明らかに今までとは違う記憶の歪みに足を踏み入れる。
そこに広がっていたのは、白い部屋だった。
「この場所は?」
「忘却の城…!」
何処か異質な部屋にシーノが周りを見回していると、覚えがあったのかリクが表情を強張らせる。
その時、部屋の真ん中で黒コートを着た三人の男女が話をしていた。
「何の用だ、ヴィクセン。あんたの持ち場は地面の下だろ?」
「あの人達は…?」
赤い髪の男性、金髪の女性、そしてヴィクセンと言われた男にウィドが目を細める。
「あいつらは]V機――」
「――リア…?」
リクが答えようとした直後、オパールが小さな呟きを漏らす。
「オパール…?」
聞いた事もない名前にリクが振り返ると、オパールの目には驚きと茫然が混ざりあっている。その視線の先は、赤い髪の男性――アクセルだ。
その事に気付いていると、金髪の女性――ラクシーヌが鼻を鳴らす。
「ふん、あんたらしいわね。よーするに、実験しないと気が済まないって訳でしょ?」
「本能だよ、科学者としての…な」
「別にかまわねえけどよ。あんた、ソラを試すついでに自分のしもべも試す気だろ?」
「リア…リアっ!!」
アクセルがヴィクセンに向かって話していると、突然オパールが駆け出す。
そうしてアクセルの肩に掴みかかるが、この光景そのものが幻なのかオパールの身体はすり抜ける。
結果、オパールは思いっきり床に倒れ込む。これには慌てて、リクとシーノは彼女に近づいて助け起こした。
「これは記憶で作られた幻なんだ。実際に触れる事は――」
「リア、実験って何!? 何で機関にいるの!? アイザは!? ねぇ!!」
シーノの話が聞こえてないようで、オパールは尚もアクセルへと叫ぶ。
また掴みかかりそうな勢いを見せるオパールを、リクが腕を掴んで抑え込んだ。
「落ち着け、オパール!!」
「静かにっ!!」
黙っていたウィドから一括が飛んできて、暴れていたオパールは身をすくませて大人しくなる。
その間にも、アクセル達の話は進んでいく。
「まあいい。折角来ていただいたんだ、あんたにも楽しんでもらおう」
そう言うと、一枚の青いカードを取り出してヴィクセンに渡した。
「センパイへのプレゼントだ。そいつを使えば、もっと楽しい見世物になる」
ヴィクセンがそのカードを見ていると、部屋の奥で足音がする。
見ると、そこには黒の青のスーツを纏った今より若い少年のリク―――いや、まだ名前を持たぬレプリカがいた。
「ソラとリクの故郷の記憶だ」
「そんなもの、何の役に立つんだ?」
アクセルの渡したカードに、レプリカが疑問をぶつける。
すると、ラクシーヌが面白そうな笑みをレプリカに浮かべた。
「ナミネの力で、あんたにリクの記憶を植えつけるのよ。ついでに、自分が偽物だって事も忘れてもらうわ。よーするに、あんたの心を作り変えて本物のリクと同じにするってわけ」
「心を作り変えるだと!?」
この計画に、レプリカは明らか様に機嫌を悪くする。
「リクは闇を怖がる弱虫だぞ!! そんな奴の心なんていらない!!」
そうしてレプリカは拒絶を見せるが、ラクシーヌは冷めた目でヴィクセンに顔を向ける。
「いいわね、ヴィクセン? こいつはソラを試す道具なんでしょー?」
「止むを得んな」
「「「「っ…!?」」」」
笑いながら了承するヴィクセンに、ウィド達三人だけでなくリクも表情を強張らせる。
そしてそれは、記憶のレプリカも一緒だった。
「なんだと!? 俺を裏切るのか!!」
このレプリカの言葉に、ヴィクセンは冷めた笑いで握っていたカードを見せつけた。
「『役に立って貰う』と言ったはずだ」
「なっ――!!」
「大丈夫よー、たぶんそんなに痛くないからさ」
「――ふざけるなっ!!」
ラクシーヌの言葉に怒りが爆発し、レプリカが剣を取り出して斬りかかる。
直後、ラクシーヌは手に電流を纏い一瞬の内にレプリカを思いっきり薙ぎ払った。
「ぐあっ!?」
「ッ!! ルキル!?」
遠くへ吹き飛ばされたレプリカに思わずウィドが手を伸ばしていると、ラクシーヌの高笑いが部屋中に響き渡った。
「あっはははは!! 笑っちゃうわ〜、たかが偽物が私に勝てる訳ないでしょーが!!」
そう言うと、余裕の表情を浮かべてゆっくりと近づくラクシーヌ。
レプリカは抵抗しようとするが、剣も遠くに吹き飛ばされ手元にない以上どうする事も出来ず怯えを見せる。
「でも、安心していいわ。私にブチのめされた記憶だって、ナミネが消してくれるんだから」
何処か楽しそうに言い聞かせるラクシーヌを見ていると、視界にある人物が映る。
部屋の奥で椅子に座っているスケッチブック
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