少年は両手に持った二つの剣を握り、一気に駆け込む。
それを素早く振るうが、ジャスが槍で防御した。
「スピードはなかなかですが……僕には効きませんよ?」
「どっ…りゃぁ!!」
すぐさま少年はぶつけたキーブレードを捻り、擦るようにして動かす。
そうして体制を少しだけ崩し、もう片方に持っていた光の長剣で上から振り下ろす。
ジャスは持っている槍を引き抜くようにして攻撃を避ける。少年はふらつくものの、片足を軸にして回った。
「『エアアーツ』!!」
風を纏った両手の武器を握りしめ、その場で回って衝撃波を発生させる。
だが、その衝撃波をジャスは槍で器用に防御する。
やがて攻撃をし終えた少年は、ある事に気づいて首を傾げた。
「ジャスさん、【ジャッジメント】使わないの?」
【ジャッジメント】。それは、ジャスティスが使う独自の魔法だ。
本来魔法と言うのは詠唱や魔力を必要とする。しかし、ジャスティスは詠唱はおろか、魔力を練りこむ時間を必要としない。要はキーブレードで魔法を発動するのと同じぐらいの動作で即席で発動が出来るのだ。
この少年の質問に、ジャスは眼鏡を軽く押し上げた。
「あなた如きに、わざわざ使う必要ないでしょう。それとも使って欲しいんですか?」
「ジャスさんの好きにすればいいよ…だってボクの『モード・スタイル』は、『スピード・モード』だけじゃないからね!!」
何処か自信ありげに宣言するなり、最初の変化のように両手を交差する。
同時に、少年の身体が光り出した。
「第一段階、チェンジ…――『パワー・モード』!!」
そうして光に包まれ、霧散する。
すると、少年は通常の二倍ほどの大きさのキーブレードを持って佇んでいた。
「大剣、ですか? 面白い能力ですね……まあ、その武器にあなたが振り回されなければいいのですが――」
ジャスが皮肉を混ぜて言っていると、少年が大きく跳躍した。
「『スタンブレード』!!」
電圧を纏ったキーブレードを、ジャスにめがけて大きく振り下ろす。
ジャスは受け止める事はせずに避けていると、少年の表情が若干歪む。
どうやら、防御させて電撃を武器を伝わせて麻痺を起こさせる作戦だったようだ。
「やれやれ、突っ掛かる事もしないとは……ちゃんと、父親特有の冷静さを受け継いでいるようですね」
怒りに見せかけての考えた攻撃に、ジャスは思わず彼の“父親”を思い浮かべる。
「そして…母親特有の強さも持っている、か…」
同時に彼の“母親”も思い出し、見えないように微笑する。
そして、ジャスは戦っている間にずれた眼鏡をかけ直して少年を見据えた。
「――少し、僕も本気を出しましょうか」
ジャスは睨みつけながら、指を鳴らそうと親指と中指をつけて少年へと伸ばす。
【ジャッジメント】の動作だと分かり、すぐさま少年が阻止しようと動いた。
「『エアリルブレイク』!!」
再びジャスへと跳躍し、一気にキーブレードを振り下ろす。
だが、ジャスは手を伸ばしたまま横に避けた。
―――パチン
「しまっ…!?」
聞こえた音に思わず少年が防御するが、何の攻撃も起きない。
その代わりに、ジャスが近づいて槍で横になぎ払った。
「はぁ!!」
「うわっと!?」
予想外の事に、少年は驚くがどうにか地面を転がって避ける。
そうして手をつけて座り込むように体制を立て直すと、驚いた表情でジャスを見た。
「【ジャッジメント】使うんじゃなかったの!?」
「誰が今使うなんて言いました? それに――」
そう言うと、再び少年に向かって手を伸ばす。
「使うのなら、こう言った状況で使いませんとね? ジャッジメント―――『ペナルティ・オブ・クリミジョン』」
その言葉と共に、ジャスが指を鳴らす。
すると、少年に向かって灼熱の炎が収縮される。
少年を軽く呑みこめるほどの炎が爆発する刹那、キーブレードを地面に叩きつけた。
「『ロックライズ』!!」
そうして叩きつけた場所から、少年を隠すほどの巨大な岩が突き出す。
同時に爆発が起きるが、突き出した岩を盾にして爆発と共に襲いかかる炎には直撃せずに済んだ。
攻撃を防いだ事に少年は安堵の息を吐く。直後、足元から地面から生える様に幾つもの細い黒い槍が突き出した。
「安心している暇はありますか?」
「くっ…!!」
ジャスを見ると、武器である槍を地面に突き刺している。
これが、ジャスティスの使う槍の一つ『ゲイボルグ』の能力だ。ゴムのように収縮自在で、その気になれば百以上も槍を枝分かれさせて相手を貫く事が出来る。
そうこうしている内に、外れて天へと向かった槍の矛先が一斉にこちらに戻るように向かって来た。
(どうしよう
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