ハッキングの済ませた裏路地を移動し、商店街の近くにやってきたのはアクセル、ゼクシオン、クウ、ウラノスの四人だ。
まずはアクセルが裏路地から顔を覗かせながら、あちこちに取り付けられた監視カメラを確認する。
「いいか? あくまでも俺達は女らしくだ…ここから先に出たら、男である事を捨てろ」
「はい。僕ら配属のモーグリが用意した女性用の服です。あなた達はこれに着替えてください、男のままの服じゃ怪しまれます」
機関メンバーのコートは着用者のサイズに合わせて変化できるが、こちらはそうではない。女性となって体格が縮んでしまいぶかぶかのままなので、返って目立ってしまう。
言われるままに二人はゼクシオンから渡された衣装に着替える。ウラノスは白いシャツの上に茶色のカーディガン、丈が足元まである茶色のスカートに黒のストッキングだ。クウはピッタリとした黒の長シャツの上からに半袖と膝元の黒のコート、短パンに膝元まである黒のブーツを付ける。
こうして二人の準備も完了すると、監視される町中へとアクセルが一歩踏み出した。
「よし――行くぞ、お前ら!!」
アクセルを先頭に、町の中へと足を踏み出した四人。
服装を変えたからか、さっきのように信者は出てこない。
それでも油断は出来ない。一旦ゼクシオンは立ち止まると、監視の目を誤魔化そうと女らしく話しかけた。
「見てください、あそこに美味しい漬物屋さんがあります。食べに行きましょ」
「「女が喜々としながら漬物屋に行くかぁ!!」」
「ぶごぉ!?」
直後、クウとウラノスが同時にゼクシオンに飛び蹴りを放った。
「あなた達、漬物をバカにしないでください!! 世界は広いんです、どこかにきっとぼ…私のような漬物galeがいる筈です!!」
「漬物galeって何だよ!?」
「ったく、アホか!! ここは女の心を知り尽くした俺が手本を見せてやる!!」
珍しくウラノスがツッコミを入れる横で、クウが胸を張って立ち上がる。
これまで幾多の女を落としてきたのだ。さすがに女性の好みや行動はここにいる誰よりも分かっている。
早速笑顔を浮かべると、三人に向かって近くのカフェの店を指す。
「ウラノスー、あそこの店にあるスイーツを…ス、スイーツ…――やっぱこっちの激辛料理店に」
「お前も一緒じゃねーかぁ!!!」
激辛料理店に足を運ぼうとするクウに向かって、即座にウラノスが雷付きのチャクラムを投げつける。
明らかに狙ってきた攻撃をどうにか避けると、クウは喧嘩腰にウラノスを睨みつける。
「しょうがないだろ、俺甘いもの嫌いなんだよ!! ってか何すんだよ!! 女にそんな攻撃していいと思ってるのか!?」
「あーら、女同士なら文句はないでしょぉ? ま、あんたみたいな経験もないアバズレには分からないでしょうけどぉ?」
「てめ…ウラノスゥ、その断崖絶壁の胸で何言ってんの? スタイルじゃこっちが圧倒的でしょぉ、その気になりゃワタシだって一つや二つ本気出してやるってのー」
「へぇ、胸が大きければいいってもんじゃないのよ? そんな脂肪タプタプ抱えて、肩凝るでしょ? 服だって一部がギュウギュウで布が可哀想だなオイィ?」
「ちょっとー、欲しい物が無いからって僻みとか止めてくれよー。ってか胸ばっかりじゃなくて他もスタイルいいんだけどぉ? 変態の血筋なのに目の付け所が悪いなあぁ?」
「誰が変態の血筋じゃあ!! 大体なぁ、胸がでかいだけの奴が偉い訳じゃねーぞ!! 今の世の中は貧乳の時代なんだよ、中身なんだよ! 外見で勝負するてめえなんて、寄ってかかるのは身体目当ての男だぜ!! てめえと同じクズな男だ!!」
完全に女言葉が崩れ、しまいには二人の間で火花が飛び散る。
「だったら勝負しようじゃねーか!! 女の俺がお前より上だって証明してやるよ!!」
「上等だ!! お前のようなガサツな女に負ける気はしない!!」
お互いに怒鳴りつけると、二人は怒り心頭のままに足早にどこかへと走り去ってしまった。
「ふ、二人とも何処に…!!」
「水と油じゃねーか、あの二人…」
「――みんな、ちゃんとやってるかなぁ?」
一方、別部隊であるカイリはリズと共に噴水の広場にやってきていた。リズも機関から支給された男性用の服装に着替えている。
素早い動作で監視カメラに機械を付け終え、リズは軽やかに降り立ちながら答える。
「さぁね…と、さあな――う〜、男の言葉って難しい…」
「ふふ。でも、これっていい機会かもしれないよね。男らしさとか、女らしさとか、普段意識してないから。ソラ達には女の気持ちを知る絶好の機会かも」
「そうだな…危ない!」
「きゃ!」
突然リズに抱きしめられ、壁際に寄せられる。
何事かとカイリが顔
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