ノーバディ達との戦いに突如割り込んだ存在――ドリームイーター。
今も尚自分達の前で威嚇を見せる緑の竜に、オパールはシーノへと目配せした。
「シーノ、ドリームイーターって…!?」
「詳しい説明は省くけど、夢の世界に住む生き物で……人々の悪夢を食べる『スピリット』、悪夢を植え付けたりする『ナイトメア』の二種類に分かれているんだ…」
この状況では事細かく説明している余裕はなく、大まかな知識を教えるシーノ。
「そして、あれは…スピリットの『リュウドラゴン』と言う種族――ドリームイーターの中でもなかなか目にかかれない、希少な存在だ…」
そう話していると、今まで傍観していたノーバディ達が身体を捻らせながら飛び掛かる。
同時に威嚇していたリュウドラゴンも地を蹴り、鋭い爪でノーバディ達を斬り裂いた。
「もしかして、あたし達を助けてくれてる…?」
素早い動きで翻弄し、炎を使った攻撃を繰り出してノーバディ達を着々と消していくリュウドラゴンに、オパールは放心してしまう。
「と言うか…もの凄く強くないか?」
「向かってくる敵を次々と薙ぎ払ってますよ…」
「うん…珍しくて強いのは有名だけど、ここまで強かったかなぁ…?」
だが、時間が進むごとにリュウドラゴンが華麗な動きで次々と爪で斬り裂き、炎の魔法で纏めてノーバディ達を燃やし尽くす光景に、リク、ウィド、シーノは唖然とし出す。
「それに、ここは夢とは言えルキルの記憶を元にしている世界だ…今は他の意識が乗っ取ろうとしている不安定な状態だから、ドリームイーターは現れない筈なのに…」
本来ならばあり得ない筈の現象に、シーノは一人首を傾げる。
そうこうしている間にも、襲ってきたノーバディを一匹残らず片付けたリュウドラゴンは構えを解いて蹲るリク達へと顔を向けて近づく。
未だに身体に負荷を掛けられている四人に一つの白い魔法の光を放つ。すると、四人の身体に掛かっていた重みが取り払われた。
「身体が軽くなった…!?」
「僕達に課せられたペナルティを失くした…訳じゃないみたいだけど…」
リュウドラゴンのおかげで動けるようになったが、理由が分からずリクとシーノが立ち上がりながら首を傾げる。
オパールとウィドも立ち上がると、リュウドラゴンは部屋の出口の方へと走り、奥の通路へと何度も首を向けてくる。この行動に、オパールが思った事を呟いた。
「もしかして、ついて来いって言ってるのかな?」
「行って見ましょう」
考えに同意なのか、ウィドも頷いてリュウドラゴンに近づく。
これを見て、リュウドラゴンは何処か嬉しそうに通路の奥へと走って行った。
一方、シャオの世界では―――
「クウさん、大丈夫かな…?」
イリアの言いつけ通りにシャオの記憶を探していたが、一方的に自分達と別れたクウが心配でイオンが後ろを振り向く。
気持ちは同じなのか、隣にいたペルセも足を止める。
「やっぱり、スピカさんの事気にしてるのかな…」
「うん…別の世界の記憶でも、あんなの見たら誰でもショックを感じるよ」
自分自身が、大事な人を消してしまう。どれだけ辛くて、苦しくて、悲しい思いをした事だろう。
ペルセも心配そうな表情を浮かべていると、イオンは重くなった空気を取り払うように笑顔を見せた。
「クウさんの事は心配だけど、イリアドゥスさんが何とかしてくれるだろうし……僕達は僕達で早く元凶の記憶を探そう」
「そうだね…――あ。イオン、あそこ!」
徐にペルセが指した方を見ると、他者ではなくシャオ自身の記憶がある。
二人は迷うことなく、記憶の歪みへと入っていった。
記憶の歪みに入ると、そこは夕焼けに包まれた森の中だった。
「何処だろうね、ここ…」
イオンが辺りを見回していると、隣にいたペルセが固まっている事に気付いた。
「ペルセ、どうしたの?」
「イ、イオン…あれ…!?」
声を震わせながら、右手を上げて奥の方へと指を差す。
そんなペルセに、イオンも訝しげに指した方向を見た。
「――いいぞ、シャオ。太刀筋も上手くなってきたな」
「ホント! ありがと、父さん!」
そこには、キーブレードを握り締めて自分達の見知った銀髪の男性に向かって笑うシャオの姿があった。
「リ、リクさんっ!!?」
シャオが『父さん』と呼んだ男性――リクの姿に、イオンは驚愕の声を上げる。
そんな二人が見ている前で、彼はシャオの頭に手を置いて笑みを溢して撫で廻す。
すると、森の奥から長い黒髪の女性が大きく手を振って現れた。
「二人ともー!」
「母さんっ!!」
そう言って、シャオは笑顔を浮かべて女性へと駆け出す。
続けて現れた女性にも、二人には見覚えがあった。
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