ビフロンスを支える3つの要所、残る1つ「アル・サード」。
永遠剣士の睦月を始めとした皐月、アビス、イザヴェル、アビス、ヴァイロンがこれの防衛を任された。
城を出立する際に、黒竜となったゼロボロスが仲間を乗せ、西から南へと行動し、ヴァイロンも同じく白龍となって城から東へと睦月たちを乗せて、移動した。
「助かったぜ、ヴァイロン」
「別に構わない。お前たちが防衛の要だ、思い切り暴れてこい」
降り立った睦月が礼を言うと、ヴァイロンは素っ気なく応じた。
彼女の言葉に、笑顔で了承した。
「おう!」
「いくよ、兄さん! アビス、此処は任せるね」
「ええ。二人とも気を付けなさいよ」
先駆けの戦いへと赴く睦月と皐月に軽くアビスが声をかけた。
殲滅する戦闘力に特化している睦月と皐月が前衛、後衛を残りのメンバーに振り分けており、戦闘態勢の鎧装束を身にまとっている。
敵を斬り裂く剣と蹴散らし打ち抜く砲を手に、二人は駆けだし、敵の大群へと交戦を開始する。
「ひとまずはあの二人が抑えてくれるか」
戦い始めた二人を見やりながら、イザヴェルが手持無沙汰と武器の短刀で手遊びした。
ヴァイロンは頷きつつ、
「とはいえ、こっちにも敵は現れる。手抜かりせずに戦わなければな」
「ええ。悠長にしている状況ではないわよ?」
「失礼失礼。―――おっと、さっそくだな」
二人に手厳しく注意された彼は苦笑し、肩を竦めつつも、出現し始めた敵に視線を向ける。
アビスは青いレイピアを、ヴァイロンは武器を持たず素手だった。だが、両腕に白い刻印が、纏うように青い燐光が帯びていた。
今更指摘することもなく、イザヴェルたちも防衛による戦闘開始する。
「―――ハートレス、ノーバディぐらいじゃあこの程度だなぁ…」
戦闘開始して数分。睦月たちは攻め寄せた群体を一通り、蹴散らした。
睦月は永遠剣を担ぎ、欠伸を噛み殺しつつ、気配を探る。
間違いなく敵はあれだけではない。まだ本命ともいえるカルマたちが姿を現していない。
「兄さん、あれ…」
弟の皐月の一声に、彼はその方向へと振り向く。ちょうど自身も感じ取った新たな敵の気配。
敵は悠々と整然とした動きでこちらへと向かってくる、鍵の剣を手に、鎧った騎士たち――KR(キーブレード・レプリカ)――だった。
だが、睦月と皐月はそれぞれの片手で纏った砲を向けて、二人同時に砲撃を放った。
「――前の借りの礼だ、存分に受け取れ。『神悪の炎火(ブルカーン)』ッ!」
更に、イザヴェルも火炎を凝縮して変化した弓矢を射った。
放たれた矢は巨大な破壊の塊となり、先制砲撃と重なり、敵に襲い掛かる。
降り注ぐ暴威を騎士たちは数による防御の魔法で防ごうとするが、
「もっとぶち込んでやる。――『煌星の火刃(マーズ)』!」
散り舞う火の粉が無数の刃となって追撃、続いた砲撃の怒涛の末に、防御の魔法は悉く砕かれ、騎士たちは砲弾と爆炎に包まれていった。
「もう終わったのか?」
頽れていく騎士たちの様を呆気ないと、不満げにイザヴェルが呟く。
「いや……そうでもないぞ」
構えを崩そうとした睦月たちをヴァイロンが諫めるように口走った。
彼らの注目する燻る炎の海から、一人のKRが悠然と姿を現す。
雪白色のフルフェイスと同色の鎧に灯ったような橙色のラインを浮かばせ、熱風靡く真紅色のマントは翼のような形にも見える。
手には鈍く染まった同じ色の鍵剣があり、先ほどのKRたちとは一線を画す力の気配と出で立ちの異様さを、直感で感じ取って、構えた。
「…驚いたな、それなりに練度をつけたKRでもダメだったか」
相対する彼我に張り詰める緊張、黙して身構える睦月たちであったが、それを打ち破ったのは雪白色の鎧をしたKRであった。
しかし、睦月たちを驚かせたのは、その動かないフルフェイスから出る無機質な声なのに、何処か陽気さを感じさせる異質さだった。
現に彼は言い放った言葉と共に、やれやれと言いながら項垂れ、首を振る。
「てめえ……何者だ?」
構えを崩さずに睦月の問いかけを受けた騎士は当然と、名乗る。
「俺? ――俺は、カルマに従属する三神機リヒト。まあ、お前たちの敵、だな―――ッ!」
言い切ると同時に、リヒトは動き出した。
地面を蹴り、地表を滑るようにマントが翼のように広げて、低く滑空するとともに斬り込んできたのだ。
「くっ!」
最初に、剣を受け止めたのは皐月だった。位置から彼が睦月を護るように構えていたことから先頭だった。
そうして咄嗟に受け止めつつ唾競りあいするとともに、具現化した砲身の腕で殴り払おうとする。
翼の騎士は片翼だけで皐月の攻撃を受け止めた―――瞬間、
「う、あぁーー
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