一方のイザヴェルは一人、全力でリヒトの足止めに専念していた。
「ちいっ、キツイな! 本当に!」
連続で繰り出す槍の突きをすべて翼で受け止め、その度に爆発が生じた。
爆発する箇所が『衝撃を受けた箇所』からと見抜いて、槍に炎を纏いリーチを補いつつ、爆撃を受けない間合いで挑む必要がある。
しかし、爆発で穂先が狂い、隙が生じてしまって決定的な一撃も叩き込めない。
狙いすました翼が至近し、防ぐと爆発する攻撃を避けるだけでも一苦労だった。
「待たせた!」
仲間(イザヴェル)の頭上を飛び越え、睦月は永遠剣の力を解放し、究極永遠剣ナースティカの白銀の刃を振り下ろす。
当然、この攻撃を迎え撃つのはリヒトの翼であった。その攻撃をイザヴェルが制止する間もなく刃と翼が激突する寸前だった。
「喰らってやる!!」
斬りかかった睦月の狙いは、捕食能力による翼を『喰い千切る』ことだった。。
刀身が異形の大口を開き、翼を食らいつく瞬間、
「―――!」
翼は突如として形を変える。変形した事で空振りって食らいつけず、睦月は勢いから地面に転がった。
すぐさま身を構え、リヒトを確認する。彼のマントたる翼、盾たるそれが形を何か変えたのか確認しなければならない。
変形した翼は改めて彼の鎧と一体化している。それが何を意味するのかは理解しきれない。
「こういうことさ―――!」
リヒトが言うや変形した翼から熱が集束し、一気に解放される。
「ぐ、がっ!?」
リヒトの前に立って構えていたイザヴェルの間合いを踏み越えるような超加速がブースターによって可能になった。
突進のような勢いと突き出した剣が彼の体を貫いて、勢い止まらず空中へと舞い上がる。そして、地上へとたたきつけられた。
「っ畜、生ぉ……うご、けねえ…!!」
さらには、刀身に纏った炎の剣が杭のように彼の貫いた個所に穿たれており、身動きを止めている。
動く、もがくとすれば、刺された痛みと焼きつく痛みで悲鳴を上げてしまう。
(あのスピードで動き回るってことは)
睦月は直感で自身の守りよりも、次に狙われるであろう者たちの方へと動いた。
すなわち、皐月たちの方だ。身を盾にする事が間に合わずとも吼えて、呼びかける。
「アビス、気を付けろ!!」
「…みたいねっ!」
止まらぬ猛スピードの勢いのまま、眼前へと現れたリヒトの一閃を寸前で既に武器を切り札の創永二刃に持ち替えた事で受け止める事ができた。
どうにか防いだアビスだが驀進の勢いで突き飛ばされ、騎士は再び空中へと上昇する。
その翼から紅い残光に弾かれ、まるで流星のように、しかし凶悪に睦月たちへと襲い来る準備に取り掛かる。
「……大丈夫か?」
「なんとかな」
アビスが無事だった為、睦月は上空に気を向けつつ、刺されて動きが取れなかったイザヴェルを助け起こすにした。
炎の剣で刺し貫かれ、傷口を焼き焦がす痛みを押し殺す声で応じる。
「……だが、どうする」
それでも彼の戦意の火は消えない。そんなイザヴェルの問いかけに、睦月は自身に言い聞かせた言葉を返す。
「斬って、斬り抜いて、斬り返す―――だな」
「ああ、悪くないな。そりゃあ」
実に面白いと愉し気に笑みを浮かべ、
「…俺がどうにか、あいつの動きを止める。その動きを止めた時―――任せる」
睦月は彼を信じて頷き返し、イザヴェルは応えるべく立ち上がった。
彼の周囲、その躰が自身から溢れ出す炎で燃え上がり始める。
「―――……分かった」
その現象に言葉を失いつつも、睦月は自身の務めを果たそうと動き出す。
「イフェスティオ、お前の力を借りるぞ」
自身の姿を見て、言葉を詰まらせていた彼に申し訳なく苦笑を零しつつ、己の契約した悪魔にそう告げた。
そうして、漆黒となった体表に灼熱が纏われていく。完全に炎に包まれ、炎を纏った『それ』は、イザヴェルという男ではない。
まさしく、灼熱の悪魔が降臨したのかという異形となって、変貌した。
「―――ウオオオオオオォォォッッ!!」
胸郭いっぱいに吸い上げ、吐き出すように吼えあげて、その身から溢れ出る炎と熱風を纏って飛び上がった。
生え出た燃える火翼を羽ばたかせて、迎え撃つべく迫り来たリヒトの突進を正面からつかみかかって受け止める。
「なにっ!」
猛スピードで振り払おうとしても、それでも悪魔は粘り強く抑え込む。
「ならば――!」
掴みを振りほどき、握った鍵剣を用いた怒涛の斬撃が振り放たれる。
「ウオオオオァアアアアアーーーッ!!」
斬撃の嵐を迎え撃つべく灼熱に纏う槍を持ちだし、激しく、荒々しく剣槍閃き、斬り合っていく。
斬って、斬られ、突き、突かれ―――今度こそは、とイザヴ
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