安らぎの眠りが遠のき、微睡から目覚める。
「んぅ…」
頭の中に残る眠気と戦う様にレイアが身動ぎする。何か固い触感が掌に伝わる。
ゆっくりと目を開けると目の前に広がったのは冷たさを感じる白一色。感触からしてシーツではないようだ。
慌てて起きると、寄り掛っていたのが白いテーブルだと分かる。周りを見ると、全てが白い大理石で出来た部屋に座っていた。
「ここは…? 私、クウさんが起きて…それから?」
いきなり見知らぬ部屋に移動させられて混乱していると、人の気配を感じる。
テーブルの向かい側を見ると、そこには金髪で白いワンピースを来た少女が同じように椅子に座っていた。
「だれ、ですか?」
「私の名前はナミネ」
少女――ナミネが胸に手を当てて答えると、ポカンとしたままのレイアへ微笑んだ。
「あなたの大切な人、無事に戻って来て良かったね」
「え!? あの、どうしてそれを!?」
「あなたを、あの夢の世界に送り届けたのは私だから」
「あの、夢…」
ナミネの語る言葉に、レイアは先程の夢を思い出す。
闇の中で黒い羽根を追いかけた先で、シャオによってクウが倒されていた光景を。
「じゃあ、あの時倒れていたクウさんは…!」
「うん、全部本当に起こっていた事。あの時の彼は記憶を、心を砕かれていたの。そんな彼を助ける為には、あなたが必要だった」
頷いて説明すると、ナミネはレイアをじっと見つめる。
「心を寄せているあなたの存在、そして彼を思う祈り。かつて私がしたように」
「どうして…クウさんを助けてくれたんですか?」
見ず知らずの筈なのに、クウを助ける手助けをしてくれたナミネにレイアは思わず疑問を口にしてしまう。
すると、ナミネは胸元に手を当ててぎゅっと握りしめる。
「あの子の叫びが聞こえたの。《助けて》って声が、記憶で模られた夢を通して私に響いたの。夢と記憶は繋がりがある。だから記憶を操る私の力を使って、あなたの意識を夢の世界に送る事が出来た」
こうしてレイアに種明かしをすると、それに、と呟いてからナミネは寂しそうに笑う。
「今の私は、こんな形でしかあなた達の力になれないから。あなたと接触出来るのは…ううん、あなただから私はこうして夢の中で話が出来る。ほんの少しだけど、ね」
「ナミネ、さん。あなたは…」
ここで何かに気付きかけるレイア。だが、ナミネは寂しく微笑んだまま話を続ける。
「皆が助けたあの子は、未来の形。私が救えなかった人達が存在する未来の証でもあるの。――そしてあなたは、私に似ている。でも、本当に大切な人はすぐ傍にいるから。ちゃんとみんなと繋がってるから」
そうして励ますナミネの姿は、カイリに似ていた。
レイアの中で立てた仮説が核心に変わる。しかし、それと同時に周りが白く染まり始める。
段々と消えていく風景に慌ててレイアは立ち上がった。
「あ、あの! あなたはもしかして――!」
直後、部屋やナミネだけでなく自分の姿までもが白で掻き消された。
全てが消えてしまった所為か、意識が遠のいていく。抗えぬ力にレイアは自分の身体がそのまま浮上するような感覚に陥った。
「大丈夫。皆がいれば――失くさないよ」
夢から覚めようとする直前、励ましてくれるナミネの声が聞こえた気がした。
異空の回廊を歩く、アルガとティオンとアガレス。三人はタルタロスを去り、現在拠点としている世界でもあるビフロンスへと戻っていく。
救出に成功した協力者、ソラと共に。
「まだ着かないのか〜?」
「もう少しよ、頑張って」
「う〜、楽しみなのにぃ…」
ティオンが励ますが、ソラは疲れたとばかりに肩を落とす。
そんな新たな同行人の態度を尻目に、前を歩いていたアルガは頭を掻く。
「それにしても、あれだけ大怪我負ったのによく半日で完治したな…」
フレイアにぶっ飛ばされて永遠城から救出した時、彼はボロボロを通り越してボロ雑巾のような状態だった。まあ、あれだけ蹴られれば当然だが。
急いで町の病院に運んで数時間、全身包帯塗れを覚悟していたが――治療の為病室に篭っていたルシフに呼ばれ部屋に入ると、ベットには少しだけ包帯を巻いたソラが呑気に眠っていたのだ。しかも、診察した医師からは怪我はほぼ完治しましたと言うお墨付きまで貰って。
「ルシフ君の高度な治癒魔法に加えて、フレイアさんが手加減してくれたおかげでしょう。そうでなければ、1ヶ月の入院は必須でした」
「あれが、手加減…?」
星にする程蹴っ飛ばした上に永遠城へと落下させたフレイアの脚力を思い出し、アルガは半目になって訊き返してしまう。
性格と言い戦闘方法といい、あの二人は本当に双子なのかと疑った所で、ふと思いついた事がありアガ
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