それはまだ、幼き日の思い出。
『勇者』と呼ばれる両親に憧れと言う心を抱いていた日々。
―――とうさん! とうさんのかぎ、かっこいいね!
―――へへ、そうか? ありがとな、イオン!
純粋にキーブレードを褒めると、父親は嬉しそうに頭を撫でる。嬉しさのあまり若干力加減を間違えて、少し痛かったのは内緒だ。
ちょっぴり涙目になりながらも笑っていたが、今度は母親へと疑問の眼差しを向ける。
―――かあさんは、とうさんとおじさんとおなじかぎ、もってないの?
―――うん、持ってないの。前に一度だけ、持っていたんだけどね…。
―――ふーん…。みてみたいなぁ、かあさんのかぎ。
そう言うと、母親も頭を撫でてくれた。
でも、その顔は困ったような、寂しそうな…何と言えばいいか分からないけど、とにかく悪い気持ちにさせてしまったって事は覚えてる。
覚えていたんだ。
だけどまさか、こんな形で母さんのキーブレードを拝めるなんて…思いもしなかった。
KRになっても変わらない。真っ直ぐな攻撃を繰り出す。
単純、だが重量はある攻撃をイオンはテレポートで回避すると、背後から炎の魔法を放つ。
巨大な火球が背中にぶつかる。しかし、攻撃に怯むことなくKRソラはキーブレードの切っ先に光を溜め込んで螺旋状の光弾を放った。
「ラグナロク!?」
放った技を瞬時に理解し、イオンは焦る。
だが、イオンに向かってきた光弾は突如現れた氷の壁によって全て阻まれた。
「やって、イオン!!」
「ありがと、ペルセ! ブリザガ・インフィニットガン!!」
防御してくれたペルセにお礼を言い、イオンは冷気の二丁拳銃を作り出し怒涛の連射を叩きこむ。
そこから距離を取った所では、KRカイリは連続で近くにいるフェンデルに魔法を放ってくる。
炎、雷、冷気…だが、フェンデルはそれらの魔法を軽々と避ける。
風のように避けるフェンデルに痺れを切らしたのか、上空に飛び上がると氷の槍を降らせる魔法を放ってくる。
「あなたの魔法は確かに強力、だけど――」
「魔法すらも切り裂く突撃には負けるだろぉ!!! 紅煉神炎槍!!!」
『グレイスアロー』を放ったKRカイリに向かって、後ろで力を溜めていたラクラがエルプシオンを構えて一気に駆ける。
膨大な炎を纏い降り注ぐ氷槍をモノともせずに突っ切り、KRカイリに激突して勢いのまま吹き飛ばす。その先には、丁度KRソラが二人に押されていた。
このままでは不利と感じたのか、近づいた二体は互いに頷いてキーブレードを構える。
「どうやら、あちらもコンビで組んでくるわね…」
「気を付けて、さっきよりも全然違う」
フェンデルとペルセが忠告する。彼女達の言う通り、先程と纏う空気が違う。
「「だけど、二人なら!」」
イオンとラクラは武器を構えなおし、大技を繰り出そうとする二体を見据える。
(ミュロスさんの話では、KRのハートはハートレスから奪った心――人の心を媒介にして動いている)
(ハートレスはキーブレードで倒す事で、囚われた心は元の肉体へと返る。KRもその特性と一緒ならば…こいつの両親を救える!!)
彼らは言わば被害者なのだ。倒す事で助けられるのならば、救えるのならば、遠慮などしない。
相手が全力で迎えるのならば――こちらも同じ事をするまでだ。
二体の持つキーブレードは同時に振り上げて剣先を合わせる。すると、辺り一帯に激しい光が襲い掛かる。
力を合わせる事で出せる協力技――『トリニティリミット』だ。
「ペルセ!」「フェンデル!」
かつて勇者を恨んだ者、勇者に選ばれなかった者が迎え撃つために叫ぶ。
ペルセは前に出て、再び氷壁を出してその光の攻撃を出来る限り受け止める。フェンデルはその身を武器に変化させてラクラの手の中に納まる。
その間に、ペルセの作った氷壁は破壊されてしまう。だが、時間稼ぎはそれで十分だった。
「タイム・オーバー!!!」
「神嵐契彗槍!!!」
捨て身覚悟で繰り出す時の中で行われた斬撃。相棒と共に最大限に風を収束させ、乾坤一擲の一撃。
二人の攻撃は、繋がりによる光を突き破り――心を閉じ込めている鎧を破壊した。
こうして決着がついた頃、シャオは未だにKRリクの相手をしていた。
お互い技の出し合いをせず、刀身をぶつけ合って戦っている。そこから純粋な力量を推し量るかのように。
だが、身体差もあって少女となったシャオは徐々に押されていく。よろめいた隙を付き、KRリクが一気に振り上げる形でシャオの胴体に一閃を入れ込んだ。
「分かってるよ――あなたが強いって事」
しかし、攻撃は頭の付いたニットの帽子を絡め取っただけで終わった。
ニット帽が宙に吹き飛ぶ。する
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