3日目の朝。ビフロンスの城で、眠っている者ら以外の皆は朝食を広間で食事をしていた。
しかし、それまでの賑やかな様子はなりを潜め、静かになっていた。
「――随分と静かだな」
同じく朝食をしていた影のある風貌に、右腕に銀色の鎖を巻きつけた男性――ベルモンドが共に食事をしていた人物に話し掛ける。
「色々と事件が起きたみたいで、何人かは眠りについているそうですよ」
共に食事をしている人物――白衣に赤い衣装を着た青年レギオンが応じた。
その隣で、彼の親友である深い紺色の髪をした青年サーヴァンもその話に付け加わる。
「皆、心配なんだろうな。だから、いつもの賑やかさがねえのさ」
「そうか…」
そうつぶやきながら、彼は食事をとる。レギオンらもそれに倣って食事を再開した。
そして、食事を終えたベルモンドらはやって来たアトスに話しかけられる。
「ねえ、あなた達。暇なら手伝ってほしい事が在るのだけれど」
「?」
アトスを含めた、ベルモンドらはカルマの呪縛下にあった経緯から神無たちに無理に協力する事は無いと言われていた。
これは戦力外通告ではなく、戦力として数えてはいけないと彼らを想っての配慮だった。
あくまでも無関係な者たち、という扱いであった。それでも協力してくれるのなら僥倖と。
「暇はしている。何かあるのか?」
ベルモンドは応じ、アトスは付いてくるようにと言って案内をした。
一同が入った部屋はアイネアスの執務室だ。
部屋には他にも自分らと同じカルマの呪縛下にあった者らと半神たち、テラたちも客用のソファーや壁に凭れてたりしている。
多くの面子を尻目に、レギオンは執務室に座っているアイネアスにたずねた。
「我々に何か、手伝いを任されることでもありますか…?」
「ええ。皆さんを此処に招いたのは他でもない。―――ある素材の回収を協力してもらいたいのです」
「素材?」
アイネアスは頷き、事の経緯を説明した。
先日のクウ、無轟の武器の新調と同じく、ウィドの剣も同じく希望した。
しかし、先の二人のような武器とは異なる武器。『心器』と言う、心剣と近い存在である。
「『長年の時を過ごした朽ちた水晶の剣』、『悠久の霊窟に眠る玉鋼』、『天地蒼穹の水』をそれぞれ必要になるのです」
「そんなものがあるのか? 信じ難いが…」
「問題ない」
素材の名に、疑問を抱くリヒターに、静かにアルカナが応じる。
「一つ目の『長年の時を過ごした朽ちた水晶の剣』は心剣の残骸の事だろう。ただの残骸ではない、剣の形を留めたもの。
それは私が管理している心剣世界に在る。探し出すのに時間が掛かるかもしれんが……。
後の他二つの場所は概ね知っている。キルレストが嘗てそれらを用いて武器の製造をした事が在る」
アルカナはそう言って、キルレストに目線を送って話を託す。
請け負った彼は頷き、口火を切る。
「『悠久の霊窟に眠る玉鋼』、これはカムラン霊窟というある世界に存在する鉱物洞窟だ。
『天地蒼穹の水』、これはツェーラス湖という先の世界と異なる世界に在る湖で、素材はそれぞれそこから回収できる。
回収した素材を、私の力で加工し、それを武器として仕上げる」
「でもさー場所はわかっても、それはアンタの場合だろ。俺らじゃあ、異空の回廊を使ってもわからねえしな」
異を唱えたのは碧髪の青年リュウアだった。普段の陽気さではなく、困ったような顔で物申した。
キルレストはその意見に同意しつつも、適切に応じた。
「無論、それぞれの採取場所の世界への道しるべ(ビーコン)は用意している。
異空の回廊を使えば、迷う事無く目的地へ辿りつくことは出来る」
「それらの素材はすぐに見つかるのでしょうか…? 私たちではどれが『適した素材』なのか、解らないわ」
続けての問いかけは、リュウアの妹であるリュウカ。不安な声色と表情で、キルレストらに尋ねた。
「それに関しては今から話します」
キルレストが目くばせし、代わって応じたのはアイネアスであった。
重要な話の本題の一つともあって、場の空気は澄みきり、厳かであった。
「――今回、大きく3つのチームでそれぞれの素材を回収してもらいたいのです。
1つ目はアルカナと共に心剣世界へ、2つ目はキルレストと共に霊窟の世界へ、3つ目はイリシアと共に湖のある世界へ。
これらの回収するチームに、それぞれの素材に詳しい者らをリーダーとします」
アルカナは心剣世界を管理している半神、キルレストは素材を居場所も情報も知っている半神、
3人目のイリシアは水を司る半神であり、キルレストの情報を理解し、これに協力に参加した。
既に、1つ目の素材探索チームは決まっている。
アルカナをリーダー
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