本来行き来が出来ない、外の世界に通じる禁断の道―――『異空の回廊』。
アクアは鎧を着てキーブレードを乗り物にし、ゼロボロスは背中に白と黒の翼を生やして飛んで回廊を進んでいた。
「――そうか、そんな旅を」
回廊を進みながら、ゼロボロスはアクアからこれまでの旅の話を聞いていた。
そんなゼロボロスに、アクアは一つ頷いた。
「はい。この世界の脅威であるアンヴァースを倒し、友人であるテラを闇から救うのが私の使命です」
「そして、テラとヴェンに何かをしようとするヴァニタスを倒す、と……それだけ、二人の事が大事なんだ」
「ええ、二人は共に過してきたライバルであり弟であり…――大事な友人です」
「大事な人、か…」
アクアの言葉に、ゼロボロスは懐かしそうに目を遠くに向ける。
遠い昔、まだ自分がゼロボロスとなる前にいた、大事な人と胸を張って言えた仲間と最愛の人。
『奴』に取り付かれたとは言え、彼らを殺したのは自分だ。その深くて大きな心の傷は未だに癒えていない。
「光を感じる…」
不意に呟いたアクアの声に、ゼロボロスは我に返る。
前を見ると、回廊の先に暖かい光が差していた。
二人が辿り着いたのは、海に浮かぶ小島の世界だった。
海の向こうでは太陽が沈んでおり、辺りを夕焼けに染める。
アクアが辺りを見回して橋を渡っていると、隣にいたゼロボロスが呟いた。
「『ディスティニーアイランド』…」
「知っているんですか?」
「まあね。と言っても、小耳に挟んだぐらいだけど」
アクアが足を止めて質問すると、ゼロボロスは軽く頷く。
その時、橋の向こうにある島に一つの妙な木があるのを見つけた。
「あれは…」
ゼロボロスの呟きに、アクアが振り返る。
視線の先には、星型の実をつけた木がある。
アクアはそれに近付いて見上げると、星型の青いペンダント―――つながりのお守りを取り出してじっと見つめた。
「テラ…ヴェン…――私に、この後待ち受ける戦いは――」
何かを思いつめるようなアクアの様子に、ゼロボロスは視線を逸らす。
「ん?」
そうして船着場に目を向けると、首を傾げる。
アクアも我に返ってゼロボロスを見ると、砂浜を駆ける足音が聞こえた。
「待って、待って!」
「ほーらソラ、置いてくぞ!」
続けて聞こえてきた男の子の声に、ゼロボロスと同じように砂浜を見る。
そこには、茶色の髪をした男の子と銀髪の男の子が砂浜でかけっこをしていた。
自分達の歩いた橋を通り抜けると、やがて二人は足を止めた。
先にゴールした銀髪の男の子は余裕の表情だが、茶色の髪をした男の子は息を整えている。
「どうやら、この世界の子供みたいだね…――あれ?」
二人を見ながらゼロボロスが呟いていると、アクアが自分の横を通り過ぎた。
「もう一回、今度こそ負けないから!」
茶色の髪の男の子が負けん気で銀髪の男の子に言っている。
すると、銀髪の男の子はアクアに気付いたのか急に顔を上げて橋を見た。
「え!?」
この様子に、茶色の髪の男の子も橋を見る。
アクアは足を止めると、こちらを見つめてくる男の子に顔を向ける。
二人を同じように見つめて微笑むと、アクアはその場にしゃがんで飛び降りた。
「――よっ!」
そうして二人のすぐ傍に着地すると、茶色の髪の男の子は驚いて飛び退く。
それが可笑しかったのか、すぐに頭を掻いてアクアに笑いかける。
アクアもその子につられて笑うと、銀髪の男の子をじっと見つめた。
(この子は純粋すぎる…まるでテラ)
そう考えると、隣にいた茶色の髪の男の子を見つめる。
(こっちの子は――…ヴェンそのものね)
今もどこかで旅をしている二人を思い浮かべ、思わず笑ってしまう。
そんなアクアに二人が不思議そうに顔を見合わせていると、急に遠い目になった。
「この子達のどちらかになら――」
何かを決意するような目に、遠くで眺めていたゼロボロスが首を傾げた。
「アクア…?」
ゼロボロスは遠くで傍観しながら、事の行く先を見る事にする。
アクアは二人に笑いかけると、首を傾げながら話し掛けた。
「ね? 君達の名前を教えてくれる?」
「俺はソラ!」
すると、茶色の髪の男の子―――ソラが元気よく手を上げて答える。
それを聞くと、アクアはソラの隣にいる男の子に聞いた。
「君は?」
「リク」
銀髪の男の子―――リクが答えると、ふと彼の中で懐かしい気配を感じた。
(この子はもうキーブレードの――…もしや、テラ?)
『レイディアントガーデン』で決別したテラの気配を感じ、複雑そうに顔を俯かせる。
二人はまた不思議そうに顔を見合わせると、アクアは笑みを浮かべてソラに聞
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