カルマによって無理やり手に入れた新たな武器――反剣。
 彼女はそれを、まるで昔から使っていたかのように軽く振るい、刃を構える。
 その瞬間、スピカは赤い残像となってクウへと突っ込んだ。
「っ…!?」
 とっさに反応して防御するが、甲高い音を響かせながらふっ飛ばされる。
「クウさん!?」
「あ…あぶねぇ…!!」
 立っていた場所からかなり後方に、それこそあと数歩で塔から足を踏み外す位置にまで下がったが、辛うじて踏み止まった。
 そのまま鍔迫り合いをしていると、ウィドがスピカの背中に向けて剣を振るう。
「空衝――!」
 直後、クウの武器をはじき返すようにスピカが横に銃剣を振るう。そのまま流れるように、ウィドに向かってガンブレードの銃口を合わせて引き金を引く。
 発砲と共に銃口から発射されたのは、鉄の塊ではなく、自身の魔力で作った銃弾だ。それでも、ウィドの利き手を貫通するには十分な威力だった。
「ぐ、う…!」
「プロテラ!!」
 負傷した腕を抑えるウィド、少しでも攻撃を軽減させるためにレイアは魔法の障壁を三人に張る。
 防御を固めてから回復を行う。その方法は間違っていない。
「ファイガ」
 だが、スピカはレイアの足元に炎の大爆発を起こす事で彼女を吹き飛ばした。
「うあっ…!」
「レイアァ!?」
 地に倒れるレイアに、クウが叫ぶ。出来た隙にスピカは見逃さず赤い残像を纏うように剣で斬りつけるが、クウはとっさに防御する。しかし、逆に身動きが取れなくなってしまう。
 再び三人が苦戦する中、遠くにいた神月達もまた歪めていた。
「反剣の力が、これほどとは…!?」
「それだけじゃない…彼女は完全にカルマに支配されている。今までとは非じゃないくらい、強くなってる」
 かつて反剣士と戦った事がある神月だけでなく、反剣士であるゼツも不安な眼差しを浮かべる。
 一方、クウはキーブレードだけでなく、白の翼も出して防戦で凌ぐ。反射神経はいい方だが、素早さではウィドやスピカには勝てない。幸いレイアの魔法で防御力は上がっているのだから、反撃を仕掛けるよりも少しでも時間稼ぎをして二人の体制が整うのを待った方が勝算はある。
 そのつもりだった。
「――【瞬光】」
 突然、スピカの身体に光が纏う。
 気づいた時にはスピカは背後に移動しており、クウの防御を打ち破るように見えない斬撃が幾多も襲った。
「うわああぁ!?」
 何が起きたのか理解出来ず、思わず悲鳴を上げる。
 痛みを堪えていると、スピカが剣を床に滑らせていた。
「氷壁破・白――」
「一閃・吹雪!!」
 剣技を発動しようとするスピカを、真上に掬うように回復したウィドが斬りつける。
 クウを助けると同時に僅かに隙が作られると、ウィドは持てる限りのスピードでスピカへと迫った。
「破魔斬!」
 魔力を断ち切る白い斬撃と共に、魔法でスピカにかけられていた強化を打ち破る。
 反撃するウィド、同じように傷を治しているレイア。どうやら、クウの行動は無駄ではなかったようだ。
「後は…!」
 そう言って、クウはレイアより先に『エリクサー』を使って体力共に魔力も全回復する。ここまで来たら勿体ないとか言ってられない。
 攻撃に移る前に、一度レイアに声を掛ける。
「レイア、回復が間に合わないと思ったら『ラストエリクサー』使え。遠慮はいらない」
「で、でも…!」
「…予測しとくべきだったんだよ」
「クウさん?」
「ウィドが心剣の力で強化技習得したんだ…反剣って奴でも、姉であるスピカに習得出来ない訳がなかった…!!」
 唯でさえカルマの所為で強くなったのに、反剣によって重ね掛けで強化されてるのだ。エンの時のように死力を尽くさないと勝てないかもしれない。
 嫌な考えが頭に過ぎっていると、ここでスピカに変化が起こる。
「ぐ、うぅ…!」
「何だ…!?」
「なんだか、苦しそうです…」
 クウが警戒する中、レイアはスピカの呻き声に率直な感想を抱く。
 苦しそうに声を出して、握っている剣の刀身が鼓動のように赤黒く光る。
「――うあああああああああああぁ!!!」
 まるで内から湧き上がる膨大な力に耐え切れないかのように、悲鳴に近い叫びで吼える。
 このスピカの反応にクウ達は身構える中、神月達は彼女に何が起こっているのか理解する。
「まさか、暴走してるのか!?」
「カルマの支配に、反剣の暴走…ここまで合わさったら、もう彼女の意識は…!!」
「最悪…無くなってしまう」
 シェルリアと王羅の言い分は尤もだろう。反剣は心を無理に引き抜いて生まれる――それだけ心に掛かる負担が大きい。だから反剣士となる大半の人が昏睡や暴走になってしまう。
 これだけならまだいいが、今スピ
	
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