「全く、油断も隙もない……クウ、もう大丈夫だ。後は俺に任せていい。とりあえずこの書面にサインさえすれば今後の生活も俺が全て面倒を見て」
「待てやぁ!! お前が手に持ってる紙って婚姻届じゃねーか!?」
ちゃっかり名前所か必要な部分まで書いており、後はもう印を押すだけと言う徹底ぶりだ。
「式はどこで挙げようか? あ、衣装はウェデングドレスと白無垢どっちが着たい? 俺はどっちも似合うと思うけどな」
「俺の意見全面無視!?」
男女としての立場が逆転したのを幸いに、籍を入れるだけでなく結婚式まで事を進めようとするスピカ。
しかし、立場が変わっても邪魔者は存在する。
「姉さ、いえ兄さん!! そんな奴と結婚なんて私は断じて認めません!!」
「そうです!! クウさんのお婿さんになるのは私です!!」
「俺泣いていい?」
シスコン…いや、ブラコンであるウィドはともかく、掴みかかるレイアの言葉に男としての心が折れかけるクウ。
一方、スピカは尚も余裕の態度で、睨むレイアへと不敵に笑いかける。
「レイア、残念だがお前は結婚出来る年齢に達してない。女ならあと二年だろうが、男は四年も待たないといけないんだぞ? それまでクウが待ってると思うか? 俺が彼女の心を仕留められないと思うか?」
「よ、四年も…!? う、う、ううううぅ…!!」
長い歳月とスピカの口八丁に、とうとうレイアはがっくりと膝をついてしまう。
「では私とならどうだ!? ちゃんとした大人の姿だ!!」
「シャオォ!! お前のその姿はどう足掻いても受け入れられないからな!?」
代わりに自信満々に詰め寄ったアンセムだが、さすがのクウも拒絶反応を起こす。
ライバルはいなくなり、スピカの圧勝…と思われたが、忘れてはならない障害が一つ残っていた。
「私は嫌です!! こんな奴、『義姉さん』なんて絶対呼びませんからね!!」
頑なに嫁を受け入れようとしないウィド。この妹の様子に、スピカはなぜかクウを引っ張りだす。
「仕方ないな。クウ、こうなったらウィドを納得させるぞ」
「あ、あのー…納得って?」
「あの子は家族に甘い。ならば甥っ子か姪っ子の顔でも見せればきっと考えを改めてくれるはずだ」
「ちょっと待てぇ!!! お前出来婚させる気かぁぁぁ!!?」
「安心しろ、痛いのなんて一瞬で収まるさ。多分」
「それ以前の問題だろうがぁ!!! ひぃ!? ちょ…いやあああぁぁ!!!」
「クウさーーーーんっ!!?」
悲鳴を上げてどこかに拉致られようとするクウに、たまらずグラッセが叫ぶ。
「ねえ。いっその事、もう皆このままでいいんじゃない?」
「母さん!? いや、カイリさん何さらっと恐ろしい事言っちゃってるの!?」
「じゃあ逆に聞くけど、皆男に戻ったとして、男になったリズ達に勝てると思ってる?」
『『『うぐ…!』』』
カイリの指摘に、女性達の誰もが言葉を詰まらせた。
「今でさえ役立たずなのに、男の状態で攫われたり操られたり、お母さん気質だし人の言う事聞かずに自分の思うままに進んで、そんな男がこの真の男達に勝てるって本気で思ってる?」
「そうだな。今なら全員敵側になったとしても全員救えるし世界も守れそうだ」
「止めてアクアさん!! KH3の男性メンツの立場がなくなるぅぅぅ!!!」
男前なアクアの発言に最強と言われるゼムナスやロクサスですらも暗い顔で押し黙ってしまい、グラッセの悲鳴じみたツッコミも止まらない。
そんな中、言われっぱなしだったアクセルが吼えた。
「ええい! 何と言おうと俺達は元の姿に戻るんだ! おい、薬は!? 施設の何処かに元に戻るワクチンがある筈だろ!!」
「そ、それが…ダスクの報告じゃ、それらしいのがないようで」
「はぁ!?」
周りにダスクを従えたデミックスの報告に、思わずアクセルが叫ぶ。
そこで、リズもある事に気づく。
「そう言えば、親玉であるあいつも見てない…一体どこに?」
その時、目の前のモニターに砂嵐が起こる。
全員が画面に注目するとモニターの砂嵐は収まり、最初にリズに話しかけた占い師…大司教が映っていた。
「あ、あいつは!!」
「よくぞここまで辿り着きましたね。あなたの行いは全て拝見させて頂きました」
「ど、どう言う事だ!?」
リズが叫ぶと、大司教はモニター越しにリズの手首を指差す。
見ると、リズが今日付けていたブレスネットの表面に小さな機械が付いている。どうやらそれを使って監視されていたようだ。
手首を掴まれた時か。そう気づいてリズはすぐに壊すが、大ボスに見られていた事実は変わらない。
「あなた達は確かに男として、幾多の試練を手に入れた力で括りぬけてここまで辿り着いた。そして女として生
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