ソラ。その少年はクウ達の仲間であり、あちらのセカイでは何度も闇や狭間の脅威から世界を救ったとされるキーブレードの勇者と呼ばれる存在だ。
しかし、闇に染まった彼は今や黒い影となって縦横無尽に彼らに襲い掛かっていた。
「バーニングアロー!!」
フレイアは全身に炎を纏い、高速の蹴りをアンチソラに向かって放つ。
攻撃が入るがアンチソラは僅かによろめき、お返しとばかりに身体を回転させてフレイアの身体を連続で切り裂いた。
「ぐぅ!?」
この反撃にフレイアが身動ぎすると、更にアンチソラは追撃を仕掛けようとする。
だが、虚空から現れた七本の剣がフレイアとアンチソラの間に突き刺さる。この牽制には思わずアンチソラは攻撃の手を止める。
一方、援護攻撃にフレイアが後ろを振り返ると、剣を操ったであろうジェミニが永遠剣を持って笑っていた。
「牽制は任せろ」
「サンキュ、オッサン!」
「オッ…」
若干無礼なフレイアの言葉に、ジェミニは絶句してしまう。
女性なのに男勝りな性格と言い、少々荒い言葉遣いと言い、育てたであろう親の顔が見てみたい。そんな事を心の中で思っているジェミニの横から、ティオンが飛び出した。
「よそ見してる暇はないわよ!!」
剣を振るい空間の力を発動させると、アンチソラの周りに歪みを作る。
すると、その歪みから光弾を発射してアンチソラへと被弾させる。
「ケアルラ! プロテガ!」
相手が怯んだ隙を見て、遠くにいたルシフが魔法を唱える。
同時に、フレイアに癒しの光が集って先程の傷を癒し、アガレスを含めた全員物理から守る魔法の障壁に包まれた。
【カオス】と言う強大な闇を抱える者にはあまり似つかわしくない他者を癒し、守る力に、ティオンは驚くようにルシフへと顔を向けた。
「あなた、援護魔法使えるのね」
「はい、僕は回復と補助魔法の相性はいいんです。代わりに攻撃魔法は一切使えませんが、カオスの力があれば十分補えますし」
「だったら、俺からも全員にプレゼントだ!」
アルガはそう言うと、手を真上に翳す。
瞬間、今度はアガレスを除いた全員に時計の様な文様が浮かび上がって吸収される様に消える。
最初は何が起きたか分からなかったが、すぐに自分達の時間を早めて素早さを上げてくれた事に気付いた。
「ありがとうございます、アルガさん!」
こうして出来る限りの強化をし終え、それぞれがアンチソラへと向かい合う。
影の様に動き回るアンチソラにフレイアが強力な攻撃を繰り出す中、八つの剣を操って牽制するジェミニと時間の力で不意打ちを仕掛けるアルガ。ティオンは空間の力を活用して遠距離から攻撃し、ルシフも回復魔法を使ってそれぞれの傷を癒す。
その一連の戦いの流れを、負傷して動けないアガレスは後ろで眺めていた。
(会ったばかりだと言うのに、上手く連携が取れている。こちらに分が出来て良い事だが……決定打まではいかない)
五人と戦っている相手は、助けなければいけない人物。かつてカルマに洗脳させられ『Sin化』された人達と同じだが、生身の人間と違いハートレスに近い状態。下手にダメージを与えすぎれば、消滅しかねない。
それはアルガ、ティオン、ルシフだけでなく、話を聞かされていないジェミニ、容赦なく格闘術を繰り出しているフレイアですらそれを薄々感じて手加減している。
対して、アンチソラは力を出し惜しみすることなく全力で向かってくる。ハッキリ言えば、嫌でも防戦に持ち込まれている状態だ。
「ルシフ、あとどれぐらい!」
「さすがにそこまでは分かりません…!」
「ああ、めんどくさい!! こうなったら全員で特攻をかけて終わらせるよ!!」
「そんな事出来る訳ないだろ!! あいつを消す気か!?」
背後から聞こえるティオンとルシフの会話に、フレイアは我慢の限界と言わんばかりに全身に気を高める。
さすがにマズいと落ち着かせる為にアルガが叫んでいる隙に、アンチソラは八つの剣の攻撃を潜り抜けてジェミニに猛攻を繰り出した。
「ぐあああぁ!?」
「ジェミニ!!」
見えない速さで繰り出された影の攻撃に傷を負ってしまうジェミニに、ティオンが悲鳴を上げる。
すぐにフレイアとアルガがアンチソラに攻撃してジェミニから引き剥がすと、ルシフが『ケアルガ』を発動させて即座に傷を癒した。
「少々手荒だけど、やるしかない…!!」
ジェミニの傷を癒すなり、ルシフは何かを決意したように優しげだった目を鋭くさせた。
手加減しながら、相手の攻撃を封じる方法。それは攻撃の暇を与えない程、手数で攻めればいい。
「――ジェミニさん、一旦後退してください!! 姉さん達も10秒後に引いて!!」
「あ、ああっ!」
「OK!」
「10秒後
[3]
次へ
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想
TOP
掲示板一覧
ゲームリスト |
ゲーム小説掲示板
サイト案内 |
管理人Twitter
HOME