「ブラッディ・ウェーブ!!」
「空衝撃・牙煉!!」
開口一番に、スピカに向かってお得意の衝撃波で攻撃するクウとウィド。
黒と白の衝撃波がスピカのいる地点に激しくぶつかる。だが、当のスピカは無傷の状態で剣を居合に構えながらクウの背後に現れる。
「遅い」
「「そうでもねぇよ!!」」
『一閃』を放とうとしたスピカに、神月とゼツが虹色の日本刀と黒炎の鉄拳で襲い掛かる。
この二人に、スピカは即座に剣を上に振るった。
「風破!」
「「「「うおぁあ!?」」」」
風の壁が作られ、触れた瞬間に歪み空気の爆発が起こる。
そこに高所による暴風も合わさって、近くにいた四人が別々に吹き飛ばされる。
「まだまだぁ!! 擂光槍龍衝!!」
「トリプルブリザガ!!」
陣形が崩れるが、シェルリアの雷光を纏った強力な一突きと、レイアが放った三つの氷塊を繰り出す事でスピカを足止めする。
その隙に、王羅はホーリーコスモスを掲げた。
「白天護光陣」
倒れた四人に、防護の結界と共に回復をする。
安全に回復を行う王羅に、神月は立ち上がりながら声をかけた。
「大丈夫だ、王羅。大した怪我はしてない」
「今の技は凝縮した風を繰り出して、近づいてきた相手に対して間合いを作り出す技…この場所で力は増したとはいえ、ダメージはありません。その証拠に」
同じ剣術の使い手であるウィドが説明し、徐に指を差す。
いち早く行動に出たクウが、スピカとキーブレードと剣で打ち合っている。力押しのクウに対抗する為か、片手剣を両手で握り込んで振るっている。
二人が純粋な剣技だけで戦う中、神月は戦いに加わる事はせずにスピカを観察する。
(仮面が半分…力を制限されている状態でも、あの強さ。本気になったらどうなるか…)
中途半端な支配に、自分も恋人と妹と戦う事を強いられた。そう考えると、今の彼女とかつての自分は近い立場にいる。
だから分かる。今の状況はあまりにも辛くて、とても苦しくて…すごく怖い。
洗脳を受け入れた瞬間、本来以上の力が発揮された。その力を大切な人に向けて傷つけた。
そんな未来を、きっと彼女は恐れている。だからまだ全力を出せられないのだ。
「…それでも、やるしかないんだよな。今までのように」
「その通りですよ、神月。君は…いや、ここにいる者達はそうして未来を掴んできたんですから」
独り言を吐いていると、聞こえていたのか王羅が頷き返す。
ここに集まった者達の中には、同じように世界を守った人達がいた。今と言う時間を繋げてくれた。どんな状況にも屈せず、友や仲間を信じてきた。その心さえ忘れなければ、きっと彼女を救えるはずだ。
気持ちを新たにする神月。そんな中で、クウとスピカは互いに押す事も引く事もなくキーブレードと細剣で打ち合い続け、やがて全力で刀身をぶつけて鍔迫り合いに持ち込んだ。
「さすがだよな、スピカ…! 全然腕は鈍ってないじゃねーか…!」
「…今の内に言って置きたい事があるわ」
「何だよ、言ってみろよ?」
「あなたが出て行ってしばらくした頃に、【組織】の仕来りは壊滅させたわ」
「…ッ…!」
その言葉に、クウが動揺を浮かべる。
「あなたが脱走したあの日から…私達、努力したの。更に力を付けて、あなたを始末しようとした頭首達を失脚させて…――今では私が『組織』の頭首の地位に付いてるのよ!!」
そう語る彼女の話に、耳を疑う。
特別な力を持つと言えども、自分も彼女も組織の一員に過ぎない。上には逆らえず、命令を実行するだけの存在。
そんな彼女が、最高権力…言い換えれば、実権を握る地位についていると言う事になる。
「うそ…だろ…!? じょ、冗談が過ぎるぞ!!」
「ッ――冗談でこんな事言う訳ないでしょ!!」
話を信じないクウに、スピカは苛立ち交じりに押し返す。
「今でもあなたを悪く思う人はいる、でも…――そんな中で、皆であなたの帰る場所作ってたのよ!? あなたを好んでる人はちゃんといるの!! あの場所や絆だって、何もかもが壊れた訳じゃない!! まだ残っているって、そう伝える為にずっと闇の中で待ってたのにどうして見ようともしてくれなかったの!?」
「俺は…!」
それ以上、言葉が紡げない。何か言わなければいけないのに、何も出てこない。
迷いによって僅かに力が緩む。そこを狙いスピカがキーブレードを上に弾き飛ばす。がら空きとなったクウの胴体に、振り被る。
しかし、二人の間で風が切る。気づいた時には、スピカの一撃をウィドが庇うように剣で防いでいた。
「何の話をしているのか私には分からない。だが――大事な話なら姉さんを助けてからにしろぉ!!!」
「そうですよ!! 謝るのも、言い訳するのも、
[3]
次へ
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想
TOP
掲示板一覧
ゲームリスト |
ゲーム小説掲示板
サイト案内 |
管理人Twitter
HOME