日が昇ったばかりだというのに、城内のあちこちで戦闘が起こる。
それは美しく手入れされている中庭も同じだった。
「だあぁ!!」
宙を舞うハートレスに接近し、ナイフで胴体を切り裂く。
最後の一匹をやっつけると同時に、オパールは軽やかに地面に着地した。
「とりあえず、終わった…!」
息を切らしつつ、ナイフを腰の鞘に仕舞う。それでも辺りを睨んで警戒は怠らない。
そんなオパールの近くには、一人の侍女が蹲っている。襲撃の際に、逃げ遅れたか逸れてしまったのだろう。
「あ、あの…お怪我は?」
「あたしは平気。それより、早く避難して」
そう声をかけると、侍女は頭を下げて一礼し、避難の為にそそくさと走り去っていく。
一般人が中庭から出るまで見送ると、オパールはポーチから予め合成で作っておいた魔石を幾つか取り出す。手の中で弄るとジャラリ、とまるで宝石がぶつかり合う音を奏でる。
「気持ちを整理する暇もない、か…」
さっきまで荒ぶっていた心は襲撃と言う大きな出来事を受けてか、不気味なほどに静まり返り冷静さを取り戻している。おかげで十分に戦える。
魔石を手に、オパールも中庭を出ようとする。だが、急に背後から重圧な気配がした。
「新手っ!?」
即座にナイフを引き抜き、振り返り構える。
「こいつ――は…!?」
敵の姿を目にした瞬間、オパールは目を見開く。
全身が青と黄色で構成された鎧。KRと呼ばれる存在が握る手には、キーブレードが握られている。
悪魔と羽をモチーフにした鍵が。
「リクの…キーブレード?」
鎧が持つ武器は紛れもなく彼のキーブレード、ウェイトゥザドーンだ。見間違うはずがない。だが、何故この鎧が持っている?
目の前の鎧に固まっていると、背後から螺旋状の光弾が襲い掛かった。
「きゃあ!?」
不意打ちの攻撃と共に爆発に巻き込まれ、オパールは地面に倒れる。
痛みを堪えて顔を上げると、金色と赤の鎧と赤みかかった二体の鎧が立っている。一方にはソラの、もう一体には色取り取りの花を象ったキーブレードが握られている。
三番目の鎧が持つキーブレードは見た事ない。なのに、オパールの脳裏にはカイリの顔が駆け巡る。
「何で…どう、して…!?」
敵が持つキーブレードに訳が分からなくなり、思考が掻き乱される。
固まったオパールに、三体は何も言わず襲い掛かる。
「――騎光槍龍波!!」
「青羽槍・嵐旒!!」
しかし、光と共に誰かが金の鎧に突っ込み、更に辺り一帯に風の刃が地面を叩きつけて砂埃のカーテンを作る。
そうして作られた煙幕の中、槍を持って突撃したであろう青年、ラクラが声をかけた。
「無事か!?」
「あ…うん」
どうにか頷きを返すと、目晦ましを行ったであろうフェンデルがすぐ傍で着地する。
更に、騒ぎを聞きつけたのかイオンとペルセも武器を持って砂埃の中に現れる。
「それにしても、見られちゃったね」
「まさか本当にぶつけてくるなんて…!!」
ペルセは淡々と言う横で、イオンは焦りを浮かべて鎧がいるであろう方向を睨みつける。
誰もが戦闘態勢を取る中で、ようやくオパールの思考が沈静し今までの状況を全て脳内で受け入れる。
「ちょっと、なんの会話してるの!? 何であいつら、ソラ達のキーブレード持ってるの!?」
「単刀直入に言えば、あれは『この世界』の父さん達なんです! カルマの策で、心だけ抜かれてKRにされているんです!」
「父さんって、あんた…!」
イオンの話に何かに気づきかけるが、ペルセがオパールの前へと割り込むように剣を見せつける。
「オパールさん、頼みがあります。私達はここでKRとなったソラさん達と戦います。あなたはここにリクさん達を来させないように誘導してください! お願いします!」
「関係者であるあなたが困惑していたんですもの。本人が見たら、ショック受けかねないでしょ?」
これから始まる戦闘の気配を感じ取り、フェンデルも槍を構える。
自分の為に、皆が離脱の一手を作ってくれる。それが伝わり、オパールは重要な何かに駆られて頷いた。
「わ、分かった! あたしが何とかする!」
「それじゃあ…行くよ!!」
イオンの合図と共に、砂埃が払われる。同時に、ラクラ、フェンデル、ペルセがそれぞれ目の前の鎧三体に先手必勝とばかりに激突する。
これから始まる彼らの戦いを背に、オパールは急いでその場から離脱した。
「大丈夫か、アルカナ?」
「すまないな、アルビノーレ。本来なら私も戦いに参加するべきなのに…」
その頃、城の三階ではアルビノーレがアルカナを肩に担ぎながら移動をしていた。先の戦闘で負傷したアルカナを安全な場所に避難させるためだ。
「それにして
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