見回すと、ウィドの言う通り元の姿に戻っている。原因は恐らく、今の自分が精神だけの状態だからだろう。そう…彼女の世界へ行った時のように。
「…少し前に、いろいろあってな」
「あたしも、リクが元に戻ったのは嬉しいんだけど…ついさっきも見てた気がするんだよね。なんでだろ…?」
身を持って体験したリクと違い、オパールはその時の事を覚えていないようで不思議そうに首を傾げている。(詳しくは外伝『心の世界』より)
「みんな、無事に着いたみたいだね」
「「「シーノ!」」」
そうこう話しているとシーノが現れ、三人は振り返る。
すると、シーノは周りの景色を見回しながら説明を始めた。
「ここが夢――彼の記憶から作られた世界だ。ここは世界の中でも一番浅い所、最近の記憶から作られた場所だね」
「最近の記憶…」
リクが呟くと、説明を聞いたウィドは顎に指を当てて考え始める。
「シーノ。ここはルキルの記憶を元に作られた世界と言う事で構わないんですよね?」
「うん、そうだけど」
シーノが頷くのを見て、ウィドは無言で何かを考える。
そして顔を上げると、何故か森の中へと足を進めた。
「ウィド?」
リクが声をかける物の、無視して慣れた様子で一人奥へと向かう。
仕方なく三人もウィドの後を追いかけると、森を抜けた所に木で作られた古ぼけた家が存在した。
「こんな場所に家なんてあるんだ…」
寂れた場所にある家にオパールが呟いていると、急にウィドはしゃがみ込んで地面に積もった雪を掻き分けた。
「――やっぱりあった」
何かを見つけたのか、掘った雪の中に手を突っ込む。
そうして取り出したのは、見覚えのある鞘に収まった銀のレイピアだった。
「それ、シルビア!?」
「元々、この剣はこの場所で見つけたんです。ルキルも覚えていたようで良かった…」
驚くリクに対し、ウィドは冷静に訳を話す。
それでも武器を手に入れた事により安堵を浮かべるのを見て、リクは不安げにシーノに話しかけた。
「なあ、あれは実際に使えるのか?」
「大丈夫さ。ここはあくまでも夢の世界、この世界の中でなら自由に使える筈だよ」
心配無用とばかりにシーノが答えると、ウィドは立ち上がって剣を引き抜く。
軽く剣を振るって握り具合や感覚を確かめ、満足したのか一つ頷いて鞘に戻す。
そうして定位置である腰の細いベルトに剣を留めると、さっそく本題に戻った。
「それで、どうやって元凶を探せばいいのでしょうか?」
「この世界の何処かに、記憶と潜在意識の境目がある。それを探し出せばいいのさ、そう…」
シーノが詳しい説明をしている頃、クウ達も夢の世界へと足を踏み入れていた。
「ここが、夢の世界…」
あまり見かけない街並み。少し離れた場所には、巨大な鉄の柵で出来た門と建物がある。
イオンだけでなくクウとペルセも不思議そうに辺りを見回すと、イリアが説明をした。
「正確には、シャオの記憶から作られた世界…と言った所ね。ここからシャオとは別の意識を見つけなければいけない」
「あちこちに変な歪みがある…」
ペルセは町中にある不思議な色をした空間の歪みを見つける。
それは一つだけでなく、道の真ん中や建物の屋根の上など至る所に存在している。
「これはシャオの中にある記憶よ。この中から記憶と潜在意識の境目を見つけ、元凶へと近づかなければならない」
「こんなに大量にあるのかよ…」
ざっと見回しただけでも10以上は存在する記憶の歪みに、クウは渋い表情で頭を掻く。
「仕方ないわ。彼は他者の記憶を取り込む事で能力を上書きして強化する体質、大量の記憶があるのは至極当然の事」
イリアがクウに言い聞かせていると、イオンはすぐ近くにある歪みに近づいた。
「とりあえず、まずは手当たり次第に入ったらいいのかな?」
「そうだね。何か法則が見つかるかもしれないし」
出した案にペルセも頷くと、四人は歪みへと足を踏み入れた。
記憶の歪みに
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