ハートレスの襲撃に慣れていても、この突拍子もない事件や変化に慣れていないのか一般人である町の人の騒ぎは一向に収まらない。
この光景を、リズはクウと共に窓から眺めていた。
「町中も完全にパニック起こしてるし…これからどうすればいいんだ?」
「私の所為だ…」
「リズ?」
「あの時私が、怪しさ満点の占い師に『男に出来るならしてみろ』なんて言ったから、こんな事になったんだ…グラッセも、あんた達も、この町の人も、みんな私の所為で…!」
苛立ちに任せて放った言葉。それがこんな事態を引き起こすとは夢にも思わなかった。
リズが一人いつものクセで追いつめていると、クウが慰めるように軽く頭に手を置く。
「気にし過ぎだ。それより原因が分かってるって事は、元に戻る方法もあるって事だろ? そいつを見つければ…」
そうやって慰めていると、町の至る所から「ガザザッ」と耳障りな音が鳴り響く。
反射的に二人が警戒を見せると、放送が流れ始めた。
「世界の皆さん、我々の贈り物は気に入ってくれましたか?」
「この声は…!」
「何なんだ、この放送は!? 一体どこから!?」
放送している人物の声を聴き、リズは先程の占い師だと気づく。
そうこうしていると、放送を聞きつけて茶髪のグラッセがシャオ(アンセム)を引き付けて二人の傍に駆け寄ってくる。
「我々は性別による神の信者です。この世界に住むあなた達は、今まで性別を蔑ろにしてきました。男は自分勝手に振る舞い、一部は草食男子として脆弱になり…女は弱い意思から言いなりになり、一部は肉食系女子として横暴になり――…それらの姿に我らの神はお怒りになりました。今のその姿こそがあなた達に相応しいと言うもの。それでも元に戻りたいと思うのならば、これからは男として、女として過ごしなさい。そうしてあなた達が今までの性の在り方を悔い改める時、神は元に戻す事を誓いましょう。我々は常にあなた達を見ていますよ…」
長い演説が終わり、放送が途切れる。
原因が分かり、町の人達はパニックから収まるが困惑しているのか騒めき出す。そんな中、グラッセはふざけた内容の放送に空を睨んでいた。
「そ、そんな…! 何なんですか、あいつら!」
「全くだ。男は女らしく、女は男らしくしろだぁ? そんなふざけた内容…
ちょーありえないんだけどぉ、あんたもそう思わないグラ子〜?」
まるで人が変わったように、口調を変えた状態でグラッセに上目遣いで攻めより出すクウであった。
「あんたにはプライドって物がねえのかぁ!!? 何早速あいつらの言いなりになってんですか!? しかもグラ子ってなんじゃあ!?」
「やだー、グラ子ってば怖いー。そんな小さな事に一々ツッコミ入れるから、小姑とか禿げるとか言われるのよ〜」
「あんた仮にも主人公ポジジョンだろ!? ツッコミ担当だろ!? いい加減にしろよぉ!?」
「グラッセ、落ち着きなさい。とにかく男らしくする為に――おらぁ、誰でもいいからかかってこいや!! 男らしく全員ぶっ倒してやるわぁ!!」
ツッコミ漫才をする二人を差し置いて、リズは二階の窓から飛び降りるなり住人達に向けてキーブレードを構えて宣戦布告してしまった。
「あんたの所為でリズまで変な方向に便乗しちゃったじゃないですか!! どうするんですか!?」
段々と話が拗れていく状況にグラッセがクウに怒鳴っていると、周りにいた人達が一斉にリズに注目を始める。
「お、おい! どうやら俺達で戦って生き残った方が元に戻るみたいだぞ!?」
「本当に!? 元に戻るのは私よぉ!」
「いいや俺だぁ!!」
「ま、まずい! 暴動が起きたぁ!?」
勘違いが勘違いを呼び、我先にとリズに向かう人達にグラッセが頭を抱える。
ここまで事が大きくなってしまえばもはや収集など出来ない。リズを中心に暴動が起き、当の本人は素手で次々と襲い掛かる住人達を殴り飛ばしている。
段々と争いが大きく広がる中で、一人の少女が暴動達の手前で足を止めた。
「どうしよ…これじゃ、この道を通れないよ「どけっ!!」きゃあ!」
立ち竦む少女の背後から男の服を着た女性によって突き飛ばされて地面に倒れ込む。
痛みを堪えて起き上がろうとする少女に、騒ぎを聞きつけてやってきた暴走した住民達が押し寄せて押し潰そうとする。
「――危ない!!」
その時、少女の危機を目ざとく見つけたリズはとっさにトルネドで暴風を起こす。
巨大な竜巻を起こして人々を上空へと退けると(吹き飛ばしたとも言う)、少女に駆け寄って手を差し伸べた。
「大丈夫!?」
「ありがと…助かったよ」
お礼を言いながら、リズの手を取って顔を上げる。
その人物にリズは目を見開く。そして、二階にいたグ
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