とある世界の森の中にある、小さな家。
一見すると隠れ家のようにも見える場所に、二人の人物がいた。
「さて、呼ばれたのはいいが…」
「なーんで俺とお前なんだろうな? お前は敵キャラだし、俺に至っては正式に登場すらしてねーのに」
一人は敵キャラとして何度か対峙している、キーブレードマスターの称号を持つセヴィル。もう一人は、彼の親友でありクウの師であるクロトスラルだ。
疑問を抱きながらも指定された場所で待っていると、奥の方で気配が現れる。
振り向くと、何故かクウとウィドがやつれた表情でやってきた。
「よぉ、師匠…久しぶりだな…」
「お、お前達…何があった?」
セヴィルにしてみれば現在敵対している二人だが、過労の色を見ては警戒よりも心配が勝ってしまうようだ。
そうこうしていると、突然クウが膝を付いて二人に向かって深々と土下座をした。
「師匠…マジで頼みがある…!」
「やだね」
「人が土下座までしてるのに速攻で断るかぁ!!」
何の迷いもなく断ったクロトスラルに、クウは顔を上げて怒鳴りつける。
「当たり前だぁ!! 俺に対していつも喧嘩腰のお前が土下座までして頼みこむって事は、相当ヤバげな何かを押し付ける気だろうが!!」
「ぐっ…!!」
しかし、反論したクロトスラルの言葉が正論だったのかクウは顔を歪めて押し黙ってしまう。
警戒心を高めるクロトスラルに、今まで黙っていたウィドもゆっくりと頭を下げた。
「あの、この問題は私達ではどうにもならないので…出来れば、あなた方にお願いしたんです…」
「クロ、どうする? 今の俺は敵関係だが、ここまで頭を下げられたら…」
「俺帰る」
ウィドとセヴィルの説得にも耳を貸さず、クロトスラルは『闇の回廊』を開いた。
「逃がすかぁ!!!」
「のわっ!?」
もはや実力行使とばかりに、クウがクロトスラルに飛び掛かる。
どうにか回廊に逃げ込む前に背中に組みつく事に成功すると、クウによって拘束されたクロトスラルは暴れ出した。
「スピカちゃんや他の女性が頼むのならまだ分かるが、何でバカ弟子と弟が来るんだよ!! 特に弟は見た目は女っぽいが俺はそんな詐欺に騙されねーぞ!!」
「こいつ、ぶちのめしていいか…っ!!!」
「止めておけ、逆立ちしてもクロには勝てない」
青筋を浮かび上がらせて分厚い本を取り出すウィドに、セヴィルは子供に言い聞かせるように優しく宥める。
クロトスラル。見た目はこんなだが、でたらめに強いのだ。
「…とにかく、用件を聞かせてくれ。内容が分からない以上、俺もクロもどうする事も出来ない」
「ああ――ほら、もう出てきていいぞ」
セヴィルの提案に、クロトスラルを拘束したままクウは首を動かして声をかける。すると、奥の方から三人の子供が現れた。
「へー、あんた達がスピカとクウの師匠なんだ!」
「………」
「…どうも」
そこから現れたのは、リラの作品で登場するリズ、ムーン、カヤの三人だ。
これらの人物に、クロトスラルも抵抗を止めて訝しげに背後にいるクウを見た。
「おい…バカ弟子。これはどういう事だ?」
「どうも何も、決まってんだろ…」
クウは腕を放してクロトスラルを解放するなり、思いっきり頭を下げた。
「師匠、セヴィル。こいつらに一日修行させてくれ!!」
「クロ、いい加減に腹を括れ!!」
「いやだー! 俺は帰るー!」
「いい歳した大人がダダ捏ねんじゃねーよ!!」
「ちくしょう! 放せこのバカ弟子ー!」
「姉さんもいない今、頼れるのはあなた方だけなんです!!」
「こいつらに関してとんでもない話聞かされてるのに、あんなの聞いた後で引き受ける訳ねーだろぉ!」
そんな情けない事を言いながら回廊に逃げ込もうとしてるクロトスラルだが、阻止するようにセヴィル、クウ、ウィドが服や腕を掴んで引き止めている。
大の大人四人が子供じみた攻防戦を繰り広げる中、リズとムーンは呆れた眼差しを送りつけていた。
「…私達に関して、どんな話聞いてるのかしら?」
「さあな」
「こうなったのはお前らの所為でもあるんだぞ…」
カヤは大きく溜息を吐き、先程の話を思い返した…。
(修行だぁ!? どういう事だ!?)
(どうも何も、今回は互いのキャラを交換しての修行体験なんだとよ…)
頭を押さえながらクウがクロトスラルに説明する横で、セヴィルが眉を潜める。
(大体、スピカはどうした?)
(姉さんは本編での事情があって、あちらでの修行組に参加していないんです)
ウィドも遠い目で説明すると、クロトスラルも少しだけ落ち着きを取り戻して話を聞く事にした。
(で、何で俺達に頼む羽目になったんだよ。お前らの所、強者キャラが沢
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