二人が足を踏み入れた場所は、薄暗い夜の海岸だった。
「あれ? ここって…」
「俺の故郷の世界だ。あの離れ小島、あそこがお前と最初に出会った場所。で、ここは俺達が暮らす本島だ」
辺りを見回すオパールにリクが丁寧に教えていると、頭上で何かが煌めく。
思わず二人が見上げると、まるで夜空を彩るように沢山の流れ星が降ってくる。
突然の流星群に見とれていると、小さな桟橋の上に二つの小さな人影を見つけた。
「怖いよ…リク…」
「大丈夫だよ、ナミネ」
まだ小さな子供である金髪の少女―――ナミネが怯えると、同じように小さな子供であるリクが安心させようとする。
しかし、ナミネは不安を抑え切れずに未だ身体を震わせ涙目になっている。
「本当? でも、島に星が落ちて来たらどうしよう…?」
「もし星が落ちてきたって、俺が全部跳ね返してやるから!」
おもちゃの木剣を振り回し、星を打ち返す動作を見せるリク。
これを見てナミネも少しだけ怖さが引いたのか、リクに小さく首を傾げた。
「……約束、だよ?」
「約束する」
ハッキリと答えて笑いかけると、ナミネもようやく笑顔を見せる。
すると、ポケットから星形のキーホルダーを取り出した。
「これ…約束のお守り」
そう言って、取り出したお守りをリクの手へと乗せた。
「このお守りね、私が生まれて来た時からずっと持ってたの。リクにあげる」
手渡したお守りの事を教えながら、ナミネはリクへと笑いかける。
それを見て、リクはお守りを握り締めるとナミネに笑い返した。
「だったら…今度からは俺がナミネを守るよ」
ポケットにお守りを仕舞いこみ、ナミネの手を握りかえす。
ナミネも嬉しいのか、徐にリクの手を握り返した。
「ね、リク。この実を身に付けている恋人どうしは絶対にはなれないんだって」
「それって――」
「何が起きても、いつかまためぐりあえるんだって」
そこで急にナミネの顔がぼやけ――記憶が途切れた。
「…あんた、あんな女の子にこんな約束してたんだ。サイッテー」
映像を見終わって元の場所に戻るなり、開口一番にオパールが軽蔑の眼差しと共にそんな言葉を放つ。
明らかに不機嫌になっているオパールに、リクは冷静に首を振った。
「いや、俺はこんな約束してないし、故郷でナミネにも会った事もない」
「はぁ? 何言って――」
「あれはナミネが作った偽の記憶だろう。ニセモノに植え付けた、な」
「…どう言う事?」
淡々と説明するリクに、オパールも睨んだまま聞く体制に入る。
「ナミネはソラに関わる記憶を操る能力があるんだ。その力を使って、レプリカに記憶を植え付けたそうだ…俺の故郷の記憶に、ナミネが作り出した偽の記憶を組み込んでな」
「じゃあこれ、さっきの女が言ってた偽の記憶なんだ…」
さっきのラクシーヌの言葉を思い出しながら、納得を見せるオパール。
だが、すぐに表情を歪ませた。
「作られた記憶なのに…なんか、ムカつく」
「どうしたんだよ、いきなり?」
「うっさい、しばらく話しかけないで。この女たらし」
「なっ!? 言って置くが、あれは嘘の記憶だぞ!? それにあの約束をしたのはニセモノの方うごぉ!!?」
反論をぶつけたのに、思いっきり顔面にパンチされた。
「理屈じゃないのよ、この鈍感っ!!」
「意味が分からないぞ!? 何だって――!!」
「ケリアゲルワヨ?」
「もう黙ります…っ!!!」
ハートレスの如く目を光らせながらドス黒いオーラを纏うオパールに、リクは即座に頭を下げる。
あの修練場での刃沙羅の二の舞にだけはなりたくないとばかりに…。
その頃。学園の校庭に存在した記憶の歪みにクウ達が足を踏み入れると、崩壊したばかりの大きな建物の中へと移動した。
「なに、ここ…!?」
「廃墟、にしてはそんなに古くないし…あれ、クウさん?」
何処か異様な場所にペルセが見回すと、クウが茫然とある方向を見つめている事にイオンが気づく。
見ると、中央でもう一人の――記憶の中のクウが座り込んで、息を絶え絶えにした下半身が蛇のようになっている青い髪と目をした女性を抱えている。
「待ってろ…――すぐに、すぐに助けるから…」
クウは泣きそうになりながらも、異様な姿となった女性へと手を翳す。
だが、女性は息を荒くしながらその手を掴んで自分の胸に当てた。
「もう、いいから…――私を…殺して…」
「何言ってるんだよ!? 俺にはそんな事出来る訳ないっ!!!」
「あなただから…頼みたいの…」
思わず怒鳴りつけるクウに、女性は辛そうに目を合わせて懇願する。
「私…あなたに、ずっと迷惑かけてた――ずっと嘘をついていた……だから、最後は
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