駆けつけてくれた者達は、仮面に支配されたスピカを追いかけた。
レイアは一人取り残されて立ち竦んだまま動かない。
「とりあえず、他に避難が必要な人を――」
「鍛錬所に行けばどうにか――」
後ろでキルレスト達が何か言っているが、会話が耳に入らない。
こんなの嫌なのに。
足手纏いなんてなりたくないのに。
違う――本当は――。
「レイア!」
いつの間にか、キルレストに腕を掴まれている。無意識にみんなの後を追いかけて走っていたようだ。
頭では冷静なのに、湧き上った感情が暴走して止まらない。
「いやっ! 放してください!」
「追う気なら止めて置くんだ! 今の君では足手纏いにしかならない!」
「分かってます!」
分かってる。今の自分の行動が、我儘だってことぐらい。
だけど、止まらない。止めちゃいけない。
どんなに無謀でも、迷惑がかかっても…ここで押し通さないと、きっと私は。
「嫌なんです! 私は――負けたくないんです!!」
叫ぶようにして自分の気持ちを伝えるレイアに、キルレストは驚きを見せる。
思わずキルレストが掴んだ手を緩めると、レイアは逃げる事はせずにゆっくりと話し出した。
「私、見ない振りしてました。クウさんの優しさにずっと甘えて…それで満足してた。クウさんが私を守るのを見て、悲しいけど嬉しかった。特別に思われてる事が幸せだった」
笑ってくれる。守ってくれる。照れてくれる。
自分にだけ向けてくれる感情。それが恋なんだって分かって、同じ気持ちなんだって、そう思ってた。
「でも、クウさんの気持ちは私とは違っていた。一緒だったけど、違っていた。クウさんの事取られるって思って、スピカさんの気持ちを隠しました」
離れないでほしくて、彼女のクウに対する想いである証の羽根を取った。クウの気持ちにも、スピカの気持ちにも、真っ直ぐに向き合うのが怖かった。
自信も、勇気も無い。本当は臆病な自分。
「今のままじゃスピカさんと対等になんてなれない…! クウさんの隣にいる事だって出来ない――だから、だからっ!!」
ここでちゃんと向き合わないといけない。
戦う事になったとしても、消滅されるかもしれなくても。
「私だって、クウさんが好きなんです!! このままスピカさんに負けたくないんです!!」
戦いは好きではない。誰かが傷ついてる姿はあまり見たくないし、戦闘も得意ではない。
そんな自分の中で、確かに芽生えた闘争心。負けたくない、引きたくもない、彼女と真っ向から戦いたいのだ。
そうして全てを吐き出したレイアに、サーヴァンが近づいてもう片方の腕を引いた。
「来い」
「あ、あの…?」
「お前の意思は分かった。だが、一人じゃ危険だ。誰かと合流するまでは、俺達が一緒にいてやろう」
「あ、ありがとうございます!!」
サーヴァンの、いや彼らの心遣いにレイアは思わず頭を下げた。
リリスの奇襲を受けて、水浸しとなった廊下。
奥の方でリクがリリスと戦って注意を引き寄せている間に、逸早く回復薬を飲んだカイリは吹き飛ばされたクウとウィドを揺さぶっていた。
「っ、う…!」
「良かった、無事みたい…! クウはこれ飲んで!」
呻き声を上げて起きたクウに、カイリはポーションを口の中に入れ込んだ。
「むごぉ!?」
いきなり口を塞がれた上に、容赦なく中に液体が流れ込む。
回復の筈が呼吸困難に陥るクウの悲鳴を聞きながら、ウィドも身を起こす。
不意打ちで激しい攻撃を受けたのに、痛みはあまり感じない。自分の身体を見ても、大した怪我は負っていなかった。
「そんなに痛くなかった…?」
不思議に思っていると、クウが銜えていた瓶を放した。
「げほっ…! お前の姉さんに感謝しとけよ…? そのロケット、身に付けるだけで属性の技や魔法を軽減させてくれるからな」
「姉さん…」
先程クウから受け取った姉の品に、ウィドは大事そうに握る。
三人が態勢を立て直すと、激戦を強いられているのかリクはリリスの槍をキーブレードで受け止めて叫んだ。
「おい、誰か援護を――!!」
「殺す…私達の邪魔をする奴は全員殺す…っ!!!」
リクの叫びに被せるように、殺気の籠った目で睨みつけるリリス。
この光景を見て、三人の取るべき行動は決まった。
「「「リク、お前(あなた)(リク)の事は忘れない(ません)(から)…」」」
「全員戦う前から見捨てるかぁ!!?」
「邪魔者は殺すっ!!!」
敬礼しながら笑顔で言い切る三人に、ツッコミのようにリクが怒鳴りつける。
そうこうしていると、聞く耳なしと言わんばかりにリリスが三人へと狙いを定めて迫りかかる。
「――ヴァッサー!!」
リクから離れ
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