暗闇だった風景に、光が灯る。
目を開けて真っ先に映ったのは、黒コートに目隠しをした銀髪の青年――リクだった。
「あなたは…?」
「リクだ――ソラの友達だ」
「ソラ? ソラを知ってるの?」
「ああ」
リクは頷くとゆっくりと立ち上がる。
すると、座り込んでいるこちらに向かって手を差し伸べた。
「…ありがとう」
警戒しているのか、リクの手を取らずに自力で起き上がる。辺りの景色からして、この場所はディスティニーアイランドの離れ小島だ。
そうしていると、目の前で立っているリクに目を向けた。
「あたしを助けてくれたの? どうして?」
「さあ…どうしてだろうな」
ぶっきらぼうに言いながら、リクは顔を背けると背を向けて歩く。
そんな後ろ姿に、彼女は徐に声をかけた。
「聞いてもいい? ソラと…ソラといつも一緒にいる女の子の事」
「カイリの事か」
「カイリ…あたしにとてもよく似ている女の子」
「ソラが大切に思っている子だ」
リクが質問に答えていると、不意に顔を俯かせた。
「あたし、ソラとカイリの事を覚えているの。あたしは作られた《人形》なのに、ある筈の無い記憶があるの。この記憶は一体…何なの? ソラは今どこにいるの?」
「それは誰にも教えられない」
「どうして?」
「お前は…」
ここでリクが口籠るが、何かを決意したように続きを話した。
「お前の記憶は、ソラの記憶から出来ている」
「あたしがソラの、記憶から…?」
自覚が無かったのか、驚きが声に混じっている。頃合いを見計らい、リクは更に真実を話す。
「バラバラに散らばったソラの記憶の欠片がお前に流れ込んでいるらしい。今、ソラは記憶の欠片を繋ぎ合わせる為に眠っている。でも」
「その欠片があたしに流れ込んできている。だから、ソラは目覚めない…」
「ああ、その通りだ。今すぐお前をソラの元に連れて行けば、きっとお前の中にあるソラの記憶は取り戻せる」
言葉の中に残酷な事を告げるリク。耐え切れないのか彼女は木の幹に手をやると、再びリクを見る。
「あなたの友達を奪っているあたしが憎い?」
まるで挑発するように言葉を投げつけると、リクはただ一言だけ告げた。
「いや。ただ――悲しいな」
その一言に、何かを感じ取ったのかリクに向かって頭を下げた。
「ごめんなさい。でも、あたしは今いなくなる訳にはいかないの。大事な…友達がいるから」
自分の思いを告げると、リクはゆっくりと近づいて肩に手を置いた。
「だったら、お前にも考える時間が必要だ。考えるんだ、“―――”。自分が本当に帰るべき場所を」
「あたしの…帰るべき場所? あたしに、正しい答えが考えられるのかな?」
「自分の考えが正しいなんて、自分だけが決める事じゃないさ。“―――”も、それから“―――”の友達もみんなが良い状態になる方法を考えればいい」
そう言って、リクは手を放してその場を去って行く。
こうして一人だけその場に立ち残されたが、少しだけ遠くを見ていた視界は何だかハッキリとしていた。
「わかった…ありがとう、リク」
記憶を見終わり、元の場所に戻ってくる。この場所に導いてくれたドリームイーターが出迎えてくれるが、二人はその場で立ち尽くしていた。
「…………」
「リク…どう言う事…?」
何も言わない中で、ようやくオパールが口を開く。
そうして疑問を投げかけるが、リクは放心したまま頭を押さえている。
「まさか、って思うけど…記憶、ないの?」
恐る恐る問いかけると、リクは黙ったままコクリと頷く。
普通ならありえない話だろうが、オパールはすんなりと受け止める。さっきまで記憶を書き換えたり、忘れたり、壊したり、思い出したり、そう言う事を見て来たのだ。何らかの力で忘れたとしても不思議じゃない。
そう結論をつけると、オパールはリクと会話していた記憶を思い返す。
「記憶の中であの子が言ってた人形ってさ…レプリカの事、だよね。こいつが眠った原因、あの子と関係…あるよね」
「だな…」
推測を立てると、どうにかリクも声を出す。
再び沈黙が襲い掛かり、間にいたドリームイーターが心配そうに二人の顔を交互に覗き見る。
しばらくして、急にオパールが腕を後ろに回すなり天井を見上げながら呟いた。
「優しいよね、リクは」
「オパール!?」
何の前触れもなく放った言葉に、リクはすぐさまオパールに顔を向ける。そんなリクに、顔だけ向けると呆れた目線をぶつけた。
「『どうして責めないんだ? リアの親友を奪ったのに』…顔に書いてある」
「っ…!」
内面を見透かされ、思わずリクは押し黙ってしまう。
オパールは身体を向けるようにして向かい合うと、寂
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