中庭の戦闘から離脱し、オパールは城の通路を走っていた。
誰が何処にいるかは分からない。それでも前に進んで、リクやカイリと合流する為に動くしかなかった。
「――リク!」
ようやく見つけた黒コートの大男に、オパールは叫んで駆け寄る。
その声に、リクも気づく。無事に合流を果たして、膝に手を置いて呼吸を整えた。
「良かった、やっと合流出来た…!」
「無事か?」
「とりあえずはね…あ、中庭側は他の人が当たってるわ。あたし達は別の方を当たってくれって」
「そうか」
当たり障りのないように本当の事だけ言うとリクは頷く。
何だか様子がおかしい。オパールにある女の勘が働く。見る限り、焦っている訳でも悲しんでいる訳でもなさそうだ。
じっとリクを見つめるが、すぐに原因が分かった。
「リリスが現れた。今は他の人が抑えてくれている、すぐに来てくれ」
リクから放たれた発言に、オパールは僅かに息を呑む。
こちらも僅かな動揺に気づいたのか反応を待つが、オパールは顔を俯かせたまま動こうとしなかった。
「どうした?」
「戦わなかったの?」
「戦ってたさ。だが、お前が一人でいるって聞いたら居ても経ってもいられなくて」
「…ッ…!」
思った事を口にすると、歯を食い縛って堪えだした。
「オパール?」
「な、何でもない! なら、早く行かなきゃ! 事情を知らない人が万が一リリスを倒したりしたら、リリィを救えないし!」
握ってた手を振り払い、勝手に先に向かおうとするオパール。
そんな彼女の後姿を見て、思い出す。
心の世界で、リリィを味方でも敵でもない中立な立場を取ってた…その事実を問いただした時に。
「なあ――お前はリリィをどう思ってるんだ?」
離れる背中に疑問を投げかけると、オパールの足が止まる。
僅かな静寂が二人を包む。オパールは背中を向けたまま、口を開いた。
「…友達に決まってるでしょ?」
顔を見せずにハッキリと答える。
リクは反射的に彼女の肩を掴み、目と目を合わせた。
「俺の目を見て、そう言えるか?」
「な…なに、急に…! 何で、そんな事を…!」
「…お前が、一番分かっているんじゃないのか?」
理由は言わない…言えない。
あの心の世界で、触れてはいけない部分を垣間見た。そんな事を言えば、きっと彼女の心を傷つかせるから。
だからこそ、じっと待った。オパールの本心を聞くために。
「――複雑なのよっ!!!」
我慢の限界が訪れたようで、ようやく本心を叫んだ。
そのままオパールは、苛立ちを露わにしてリクを睨みつける。
「あんたには絶対分からない!! あたしがどんな思いなのか!! 友達だし救いたいって思ってる!! だけど、だけど…!!」
友達なのは本当。助けたいのも本当。でも嫉妬の感情だって無い訳じゃない。このままいなくなれば…なんて黒い感情だって抱いてるのも本当で。
見ない振りしていた分、様々な感情がごちゃごちゃになっている。泣きそうなのを堪え、リクのコートを掴んだ。
「ねぇ、リク…教えて……どうして、リリィじゃなくてあたしを選んだの…?」
特別に思われているのは嬉しい。だけど、同じだけ辛くて。
期待した分、裏切られるのも分かっているのに。
選ばれなかった。既に決まった事なのに――願わずにはいられない。
「あたしは、あんたの何なの…!」
「…俺は――」
「オパール!」
リクが答えようとした瞬間、後を追ってきたカイリがこちらに駆け寄ってくる。
だが、その後ろからハートレスが地面から現れた。
「カイリ、後ろ!!」
「えっ?」
オパールが叫ぶが、カイリが反応するよりも早くハートレスが迫る。どうあがいても間に合わない。
直後、黒と白の影がハートレスを両断した。
「ったく、無防備な少女を狙うとはとんだ輩だよな」
「こんな奴に言われるとは、相手も終わりましたね」
「どういう意味だ、あぁ?」
気づくと、クウとウィドが現れており口喧嘩をしている。それでもカイリを守るように両側をキープしている。
そうこうしていると、再びハートレスが辺りに現れた。
「急いでるってのに、うじゃうじゃうじゃうじゃ出てきやがって…!!」
「邪魔するならば、斬り捨てるのみ!!」
素早く二人はキーブレードと剣を構え、同時に床を蹴った。
「ソニックレイヴ!!」
「エンジェルハイロゥ!!」
場所は変わり、結界に守られた町の付近。
ハートレスやノーバディが倒されてあちこち地面が抉れた場所で、ソラとエンが戦っていた。
高速の突きが形成した光の輪によって防がれる。互いの攻撃が弾かれ、ソラは一旦距離を取った。
「…どうして飛ばないんだ?」
「
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