「ぜぇ、ぜぇ…! 全然、駄目だ…!」
戦火の上がる城下町で、息切れをしながらソラは立ち止まっていた。
少し距離を離した場所で、エンは今も余裕を持ってソラと対峙している。元々10人以上相手をしても引けを取らなかった相手だ。たった一人で挑むのは無謀だった。
「考えなきゃ…! えーと、こういう場合は相手の行動を予測するのがいいんだよな…?」
何が何でも隙を見つけてアガレス達を捕えている力の源を奪い取らなければ。ソラはとにかくエンの行動を注意深く見る。
すると、ある事に気づく。
(あれ? あのお城にある塔を気にしてる? なんでだろ……あ、そうだっ!)
ここでソラの頭に電球が光るように現れる。ここにカイリやリクなどの幼馴染コンビがいたら「何か悪だくみしてる」と発言するだろう。
事実、ソラは子供が悪戯をするような笑みを浮かべるなり、エンの視線が塔に向いている隙に軽く跳躍する。
「ストライクレイドォ!!!」
「ッ!」
わざと大声で技名を言うと、塔を気にしていたエンが素早く反応してダブルセイバーを前に構える。
すると、ソラはしてやったりとばかりに笑った。
「じゃなくて、新技のメテオレイン!!」
「しまっ…!?」
横からではなく頭上から降り注ぐ隕石に、エンの反応が一歩遅れてしまう。
隕石の爆発に飲み込まれ、エンの手から宝玉が離れる。宝玉は攻撃を受けないようにしていて、そのまま壊れる事無く遠くの瓦礫の近くに転がった。
「へっへーん! 余所見してるのがいけないんだぞー!」
卑怯な手を使って上手く反撃を与えられ、ソラは土埃の前で踏ん反り返る。
それから宝玉へと急いで走るソラ。だがその前に、行く手を塞ぐようにダブルセイバーが垂直に突き刺さった。
「へ?」
「…確かに非があったのは認めましょう」
僅かに振るわせた声に、ソラの背筋から冷汗が流れ落ちる。
ゆっくりと振り返ると、土埃の中からエンが睨んでいた。流石に傷は浅いが、それ以上に彼から只ならぬ気配が漂う。
「も…もしかして、怒ってる?」
「怒ってなどいないっ!! ブラスタースペル!!」
怒鳴りながら、エンは前に苦しめた魔法をソラに発動させた。
「うわあああああん!!! 卑怯な事してごめんなさーい!!!」
次々と襲う炎や氷の激しい攻撃に、ソラは謝りながらリフレガで対処する。
しかし、最初から許す気はないようでまだ雷と風の攻撃が襲い掛かる。
(どうしよう、もう耐え切れないかも…!!)
リフレガの効果が切れかけるのを感じて、ソラが覚悟を決めて残りの光と闇の攻撃を喰らおうと決意した時だった。
「――そのままじっとして!」
数日ぶりに聞いた女性の声に、ソラはハッと顔を上げる。
すると、ソラの元に光の球体が飛んできて、消えかけていた光の障壁が再度構築された。
「アルテマキャノン!」
「サイクロン!」
「ゴーストドライブ!」
巨大な光の球体が、竜巻の斬撃が、円状に突き刺さる刃が自分達を巻き込むように繰り出される。
そうして魔法を掻き消すと、ソラの前にキーブレードを持った三人が降り立った。
「ヴェン、テラ、アクア!!」
思わぬ仲間の登場に、ソラの顔が綻ぶ。
それは三人も一緒でソラとの再会にそれぞれ笑顔を浮かべるが、今は強敵との戦闘中もある為すぐにエンに向き直った。
「他の人から連絡を受けてきたの! 事情は囚われたアガレス達を見つけたローレライ達から全部聞いたわ!」
「エン、彼らを封じた宝玉を返して貰うぞ!」
こうして参戦してくれたアクアとテラがキーブレードを構え、エンと対峙する。
「あ、それならあっちに落ちてる!」
「「「え?」」」
てっきりエンが持っているとばかり思っていた為、ソラが指差した方向に三人は間抜な声を出してしまう。
「取れるものなら取って見なさい! エアロガ!」
「「「うわぁ/きゃあ!?」」」
即座に宝玉を巻き込む様に四人に暴風と化した魔法をぶつける。
威力は凄まじいが、それでもソラは堪える様に留まるとキーブレード持ち上げる。
「取る必要なんてない…! キーブレードで――」
「その隙を与える程寛容ではない!!」
「ならば、そちらも隙を与えなければいいのだろう?」
直後、エンの足に炎の鎖が絡まって引っ張られる。
流石のエンもこれにはバランスを崩して地面に倒れる。鎖の先を見ると、城で戦っている筈の無轟が新しい凛那と炎の鎖を握っていた。
「無轟さん!」
「覚えのある気配がしたから辿ってみたんだ。こんな所で出会えるとは思っていなかったぞ、エン」
「ソラっ!」
「いっけえ!」
暴風が収まり宝玉が宙を浮く。ヴェンが叫ぶと、ソラはキーブレードを掲げ
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