それから時間は大分経ち、夕暮れの時刻となる。
森の風景一帯が黄昏に染まる中で、リズ達三人は入り口で待っていたクロトスラルを睨んでいた。
「ほらぁ!! ちゃーんと探したわよ!!」
「これで文句ないよな!!」
「さっさと俺達の力を返せぇ!!」
一枚の紙を突き出すリズの後ろで文句を言うムーンとカヤ。その紙には大きく【アタリ】と書かれている。
クロトスラルはリズから紙を受け取ると、満足そうに頷いた。
「よーし、合格だな。まあ、術を解いてもいいが…その前に一つ質問させてくれ。これを見つけた場所、お前らは何か感じなかったか?」
紙を見せながら問うクロトスラルに、リズ達はすぐに見つけた場所を思い返した。
「これを見つけた場所って、確か大きな木の下だったわよね?」
「あと近くに川や花畑とかもあったけど…」
「そこに何かあったのか?」
何の変哲もない場所を思い出しながらカヤが訊くと、クロトスラルはどう言う訳か首を横に振った。
「――別に何も。さ、スズちゃん。術解いてやってくれ」
「はいはい、分かったよ。クロトスラル、代わりに君の力と同じにするよ。非力な僕じゃこいつらの攻撃喰らっただけで死んじゃうから」
「ああ、いいぜ」
クロトスラルから了承を貰うと、スズノヨミは軽く手を振る。
すると、宝探しを始めた時と同じような魔方陣が現れるとすぐに掻き消えてしまう。
確認するようにリズが手を伸ばすと、キーブレードが現れる。同じようにムーンも武器を取り出し、カヤはその身にある魔力を湧き上がらせた。
「さて、力もちゃんと戻ったみたいね…」
「これでやる事は一つだな」
「ああ」
そう言うと、三人は目を鋭くしてクロトスラルとスズノヨミに向かってロックオンする。
「「「てめえら二人共ぶっ飛ばしてやらぁぁぁ!!!」」」
怒りの雄叫びと共に、殲滅してやると言わんばかりに三人が一斉に飛び掛かって来た。
「あー、そう来ると思ったよ」
しかし、クロトスラルは化け物と化した三人に対して冷静に呟くと、一枚の切符を指に挟みながら取り出す。
直後、リズ達を包み込む様に水色の空間の入口が現れた。
「「「んなぁ!?」」」
「バカ弟子から貰ってて良かったぜ。お前らが元の世界に帰る為の通行券」
「あんたぁぁぁ!!!」
強制的に帰還させようとするクロトスラルに、思わずリズが大声でわめき散らす。
どうせ帰るのならせめて全力で攻撃をぶつけようと三人が風や闇に氷の力を溜めていると、クロトスラルがさっきの紙を見せつけた。
「最後に一つ教えてやる。俺がこのメモを置いた場所――あそこはバカ弟子とスピカちゃんが修行時代に見つけたお気に入りの場所だ」
「「「え…?」」」
思わぬ話を聞かされ、三人は毒気が抜けたように目を見開く。
「確かに感じ方は人それぞれだが、苦労してあの場所を見つけたのに何も感じなかったお前らはまだまだって所だ。元の世界に戻ってちゃんと精進しておけよ〜」
軽い笑みを浮かべてクロトスラルが言い終わるのと同時に、リズ達がその場から消える。
元の世界に戻ったのを見送ると、セヴィルが疲れたように溜息を吐いた。
「…帰ったな」
「ああ。んん〜…これで依頼は達成したなー」
無理矢理帰らせたとも言うが、仕事は終わりとばかりにクロトスラルは思いっきり背伸びする。
そんな彼に、スズノヨミは冷めた笑いを浮かべる。
「達成? 一日で出来るアレじゃなかったろ。凡人の僕でも分かるよ」
そう言うと、リズ達の消えた場所を見ながらはっきりと告げた。
「あいつら、近い内に潰れるね」
隠す事無く言い切った残酷な発言に、さすがのクロトスラルも笑いながら反論を出した。
「結構な言い草だね〜、スズちゃん?」
「確かにあの子達は常人より強い力持っている。だが、力だけが前に進んで何よりも大切な真髄に気付いていない。心が無い? 人間と言う種族じゃない? ハッ、御笑い種だね! 世界にとっちゃそんなものちっぽけで些細な問題だ、ああいう奴ほど知らない内に道を踏み外す。ミイラ取りがミイラになるように、化け物を倒す奴らも何時しか化け物に変わる。それは僕達がよく分かっているだろ?」
陰湿にも思えるスズノヨミの話に、セヴィルもクロトスラルも口を閉ざす。
彼女の言い分は尤もだ。今や自分達は闇の住人――闇による耐性があるからと言って、全員が道を踏み外さない訳ではない。それを幾度か見てきたからこそ、反論は出来ない。
だが、セヴィルは敢えて口を開いた。
「スズノヨミ、お前の言い分は正しいが――それを見守るのが、俺達大人の役目じゃないのか?」
この言葉に、スズノヨミの眉が僅かに動く。
セヴィルの言い分にはクロトスラルも賛成
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