交流中に思わぬ事実を知り、打ちひしがれそうになったスピカと陸奥守。
それでもどうにか立ち直り、交流会を再開する。
「さて、次はあんたの番だ。見せてくれよ」
「いいわ――はい。これが私の日記よ」
そう言って、スピカが持参した日記をカヤに渡す。
別の本丸の生活の情報が詰まっているそれを、カヤと山姥切は読み始めた…。
〇月〇日
色々あって、審神者と言う役職に就く事になった。最初の刀剣男子――初期刀では、九州にゆかりがある坂本龍馬の刀、陸奥守吉行を選んだ。
最初は覚えなければいけない事が沢山あるけど、焦らず地道にやっていきましょう。
〇月×日
初めて数日。鍛刀や出陣でそれなりに刀剣達も増えてきた。
そこで歓迎会も含めて、腕によりをかけて料理を作って振る舞ってみた。
すると、全員匂いを嗅いだだけで重傷になってしまった。人が食べる物と刀が食べる物は違うからだろうか? もっと勉強しなければ。
「陸奥守ぃぃぃーーーーーーー!!!??」
読み終わった直後、事の重大性にカヤが絶叫を上げた。
「わしゃ、あんとき綺麗な川と手を振る龍馬が見えたぜよ…」
「お前…!!」
若干遠い目で思い出す陸奥守に、カヤは同情したくなる。
そんな中、山姥切は会話の理由が分からず小声で話し掛ける。
(どういう事だ、主?)
(あの人の作る料理はいわば毒物なんだよ…食べたら最後、生と死の狭間を彷徨いかねない…)
(どんな料理だ!?)
「その頃、料理出来る刀剣がまだいなかったから、色々試行錯誤して料理を作ってたんだけど、どれも駄目で……しばらくして歌仙兼定が来てから、彼が厨担当になったの。刀剣が作る料理を人間である私が食べても何ともないのに。変よねぇ?」
「陸奥守、よく耐えたな…!!」
「なはは…」
カヤの言葉に、陸奥守は力なく笑うだけだった。彼の目が泣きかけているのは気のせいではないだろう。
(主、この人は素なのか!? 素で言っているのか!?)
(残念ながら、素だ)
ツッコミを入れる山姥切にカヤはそれだけ言うと、続きを読みだした。
×月□日
事情があって、一ヵ月ほど本丸を留守にしてしまった。日記も久しぶりに書く。
ここ一週間、鍛刀しても鍛刀しても出陣しても新選刀ばっかりで一向に新しい刀が出てこない。
昨日も来ない今日も来ない明日も来ない蛍丸すら出ない…そんな事を思いながら鍛刀の確認をした所、何と燭台切光忠が出てきた。
まさかのサプライズエンカウントに「みっちゃああああん!!!」と拳を握り込んで叫んだ。本来彼はレア刀ではないのだが、それだけ新しい刀に飢えていたのかとちょっと実感してしまった…。
△月〇日
こつこつ集める予定だったが、ここまで出ないと流石に限界だ。余りにもレア刀が出ないと審神者をやっているカヤに愚痴った所【550/660/760/550】の黄金レシピとオール720のレシピを教えてもらったので実践した。
それでもどう言う訳か新選組と狐と国広兄弟しか出てこない。そんな中、期間限定の演習イベントをしていたら短刀達が傷つきながらも『明石国行』を連れて来た。『愛染国行』を入れていて良かった…本気でそう思った。彼も保護者である明石に凄く喜んでいた。だが、次のステージの検非違使は無理だった。一回進軍しただけで刀装が剥がれて何人も中傷になった。検非違使の怖さを嫌って程教えられた。
「す、凄いな…初めて一ヵ月少しなのに、明石を手に入れられるって…」
「そんなに凄いの? 口を開けば『働きたくあらへん〜』とか言ってるけど」
今頃本丸で愛染とゴロゴロしているであろう明石、通称「ニー刀」をスピカが思い浮かべる。
彼女の様子に、どうやら事の重大性が分かっていないと分かり、カヤが理由を話した。
「普通はかなり先の戦場で手に入るレア刀剣の一振だ。しかも、手に入れるにあたってかなり苦労しなければならない程だから、明石の難民審神者も結構いるんだ…イベントで手に入ったスピカは運がいいよ」
「初めて数日で三日月と小狐丸手に入れたあなたに言われても…」
「だが、その小狐丸も…小狐丸もぉ…!!」
「ご、ごめんなさい! つ、続き読んで! ねっ!」
再び嫌な事を思い出して肩を震わせるカヤに、スピカは先を促した。
△月△日
兼さんが重傷を負いながらも4-1の進軍をしてくれた。すぐに手入れしようとしたが、錬度上げで負傷した刀剣がいた為手入れ部屋は満員だった。10分後ようやく明石が治ったが「まだまだ手入れが必要なんやけどなぁ〜」と言った数秒後、堀川が黒笑浮かべてキレた。
脇差である筈の彼が太刀クラスの明石を床に沈め、即座に兼定を手入れ部屋に入れるという珍妙な光景が見れた。愛の力っ
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