曙光きらめく街、デイブレイクタウン。
日々世界の為に光を集めるキーブレード使いの拠点の街ではあるが、祝い事のある日は広場全体が祝いの色に染まる。今はバレンタインと言う事もあって、噴水の水がチョコレートになっておりハートのオブジェで彩っている。
そんなバレンタインの当日。この日の主役である女性は、いつも以上に頑張っていた。
「はああああぁ!!」
「いっけぇ!!」
「どりゃぁー!!」
「もう許しませんっ!!」
「いい加減に消えなさい!!」
現在進行形で。
別の意味で。
街の中で、アクア、シオン、オパール、レイア、スピカが暴れている……基、マカロン型や花束型のハートレスに猛攻撃を繰り出していた。
彼女達の怒りの攻撃に、ハートレスは闇へと消えてしまう。だが、消えると同時にさまざまなハートのようなお菓子が地面に散らばっていた。
「はぁ、はぁ…カイリ、リリィ! チョコは!?」
すぐさまオパールが指示を出すと、待機していたカイリとリリィが駆け寄って落ちているハートを調べ出す。
「うーん、全部違うみたい」
「似てるけど、これじゃない…どうしよう、もう時間が」
「みんなー!」
その時、屋根の上から黒い影が飛び降りる。
現れたのは、手裏剣を抱えたユフィ。その横の道からエアリスが小走りでやってきた。
「ユフィ、エアリス! 見つかった!?」
「だーめ。あっちのハートレス討伐したけど、変なのしか落とさないよ」
声をかけるオパールに首を振りながら答えるユフィ。
目的の物が見つからず誰もが不安そうな顔つきになっていると、エアリスが優しく笑いかけた。
「大丈夫。みんな集まるまで、まだ時間があるよ」
「そうね…ハートレスの数は着々と減っているわ。なんとしてでも私達のチョコを見つけるのよ!!」
『『『おーっ!!』』』
続く様にアクアも声を上げると、全員が掛け声を上げる。
そうして、次なるハートレスを探す為に走り去った。
街の噴水広場にあるモーグリの店。
時たまキーブレード使いのたまり場にもなる少し薄暗い店の中で、男性陣達が集まっていた。
「「ハートのお菓子?」」
ソラとヴェンが首を傾げながら訊くと、テーブルに座っているルキルとウィドが一枚のチラシを見ながら話し出した。
「ああ。今このデイブレイクタウンは、バレンタインって事で特殊なハートレスからハートのお菓子が出るらしいんだ」
「それをある場所に持っていくとちょっとしたクジが引けると言う事で、住民達はハートレス退治に勤しんでいる訳です」
最後にウィドが補足を言いながら説明を終えると、近くで話を聞いていたリクが腕を組みながら会話に入る。
「でもなんで、ハートレスがそんな物を持っているんだ?」
「言われてみれば…」
マニーや素材・回復アイテムを落とすのは知っているが、お菓子を落とすと言うのは初耳だ。この事についてソラも考えていると、別のテーブルに座っているクウが笑いながら人差し指を立てた。
「案外、心と間違えて女の子手作りのハート型お菓子を盗んだりしてな」
「そうか。こういう日に作るお菓子はみんな心を込めて作るものだからな…」
「テラ、これ冗談で言ってるからな?」
向かい側で納得して頷くテラに、クウは不安そうにツッコミを入れた。
一方、女性陣はと言うと―――
「それにしても、私達が作ったチョコを盗むなんて!」
「全くよ! 見た目は美味しそうだったり華やかなクセして、とんでもない強敵だし!」
「今年はテラとヴェンだけじゃなく、みんなに用意していたのに…こうなったら一匹残らず駆逐してやるわ!!」
怒り心頭と言った表情でカイリ、オパール、アクアがズカズカと先頭を歩いている。どうやら、クウの出まかせに吐いた嘘は本当だったようだ。
そんな彼女達の後ろを、シオン達が落ち込みながら後をついていた。
「あたしも出番の事があるからみんなに作ったのに…日本酒入りウスターソース和えのチョコ」
「うんうん。私も再建委員会のみんなに野菜や魚をふんだんに練り込んだ健康チョコを作り上げたのに」
「私だって、クウの為だけに特製の激辛チョコ作ったのよ…クウって、甘い物苦手なんだから」
「ま、負けてませんよスピカさん!! 私だって、クウさんに渡す前に辛い物をたっぷりと加えれば…!!」
スピカの呟きに、レイアは慌てながら恐ろしい思考を脳内に繰り広げている。
この殺人料理人の彼女達の会話に、リリィは冷や汗を垂らしながら隣にいるユフィに目配せをした。
「…ねえ。もしかしてだけど、シオンとエアリスさんとスピカさんのチョコでハートレス消えてるとかないかな?」
「ありえそうだから怖いね…」
料理人の
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