梅雨も過ぎ、夏本番となった炎天下。
集まった場所は青い海、白い砂浜の海。
プライベートビーチにもなりえるディスティニーアイランドの離れ小島に彼らはいた。
その目的は、海で泳ぐ事――と言う、生ぬるい計画ではなかった。
「と言う訳で、数日後の海開きに向けてのカナヅチ克服作戦を開始したいと思います!!」
「嫌だぁぁぁ!! 俺泳ぎたくなんかねー!!」
「あっ逃がすか! バインド!」
「ギャン!」
「ムーン、あなたの犠牲は忘れません!! 瞬羽――」
「先生、あそこの砂浜に遺跡が埋ま」
「どこじゃ遺跡ぃぃぃーーーーーー!!!!!」
初っ端から色々と騒がしいが、この会話だけでもうお分かりだろう。
今回の舞台が海なのは、カナヅチ設定を持つウィド、更にはムーンを巻き込んで少しでも泳げるようにしようと言う計画の為だ。ちなみに、発案者はリズである。
さっそく逃げようとした二人だが、ムーンはグラッセの拘束魔法で足止めされ、ウィドはルキルの嘘の発言で犬のように両手でそこらの砂を掘り返している。
「ほい、確保っと」
「し、しまった!!」
もちろんそれも長くは続かず、結果クウによって羽交い絞めで拘束される事となる。
しかし、この計画に最初から乗り気でなく逃げ出す程だ。拘束したからと言って、「はいそうですか」と納得する程カナヅチを克服しようとする二人ではない。
「うわああああん!!! はなせぇぇぇ!!!」
「なぜ海なんかがあるんだ川なんかがあるんだ…水なんてこの世からなくなってしまえばいいんです…!!」
「いや、水無くなったら世界中の生物生きられないから」
ムーンは力づくで拘束魔法を打ち破ろうとし、ウィドは珍しくネガティブ発言を繰り出すので、ついクセで思わずクウがツッコミを入れる。
そんなこんなでもう諦めるしかない、と言う状況にも関わらず最後まで足掻こうとムーンはキーブレードを取り出した。
「畜生!こうなったら海と川凍らせてやるわぁぁぁ!!」
「いやアンタ氷魔法苦手でしょ」
「そこじゃないリズ」
ついついグラッセがツッコミを入れるが、ムーンの目はやる気だ。
このまま氷属性の技を習得か――と思われた直後、リズが動く。
「もう面倒だから気絶させるか、えい!!」
「ぐほぉ!!」
「これでOK! さぁ海のど真ん中に投げて「氷壁破!!」うわっと!?」
腹を殴って気絶させたムーンを掴んで海に向かうリズに、突如氷の壁が聳え立つ。
振り返ると、クウに組みつかれたままだと言うのにウィドが剣を取り出して海に向かって切っ先を向けていた。
「その手があったか!! 氷ならば私の出番!! 凍れ――!!」
「おい誰かこのシスコン止めろーーーー!!!」
ここ一帯の海を凍らせようとするウィドに、たまらずクウが叫ぶ。
冷気を開放し、剣に宿す…その一瞬の動作は、リズが行動するのに十分な時間だった。
「男なら覚悟決めなさい!!」
「ぎゃあ!!」
「ぐふっ!?」
何とリズは掴んでいたムーンをウィド(と、組みついていたクウ)にぶん投げて攻撃を阻止する。
そうして気絶した二人に、リズはクウに向かって叫んだ。
「今よクウ! ムーンごと海に捨てて来て!」
「お前コイツ(ムーン)と親友なんだよな!!?」
「おいグラッセ! お前あの二人にツッコミ――駄目だクウ! グラッセの目が死んでる!!」
「ツッコミ放棄すんなぁぁーーーー!!!」
*なんやかんやあって、30分後…
「――このままじゃお前らのトラウマが増えるだけだろうから、リズを抜かしての水泳教室を始める。感謝しろ」
最後は上から目線でカナヅチ二人にクウが告げるが、何も言えなかった。
今のクウは水泳教室と言う事でブーメランタイプの海パンにネックレスや腕輪など付けたチャライ水着姿に着替えているが、リズと交戦したのか露出している身体は傷や痣だらけの痛々しい状態だ。
ちなみに隣にいるグラッセも水着に着替えている。こちらはズボンタイプで首には麦わら帽子を付けている。ムーンも同じくズボンタイプに着替えており、ウィドは水着にパーカーを着ていて結んでいる髪を泳ぎやすいように上に束ねている。
「あーあ、私もムーンやウィドに泳ぎを教えたかったのにー」
「止めてくれ…! これ以上先生にトラウマを植え付けないでくれ…!」
「うへへ…露出の多い水着姿、海で滴る男の身体…教師の立場に託けてこの場に来て良かったわぁ…!!(ムーン、頑張りなさい! これも苦手を克服する授業の一環よ!)」
「もうテルスったらぁ、本音と建前が逆よ? クウと弟に手を出してみなさい。その頭吹っ飛ばすわよ?」
「ひぃ!?」
尚、参観者として入り江の近くでリズとルキル、そして大人
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