「凛那、どうかしたか?」
食事の最中、あまり食べて居ない彼女に怪訝に思って無轟は問いかける。
その声にやっと気づいたかのように凛那は振り向いた。
「――いえ…神殿内から何か大きな力を感じて…少し気になって」
「……」
彼女はそう不安を含んだ声に、神無を始めに食事や雑談を続けてオルガたちも自然と意識を鋭くする。
そうして感じ取る力の気配、凛那の言うとおり大きな力が神殿内にあった。
その出所が気になった凛那が立ち上がろうとしたが、
「凛那、飯がまだ食い終えて無いぞ」
それを制止したのは神無だった。突拍子もない気の抜けた言葉にバランスを崩しかけたが、ゆっくりと立ち上がる。
「…出所を探ろうとしただけだ。飯ならお前たちが食えばいい」
「そう言うなって。飯を済ませてある俺や親父たちで調べればいい」
「……」
神無は視線をこの時点で食事を既に終えている者たち――菜月、オルガ、アーファ――に協力を促す。
視線を受けた菜月たちは頷き返した。
凛那は不服と言った様子で彼を見据えたが、無轟が助け舟を出す。
「凛那、気づいてくれたのは感謝するが、今はゆっくり食事を楽しめ」
「―――解ったわ」
ため息にも似た一息を零して、その場に座って食事を再開する。
やけになってすぐに平らげるのかと神無は思ったが『ゆっくりと』食べているのを見て、神無や無轟は苦笑する。
「悪い。ありがとうな皆」
従った凛那や助け舟を出した無轟と協力を請け負った菜月たちを含めて感謝の言葉を言って彼らは立ち上がる。
「よーし、探検だな。オイラ楽しみだぜ」
「おいおい…アーファ、問題ないな?」
「ふん。そっちこそ」
「一応気をつけてね、みんな」
ツヴァイの言葉に菜月らは頷き返して、神無は彼らを引き連れて広間を出た。
神殿の通路はそこまで複雑化はされておらず、時間帯が夜ということで天井や壁に備えた明かりで暗くもなかった。
力の脈動は通路に出ると広間よりは明確に感じ取れる。普段、彼らが進んだ事のない奥の方からであった。
「そういえば、奥って何かの工房って聞いたけど…」
進む最中で、思い出したように菜月が呟く。
「工房?」
先を歩んでいた神無は、振り返って足を止めた。他も足を止め、菜月に視線を向ける。
彼は頷いて話を続けた。
「此処って無轟たちの戦いで結構壊れたよな? で、修繕やらで直して…その際に付け加えたとか…なんとか…」
最後の不安そうに呟く様子にアーファが呆れて、その視線を先へと向ける。
「曖昧ね。まあ、その工房で何かを執り行ってるんじゃないの?」
「何かって?」
「知らないわよ、何かは、何かよ!」
オルガの問いかけに、顔を赤くして話を切り上げた。
そうして、一同は再び奥にある工房の入り口の前にたどり着いた。
他に部屋は無いため、すぐに入り口を見つけた神無たちは踏み込むべきか、惑っていた。
「で、工房って誰が所有しているんだ?」
扉をしばし見つめてから、オルガは菜月に問いかける。
情報を知っていたのか彼だ。なら、工房の所有者の正体も知っているはず、と。
問われた彼はうーんと、唸ってから口を開いた。
「――半神の誰か、だった気がするぜ…!」
「その誰かを聞いてるんだよ!」
「というか憶えてないのね」
呆れてツッコミするオルガとアーファを置いて、神無もその「半神の誰か」とやらの当てを考える。
(広い意味で捉えれば神殿はアイネアスのもの。でも、あいつは城に居たしな。
狭い意味で考えれば技術的なものを好む半神だろうな…思いつくのは2,3人だが)
考える事十数秒ほど、黙して考えていた神無へとオルガが声を掛けた事で思考は解かれる。
「神無、この際入って誰かかわかった方が早いよな」
「…まあな」
深く考える事を入り口でするのも滑稽だなと、己に自嘲して神無は入り口に手を掛ける。
小さな緊張感に包まれ、自然と表情も硬くなる。
「いくぞ」
菜月たちに確認するかのように、神無は意を決して入り口の扉を勢いよくあけた。
刹那、
「!?」
扉を開けた彼らの視界は眩い光に包まれ、困惑する。
「な、なんだ!?」
突然の光は収まり、視界も回復した神無たちは改めて工房へと踏み込む。
工房は薄暗く、霧のようなものが漂っていたが、すぐに彼らの前には工房の主が座って居た。
「キ、キルレストか?」
戸惑いつつも菜月は彼に問いかける。
声に気づいたのか、座していたキルレストは立ち上がり、彼らへと振り向く。
「…神無たちか。何か用か?」
怪訝に彼らを見るキルレストに、神無が困った表情で応じた。
「いや、何か神殿内で気になった気配があってな…辿ったら此処
[3]
次へ
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想
TOP
掲示板一覧
ゲームリスト |
ゲーム小説掲示板
サイト案内 |
管理人Twitter
HOME