時間は、ほんの数分だけ遡る――。
「オパールの奴、本当にどこに行ったんだ?」
まだ日も昇らぬ早朝。敵の襲撃に備えて、城の中が慌ただしくなっていく。
忙しなく移動するさまざまな人達を通り過ぎながらオパールを探すリク。そんな時、一緒に付いてきているカイリが後方で足を止めている事に気付いた。
「カイリ?」
「あ、ごめん。何かボーっとしちゃって…」
振り返って声をかけると、カイリはすぐに気が付いて駆け足でリクに近づく。
そうして駆け寄った直後、二人の足元が揺れる。
「な、なに? 地震?」
「違う…! カイリっ!」
「きゃ!?」
戦いに身を置いていた故に瞬時にリクは揺れの正体を見抜き、カイリを引き寄せる。
同時に、激しい揺れと共に辺りに轟音が響き渡る。本当に奇襲してきた敵の攻撃の余波を耐えていると、近くの部屋から硝子の割れる音が聞こえた。
「今の音っ!」
「誰だっ!?」
カイリが反応する中、リクは武器を取り出して部屋の扉を乱暴に開ける。
部屋の中は外側から割れたであろう窓、一部が壊れた机と椅子――そして、ベットで横たわるウィドに覆いかぶさるクウの姿だった。
「…お、お邪魔しちゃったかな?」
「すまん、そんな趣味があったとは知らなくて」
「「ち、違うっ!?」」
表情を固まらせたまま部屋の扉をそっと閉めようとする二人に、ベッドで横になったままクウとウィドが叫ぶ。
誤解を受けた二人の勘違いを解こうとした瞬間、部屋の死界にいたのか一体の鎧がベッドにいる二人に飛びかかった。
「排除――」
「「話を邪魔するなぁ!!!」」
キーブレードのような武器を振り上げる鎧に、クウとウィドが横の状態で同時に上方へと蹴りを放つ。
予期もしないカウンターで鎧は天井へと叩きつけられ、そのまま力無く床に転がった。
「なに、この鎧…!?」
扉を閉める寸前で見えた鎧――KRにカイリはヴェンと同じ鎧と言う事で思わず凝視する。
同じくリクもKRに気づくと、即座にクウとウィドが起き上って扉を開け放つ。そのまま二人の腕を掴んで部屋の中へと戻すなり、説得を始める。
「とにかく話を聞いてくれ!? 俺が好きなのは女性であって、男には何の感情も持ってない!!」
「何ですか、その言い方は!? 勘違いしないでください二人とも、私だって同性愛者などでは全くありません!! いえ、私としては彼らの思考を否定する訳ではないのです、ですがそれとこれとは別の問題であって」
「ふ、二人共! 後ろ!」
「「邪魔するなって――!!」」
背後を指さしてカイリが叫ぶと、二人は睨むように振り返る。
そこにいたのは、2体のKR。さらに割れた窓から梟型のノーバディが入ってくる。この光景にクウとウィドはやっと事の重大性を認識した。
「この鎧!? まさかKRか!」
「クォーツのノーバディ!? これは一体!?」
「敵襲だ! カイリ、部屋から出ろ!」
「う、うん! …ダメ、リク!!」
カイリは急いで部屋に出ようとしたが、入り口にもう一体KRがいて逃げ場を塞がれる。
結果、四人は部屋の中央に追いやられる形となってしまう。互いに背中越しに対峙していると敵が襲い掛かった。
KRは贋作キーブレードを振るい、ノーバディは鉤爪で裂こうとする。狭い部屋での乱闘にリクはカイリを抱えて武器を振るう。クウもウィドを庇いながらキーブレードを出さずに格闘術で対応する。
「ちくしょう! こんな狭くちゃ武器なんて出せねぇぞ!」
「一旦通路に出るぞ! 俺に続け!」
リクが手に闇の力を込めるのを見て、クウは対峙していたKRの一体を扉側に蹴り飛ばす。
「『ダークオーラ』!!」
直後、幾つもの闇の気弾を放ち、扉を破壊しながらKRを通路へと追いやる。
こうして脱出経路を作り出すと、リクはカイリの手を取って通路へと駆ける。クウも続けて部屋を出るが、残っていたノーバディが最後に出ようとしたウィドの背後へと体当たりした。
「うわっ!」
「ウィド!」
倒れこむウィドに、ノーバディは立てないように背中に乗り鋭い嘴で体を貫こうとする。
「どけぇ!」
すぐにクウが手に黒い羽根を具現化し、投げつける。
振り下ろした瞬間に鋭い羽根がノーバディに直撃して、空間に溶けるように消える。間一髪で倒すと、ウィドに駆け寄って肩を抱いた。
「な、何をっ!?」
「いいから離れるな! 戦えないんだろ!?」
「そ、それは…!」
正論を言われて口籠るウィド。その時、通路に吹き飛ばしたKRの一体が襲ってくる。
「うざってぇんだよ!! 『ダークソード』!!」
上空から闇の剣を降らせ、鎧を串刺しにする。魔法は得意ではないが、雑魚ぐらいは倒せる力量は持っている。
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