広大な浮遊する白い大地の上、幾つもの想いの刃たちが火花を散らす。
凛那がクェーサーの元まで追いつくと、彼女はすかさず自身を象った炎の刃――『緋炎刃』を抜き取り、切りかかった。だが、それを見越していたのか、クェーサーは無数の光弾をてをかざして、放つ。
「紅蓮の連刃――『火之夜藝(ひのやぎ)』!」
無数の光弾を回避もせず、凛那は緋炎刃一振りで全て切り返した。
同時に無数の炎の刃が撃ちかえってくる。
「――『鍠刃閃(こうじんせん)・黎羽(れいは)』!」
薙ぎ払うように光の波濤が火之夜藝の刃たちを打ち消した。しかし、凛那は既に動いていた―――地をけりつけ、クェーサーと飛び掛るように斬りかかった。
迎え撃つクェーサーは剣で受け止め、二人は激しい唾競り合いをする。
「お前、なかなかの強さじゃないか!」
「そうね。私も見縊っていたわ」
凛那は凄絶に笑みを浮かべ、押し込む。
だが、クェーサーも小さく笑みを浮かべ、押し返す。
「残念だ。まだ見縊っているようには見えないな」
「素直に受け取りなさい!!」
一気に押し返したクェーサーは剣尖を凛那に向け、
「『鍠刃閃・黎槍(れいそう)』!」
放たれた一直線に走った光線が凛那の晒された胸部を貫いた。
「っ」
「……?」
貫かれたのに真円の孔からは血は噴出しない。驚くクェーサーはすぐに間合いを取るようにバックステップで後退した。
「―――痛みはあるわよ。血がないだけ」
すっと孔の空いた胸元を手で翳し、離すと孔は無くなっていた。クェーサーはその面妖さに怪訝な顔色を浮かべる。
「人間じゃあない、……何者?」
「なら、名乗ろう」
静かに、しかり凛然とした眼差し、その声音で彼女は緋炎刃を更なる炎をで押し固め、一気に解き放った。
解き放たれたそれを凛那は黒く染まった柄、純白に染まったに鞘をそれぞれ握り締め、抜刀された刀身は茜に燃える緋き刃。
「―――我は『明王凛那』、主亡き刀だ」
「刀がヒト…? ……名乗らせてもらうわ、私はクェーサー。貴女を倒す意欲が増したわ」
先ほどと身に纏っていた光輝がより増された。増したのは輝きだけではなく、闘気、と言うべき気迫が放たれる。
「それは、我もだ」
輝く光、燃え盛る紅蓮が激しく対峙しあい、二人は同時に斬りかかった。
「菜月さん!」
「菜月」
一方、イオンとペルセフォネは菜月の元に追いついた。仮面に包まれた菜月は無言で剣を構えた。
「……」
「ペルセ、参りましょう」
イオンは虚空より光を刃に変えて、抜き取った。
鋼の刀身、群青色の柄、たれたキーホルダーは海と雲をかたどったもの―――時、空間を操るキーブレード、名は『マティウス』。
ペルセも静かに頷き返し、撓り、冷気を帯びた刀身に関節のある剣『アブソルーゼ』を抜刀した。
それを見た先手、菜月は光で押し固めた槍を放った。だが、それが二人に迫る途端、無数の槍に枝分かれした。
「ラグナ=ランスの、改良!?」
「躱そう!」
二人はそれそれ二手に分かれて槍の追撃を躱しながら、一気に菜月の元へと駆け出す。そうしている間に、彼は何処からか愛用していたバイクを出現させ、エンジンと共に激しい炎を吹き出して、逆にイオンに切りかかる。
「イオン!」
「大丈夫!! マティウス、力を―――!」
菜月の一撃がイオンを捉えた刹那、彼は僅か1秒も無い瞬間だが動きを止めた。イオンはその隙に攻撃をかわし、彼が乗っているバイクを一閃する。
「!」
一閃されたバイクは噴出す火に引火し、爆破する―――それを直感的に感じ取った菜月はバイクを捨て、爆破から回避した。
素の彼なら破壊されたバイクを想い、絶叫する。だが、小さく一瞥して、再びイオンとペルセフォネに剣を構えただけだった。
「……」
「ッ……」
胸元を強く抑え、苦しみを堪えるイオンにペルセフォネは急いで駆け寄った。
「イオン、大丈夫……」
イオンのキーブレード『マティウス』は時間を停止・加速、空間を転移できる強力な力を有しているが、これは所有者の体力を大幅に削ってしまう。 今まで、彼はこの時間停止を最大回数は3回だった。この数日でも、その回数は増えずにいた。結果、イオンの『マティウス』による時間を止める事・対象の時間を加速(全て1秒も満たない)、含めれば後は2回だった。
「流石に、下手に長引けば……持たないですね」 「私たちで助け出さないと」
「闇よ」
菜月がらしくない仮面のうちから低い無情の声と共に、無数の闇の弾が一斉に二人に迫る。イオンはかわせないと判断してか、防御の構えを取る――だが、耐えれる筈がない。
「渦華ッ!!」
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