自分達のセカイではなく、別次元のセカイの荒れ果てた荒野。
乾いた風が吹いて砂埃が軽く舞う中に、アルガとティオンがいた。
「――大丈夫かしら、二人とも」
「さあな。俺達に出来る事は、二人を信じて待つ事だけだ」
心配なのかソワソワと落ち着きのないティオンと違い、アルガはどっしりと構えるように腕を組んで岩に背中を凭れている。
もう一つの――シルビアがいた世界へ辿り着き、ティオンは闇の世界への空間を作り出した。その際、アルガは闇の世界に行くアガレスとルシフに『時間による結界』をかけていた。闇の世界は空間だけでなく時間すらも不安な場所。闇側での一日が、光側では一年だったと言う事にもなる。(逆も然り)
いざ準備も終わり、アガレスとルシフを送りだし…――ミュロスから貰った通信用の栞を握り締めて二人の連絡が来るのを待っている。
そうして二人の会話が途絶えると、急に持っていた栞が反応を見せた。
「アガレス! ルシフ! 見つかったか!?」
栞に叫ぶようにアルガが声をかけると、アガレスからの返事が返って来た。
《見つかったには、見つかった…! 二人とも、何時でも私達を転移出来るようにしてくれ!!》
「何かあったの?」
《少々、問題があって――ルシフくん!?》
ティオンに説明しようとした時、悲鳴が上がる。
思わず二人が息を呑むと、今度はルシフの声が聞こえた。
《大丈夫です! それよりアガレスさん、転移の準備を!》
《二人共、頼む!》
「ティオン!」
「分かってる!」
緊急事態だと瞬時に判断し、アルガとティオンは心剣を手に取る。
そうして前方に転移用の大きな魔方陣を浮かび上がらせると、光と共に傷だらけのアガレスと《カオス》に変身したルシフ、その後ろには巨大な黒い球体が現れた。
「はぁ…はぁ…!」
蹲りながら身体を黒い光に包み、元の少年の姿に戻るルシフ。
そんな彼に、アガレスは労わる様に肩に手を置いた。
「ルシフくん、よく頑張った」
「いえ、まだです…! この人をタルタロスに連れて行って、元に戻さないと…!」
若干ふらつきながらも立ち上がると、後ろにある黒い球体に目を向ける。
「なんだ、この黒い球体は?」
「少し手荒ですが、この中に彼らの仲間であるソラさんを閉じ込めているんです」
「閉じ込める? どうして?」
険しい表情を見せるルシフに、立て続けにアルガが質問をする。
その時、球体から何かが引き裂かれるようなけたたましい音が響いた。
「なに、今の音…!?」
ゾクリとした恐怖を感じ、ティオンが球体を見ながら怯えた表情を浮かべる。
オルガも球体から目を離せずに固まっていると、すぐにルシフが説明した。
「…今、あの人は闇に包まれていてハートレスに近い状態になっているんです。だから、僕の力でこうして閉じ込めたんです」
「闇に包まれている? 呑まれてる訳じゃないのか?」
「ええ。今の彼は表面を闇でコーティングしている状態です。思考や姿はハートレスそのものだが、中身まで染まっている訳ではない。恐らく、闇の浸食に対する何かしらの自己防衛でそうなったのだと思うのだが…」
言い方に疑問を感じたアルガに、アガレスも説明に加わる。
原理はよく分からないが、彼は闇に対抗するために自ら闇に染めたのだろう。その辺りは本人に聞かないと分からない問題だ。
「とにかく、ソラさんの闇を払う為にタルタロスに行こうと思っているんです。あの町にある塔の光はハートレスを寄せ付けない。言い換えれば闇を払う光でもありますから」
「彼をこのまま拘束して塔の光を浴びせれば、すぐに元に戻るはずだ。悪いが、タルタロスまで転移を頼む」
「もちろんだ」
「どっちにしろ、この状態の彼を城に連れて帰る訳にはいかないわね。ビフロンスに危険な火種を持ち込むのもそうだし、仲間達はショックを受けかねない」
ルシフとアガレスの提案に、アルガとティオンは快く引き受ける。
闇に染まってしまった彼を元に戻し、拠点としているビフロンスに連れて行く。きっとそれだけで彼らに…いや、自分達にも光が生まれる。そんな気がするのだ。
心剣に力を注ぎ、まずは元の次元へ戻る為の魔方陣を自分達の周りに浮かび上がらせる。そのままタルタロスへの転移を行おうと、更に魔方陣を上書きしようとした。
―――直後、黒い球体の一部が破壊されると共に黒い影が飛び出した。
「なんだっ!?」
「っ!?」
突然の事に、二人は同時に振り返る。
飛び出した黒い影は目を光らせて、猛スピードでルシフへと接近してきた。
「ルシフくんっ!!!」
狙われたルシフを見て、即座にアガレスが手を伸ばす。
同時に、バチバチと激しい音が鳴り響いて魔方陣が爆発を起
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