(……神月まで、か)
仮面の女は神無、王羅と相手にしている最中に神月の敗北を悟った。残ったのは自分だけ。
これ以上の戦闘に無駄しかなくなった。だが、それに気付いていない相手は――。
「―――はぁぁっ!!」
眼前に斬りかかるは王羅、挟み打つように迫る神無にカルマは片手で衝撃波を放ち、吹き飛ばした。
「っ!?」
体勢を整え、地に着いた神無、視線を向けた頃には黒いドームのような結界が包み込んでいた。そして、その内側には王羅と仮面の女しか居ない。
その意味があまりにも危険で、危惧していた事を理解し、彼は叫んだ。
「王羅! 逃げろ!」
「くっ……!」
王羅は攻撃をやめ、バックステップで後退した。
「貴女だけでも連れて行くわ」
せめてもの足掻きの間合いも無駄に、王羅に闇を纏って出現した仮面の女は黒き異形の剣を振り上げた。
もう捕まったもの同然、と仮面の女は確信して、彼女を捕らえるべく勢いよく振り下ろした。
「さあ、終わりよ―――!」
「―――」
見斬った。
「!!!?」
繰り出した神速の一閃。それは王羅の『妖刀』―――いや!
「……それ、は…!!」
「僕は、時に二刀振るう」
王羅の右に妖刀、
王羅の左に聖剣、
二刀一閃は仮面の女を縦一文字に迸った。
「おのれ……」
「とどめだ!!」
斬撃の衝撃で、体勢を崩れかけた仮面の女に、追い討ちを仕掛ける王羅。
「今だ―――おっらあああああああああ!!」
結界が揺らぐのを尽かさず、神無の黒き大剣―――『魔神剣バハムート』が吼えた。
巨大な黒龍をかたどった巨龍の牙が結界を食い破り、王羅の元にかけつけた。
「……っ」
追い討ちを防ぎ、王羅を弾き飛ばした。神無は彼女を受け止め、敵を見据えた。
そして、結界が崩れ落ち、暗闇が消え、陽光が照らし出された。
「よくも……仮面を」
仮面が地に零れ落ち、仮面の女の素顔を晒した。空いた片手で顔を覆っていたが、ゆっくりと下ろした。
「な…!」
「……!」
素顔には一刀の斬撃の痕は無かった。だが、その素顔は紛れも無い女性。
澄みきった青の瞳が忌々しげに二人を見据えた。剣を振り払う。その衝撃波が二人へ迫った。
「はっ!」
王羅が両手の聖剣、妖刀で繰り出した斬撃が一閃、衝撃波を斬り捨てた。構えを惰らずに王羅は右の妖刀の切っ先を彼女に向けた。
「それが、貴女の……素顔」
「くっ」
素顔を晒された彼女は忌々しげに顔を怒りにゆがめた。だが、諦めたような顔で剣を虚空へ帰す。
「………戦力も殆ど無くなった今、戦う必要は無いわね?」
彼女背後から闇に拡がった空間が広がる。
「一旦下がるしかないわ」
「神月たちは……紗那たちに倒されたようですね」
「みたいだな」
ほっと胸を撫で下ろす二人。だが、まだ最低限の戦闘姿勢で彼女を見た。
「……戦力なんて、世界広し……また補うか、別のものに注ぐかは私の勝手。そして、貴方たちは私の元まで追いつけるかしら……?」
挑発染みた言葉に、神無は一歩前に出た。それを王羅に止められたが、構わず彼は笑みを浮かべた。
釣られた笑みではなく、受け流した笑みを。
「―――無論だ。てめえの顔、脳裏に焼きついた。ぜったい、世界の果てまで追いかける。そして、目論見ごと『潰す』」
「強気な言葉ね」
「何処へ行こうが、去ろうが、俺たちは何処までも探し出す。お前は絶対に許さない――――お前に『何が在って』もだ」
「!」
「顔も晒したんだ、名前も名乗れ。別に隠す意味もねえだろ?」
「……」
彼女は一歩、下がる。一歩迫って、神無は笑った。
一切の感情を殺した無表情の、凍てついた双眸で唇を動かした。
「―――……カルマ」
「カルマ? それが名前か」
「喩え、顔を知り、名を知り、つれ攫われた仲間を奪い返しても……追いつくことは無いわ。追いつこうが、貴方たちは負ける。絶対に」
神無は構わず笑みを浮かべたまま、無言で返した。
仮面の女――――カルマ―――は開いた闇へと背を沈めて、去った。それを見届けた神無と王羅はやっと静かに剣を下ろした。
そして、最初の戦いは終わった。
神無たちは竜に戻ったヴァイロンの背に乗り、白き大地は粒子のように霧散した(撤退する間際、王羅とローレライが魔法を仕掛けて消滅させた)。奪われた仲間を取り返した。巻き込まれた者も救う事ができた。だが、まだこの事件は終わりすら到達していない。
「……終わったみたいね」
工場跡地。黒くのばした妙齢の女性、神無の妻ツヴァイは戻ってきた白竜、そしてその背に乗る彼らの帰還、彼女は微笑を浮かべて迎えた。
白竜は地に降り立ち、身を屈めた。背から降りてきた神無や、背負
[3]
次へ
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想
TOP
掲示板一覧
ゲームリスト |
ゲーム小説掲示板
サイト案内 |
管理人Twitter
HOME