奥に進めば進むほど、霊窟を明るくしていた鉱物の数は減っていき、最終的には真っ暗闇になった。
その殆どが、リュウアが見つけた様な『削がれた』跡があり、最奥へとたどり着けばその正体が何であるかも解るはずだった。
「大丈夫、問題ないわ」
周囲の暗闇に対し、アイギスは反剣セブラティカによって、明かり代わりの光球を作り出して、暗闇を気にせず進んでいった。
そして、彼らは最奥ともいえる場所にたどり着いた。そこは取って来た道よりとても大きく広がった空間で、何故か天井も高い。
「――なんだ、あれ」
疑問に抱く一同が、音に気づいて、仰いだ。その視線が一つに注がれたもの。
それは天井を攻撃するように抉り続ける少女であった。暗闇なのに、彼女がかすかな光を帯びていた。
そして、彼女は身の丈並みの巨大な大剣を手に、
「ッッシャアァ!」
大きく跳躍するとともに、天井を斬りつけ、再び地面に着地する。
大剣の切れ味をもってしても天井は小さな傷しか残されていない。
「……だれだ、おまえら」
少女は睨み据えていた天井から、入口の方にいたキルレストたちへと誰何するように睨めつける。
少女の姿は見目に反した禍々しさを漂わしている。不気味なまでの白い肌色、一部が漆黒に染まっており、銀と黒の装甲を身に着けている。
互いに殺伐とした対峙とした中で、キルレストが他を制するように前に出た。
「我々は、此処にある『玉鋼』を回収しに来たんだ。必要な分だけ欲しいだけなんだ」
「……」
彼の言葉に、少女は少し考える様に構えを小さく崩す。
「……その、『玉鋼』は……これ、か?」
ごそごそと少女は、ゆっくりと装甲の一部を取り外し始めた。驚く一同に、構わず少女は取り外した肌身の箇所を指差す。
そこは白い肌でも、漆黒に染まった肌でもない、『鉱石の様な一部』であった。
更に、言葉を喪うリュウアたちだが、ただ一人、言葉を喪わず、驚かずに静かな表情でキルレストは息をのむ。
「――――間違いない」
抑揚を抑え、震えた声音でそれが、目的の素材『玉鋼』のものである事を告げた。
「お、おい! ……マジかよ」
刃沙羅は驚き困惑するも、キルレストの表情が紛れもない真実を物語っていた事に声の張りを落とす。
一同も、その様子を見つつ、少女へと視線を向ける。
「つまり…この子そのものが『玉鋼』ってことなの…?」
リュウカの問いに、キルレストははっきりとした頷きはできず、沈黙で返してしまう。
すると、少女は取り外した装甲を直し、ゆっくりと大剣を握りしめる。
「……なら……」
凶暴な笑みと共に、少女は地面を蹴っ飛ばす。驚異的なスピードで、間合いを詰め、大剣を振り下ろす。
最初に狙ったのは―――。
「キルレスト!」
「くぅっ!!」
リュウアの叫びと共に迫った刃を、寸での所で躱し、叩きつけた衝撃で間合いを取る。
既に、他のものもそれぞれ臨戦の距離を取った。
「はぁ、面倒な事になりましたね…!」
呆れを吐き捨てる様に、レギオンは嘆かわしい様子で呻く。彼の周囲にも暗黒物質『黒世の物質』を具現化して、腕に纏わらせる。
「―――」
少女は彼らを一瞥しつつ、大剣を持ち直す。
「はぁぁっ!」
その鈍重を突く様に、この場の誰よりも素早く移動できる毘羯羅が駆け出す。
瞬時に、その間合いに踏込み、『瞬刃』を閃く。しかし、その刃が少女を裂く事は無かった。
阻まれたのだ。龍の頭部の様な何かが少女の『尾』となって伸びて、毘羯羅の一刀を防いだ。
「っ!?」
「っしゃああ!!」
驚愕に戸惑う間もなく、少女は吼えと共に、龍尾をもろとも勢い良く振り払った。
投げ飛ばされ、石壁に叩きつけられるのを回避しつつ、舌打つ。
「ちっ、常軌を逸しているな…!」
「師匠っ、無事か!」
「刃沙羅、敵を見ろッ!」
駆け寄ってきた弟子に一喝し、彼の背後へと衝撃波を放つ。
衝撃波は背後に迫ってきていた龍尾の頭部が着弾し、引き下がった。
「!」
「まったく…」
呆れつつ、どこか彼らしいと安心しつつも、表情を引き締める。
刃沙羅も、反省しつつ、大刀『カオスゲヘナ』を持ち直して、気合を入れ直す。
「バケモノなのは、解った。全力で叩き潰すッ!」
「それが手っ取り早い、かな!?」
斬りこみした刃沙羅と、同時にリュウアも大剣『ライフストリーム』を手に、少女へと挑みかかった。
まずは刃沙羅へと大剣で迎撃、迫るリュウアには龍尾の頭部が口をあけ、収束したエネルギーを光弾として乱射する。
「っ、うおわ!?」
予想外の攻撃に、リュウアは躱しきれずに吹きとばされる。少女と唾競り合う刃沙羅に、龍尾が迫り、同じく口を開く。
今度は
[3]
次へ
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想
TOP
掲示板一覧
ゲームリスト |
ゲーム小説掲示板
サイト案内 |
管理人Twitter
HOME