敵の罠により、アルカナたちはそれぞれの自分(コピー)に襲われる事態に陥った。
ただの贋物ではない、鏡に映った『自分』であると理解するのに、時間はかからなかった。
「――く…!」
アルカナは、鏡より現れた自分たちの攻撃を、我が身で防ぎ、阻んでいた。
伸縮自在の不可視の刃の結界で二人が逃げる時間を少しでも稼ぐ。
アルビノーレはともかく、レイアはこの不可思議な戦闘に巻き込むわけにはいかなかった。
対峙する敵は『アルカナ(じぶん)』であり、『アルビノーレ(なかま)』だった。
「ふん。自分一人で攻撃を全て抑え込めるのか?」
対峙する敵のアルカナが不敵に笑う。
手には同じ伸縮自在の不可視な心剣『アルカナハート』と、彼の周囲には力の結晶であるタロットカード『アルカナカード』が浮かんでいる。
敵のアルビノーレも大槍『曙光の導槍(レチェール・ヴィク・ランサ)』を構え、敵のレイアも杖を構え、彼女らしくない敵意の眼差しを向けている。
(護るといったものと戦わざるを得ない―――挙句は、自分を相手にするのも骨が折れるというに…!)
そう忌々しく内心で想いつつ、自分の持つ通信機用のカードが反応する。
予想する結果が一つに集約されていると思ってしまう自分が腹立たしいが、敵の動きに注意しながら応答する。
「テラ、そっちでも敵が仕掛けて来たか」
『ああ! アルカナ、まさかそっちも――!』
通信機から出るテラの声と、戦闘の激しさを物語る轟音が協奏していた。
しかし、アルカナは平淡な声で応じた。
「躊躇うな、お前たちは少なくとも戦えるはずだ」
『!』
打開策は思いつかない今、呑気に話し合える余裕は互いになかった。アルカナは素早くカードの通信を終わらせ、敵の自分たちと対峙する。
同時に、刃の結界はアルビノーレの大槍とレイアの杖から放たれた光弾の怒涛を受け、崩された。
そこへ、
「『魔術師』。――放て、四属の礫!」
偽物のアルカナがアルカナカード『魔術師』のカードを展開、炎、水、風、地の四属性による怒涛の魔法弾の礫がアルカナへと襲う。
「っ…!」
咄嗟に、真円型の盾を具現化し、魔法の弾雨を防ぐも盾の許容限界を超えて砕け散る。
残った弾丸がアルカナの躰を捉えた。痛みの叫びを噛み殺し、彼らとの間合いを取るために、わざと吹きとばされ、すぐに受け身を取った。
「逃すものか!」
偽物のアルビノーレが大槍を構えて、追撃する。穂先に収束した閃光を伴った一撃が繰り出されると同時に、アルカナも迎撃する。
だが、アルビノーレの一撃は強大と理解している故に、相応の力で迎え撃った。
不可視伸縮自在の優位さを捨ててでも。
「――曙光裂槍!!」
「運冥斬ッ!」
二人の激突し合った一撃に、押し負けたのはアルビノーレであった。
そして、倒れた彼に偽物のレイアが駆け寄り、すぐさま治癒の魔法を施している。
その様子を、アルカナは剣を下ろさずに、静かに見据えた。
(本物をコピーした事で、人格もコピーし、「本物」に演じているか)
そう黙考する間もなく、迫った殺気に剣を掲げる。
今度は『隠者』のカードによる本体の透明化からの不意打ちを繰り出してきたのであった。
遠くから狙い澄ました刃の一撃を、防ぎつつ、その方角へと目をやる。
「…戦法もコピーするか」
「お前ひとりで、我々を止められるというのか?」
偽物のアルカナがそう問いかける様に言う合間に、治癒を終えたアルビノーレとレイアが身構えつつ、彼へと間合いを詰める。
「止めるつもりだ。逆に聞く。……なぜ、『隠者』のカードを使ったままこの戦域から離脱しなかった? 私がお前の立場ならそうしていた」
「フッ。のこのこ一人で二人の方へと戻ってきた場合、疑われるのは確実だからだ」
彼の問いかけに、偽物のアルカナは失笑と共に応じた。
アルカナはその言葉に、小さく「そうか」と、呟いて、
「なら、お前たちを尚更―――進ませる訳にはいかないな」
アルカナは一人、罠によって作り出された3人の偽物たちと戦闘を続行する。
一方、森の奥へと進む形でアルビノーレとレイアは逃げていた。
しかし、レイアが途中で息切れしかけたので、一先ず警戒しながらも休憩を取る。
「すまない。……無理をさせたか?」
「――アルカナ、さんは――大丈夫…なのですか?」
レイアは樹へと背を預け、ゆっくりと座って呼吸を整えた。
そうして、息継ぎながら残ったアルカナへと心配の声を零す。
「……」
その不安に、アルカナが残った方向へ視線をやり、直ぐに彼女へ振り向いた。
「―――アルカナは、我ら半神を纏める半神だ。『師』でもある」
「師匠という、事ですか?」
「あ
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