神無たちの前に現れたKRとそれらを率いる謎のKR。
有象無象の群体と同時に相手にしなければならない状況の中で攻勢へと仕掛けるKRたちへ黒竜ゼロボロスが迎え撃つ一撃を放つ。
『獄炎弾!』
竜の大口から黒い炎の塊が放たれ、KRらは迎え撃つように鍵剣を掲げる。
攻撃を阻む防壁魔法を繰り出したのか、騎士たちを守り包むバリアとなる。
発動したバリアはまさしく壁となって黒炎の塊を受け止める。
「―――ふん!」
その中でただ一人、リーダー格のKRが手に持つ鍵剣の剣尖を黒竜へ向ける。
黒炎の巨撃を受け止めたバリアが粒子となって、剣に吸収される。剣尖から黒炎が放出、周囲に拡散させていく。
『なんだと!?』
「防御するんだ!」
自身へ襲い来る、跳ね返った攻撃を咄嗟に人の姿に戻り、その前に盾のように現れたブレイズが大剣を振りかざして、拡散した黒炎の攻撃を吸収する。
吸収しきれなかった、遠くへと拡散された攻撃はシンメイやハオスがアル・ファーストにダメージが入らないように防御する。
二人の防御で攻撃は防がれ、シンメイは安堵の一息を零しつつ、
「ゼロボロス! なーに、やっとるか! この阿呆ー!!」
「うるせえ!! 此処まで小回り利くとか聞いてないぞ!」
彼への叱咤に同じく大声で返した。もう、すでに次なる騎士たちの攻勢が始まっていた。
次は氷や、雷、風、果ては光や闇の魔法による砲撃の色めく雨ともいえる大量の魔法が放たれた。
ハオスは攻撃を防ぐ、受け止めるべく剣呑と問いかける。
「シンメイ、防ぎきれるか?」
「誰に問うておる」
どこ吹く風と飄々に応じたシンメイは手にしている白銀の刀身を持つ宝剣を地に刺す。
「――『天津甕星(あまつみかぼし)』」
陶然と唱えるや、刺した地点から大きく陣形のようなものが浮かび、黒金の光壁が立ち上る。
それらは降り注ぐ無数の魔法砲撃を悉く防ぎ、無力化していった。
傍にいたハオスは驚き、唖然とし、どこ吹く風な彼女を見やる。
「ふふ」
唖然と見てきた彼にからかうようにシンメイは小さく笑い返す。
「…魔法技術は基本的なものばかりだけど、数で補ってるみたいだな」
「にしても、数が多すぎるぜ?」
「だったら、減らせばいいんだろうが!」
背後の方が問題ない事を確認しつつ、紫苑が冷静に攻撃を防ぎつつ、敵を分析する。
神無も口では気弱く言うものの、荒げて言ったゼロボロスと一緒に魔法の雨を踏み越えていく。
間合いが近づくとともに、騎士たちは隊列を分けて空中へと飛び上がる。複数に分かれ、空中から同じように魔法による集中砲火を狙おうとしているのだった。
『――そうは、いくかあ!』
再び、黒竜の姿となって飛翔し、砲火に構わず突っ込んだ。
真意は、あえて黒炎を吐き散らさず、その巨躯、爪牙、全てに魔法による強化を施して突撃であった。
猛烈な加速を得た赤黒く輝く巨彗星の如き剛撃に、迎撃や防御の魔法を繰り出したKRたちは、攻防突き破られて、すべて粉砕された。
「……流石に兵士型KRでは荷が重いか」
吹き飛ばされ、降り注ぐ騎士たちの残骸の光雨の中ただ一人、攻撃を見切ったリーダー格のKRが無機質な男の声で淡々と呟く。
そこへ、潜り抜けてきた神無とブレイズ、紫苑が構える。
「…てめえ、随分と余裕だな」
「当然だ。お前たちと戦うために此処に来たのだ」
「既に、お前の部下はあらかた倒したわ」
「だから、どうした。下らない脅しだ」
「では――戦う前に、名を名乗ってもらおうか。『ただの』KR、じゃあない筈だ」
「よかろう」
鍵剣を振り払い、その身から力が溢れ出して戦いの始まりを布告する。
「我が名はアーベント。主たるカルマに従う従属するものなり」
同時に地を蹴り駆けだす。その速さは3人の予想を超えるものだった。
振り放たれた神速の一撃を咄嗟に身を引いた神無と紫苑、残るブレイズは真っ向からその一撃を受け止める。
「ッ……この程度!」
刀身に紅と蒼の炎が纏われ、返しの斬撃を繰り出した。
「―――」
双炎纏う剣と異質の鍵剣が激突する。
瞬間、鍵剣の方へと纏った炎が吸収されていく。
「! なに」
「下がるんだ!」
戸惑うブレイズの後方より神無が魔剣を振り放って黒竜の形をした衝撃波を放つ。
間一髪飛び退いたと同時に衝撃波が騎士に直撃したが、
「……」
攻撃を受けた騎士の鎧に吸い込まれ、鍵剣にブレイズの炎、新たに神無の黒竜のオーラが纏う。
その光景を、神無たちは表情を強張らせつつも、戦意を焚き付けるように武器を強く握り、構えなおす。
「だったら―――これはどうだ!!」
隕石の如く騎士へと黒い竜鱗を帯びた烈脚の一撃が叩き込
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