真上には穴の開いた天井。正面は通路を塞ぐ瓦礫。
その前に立ったルキルは、キーブレードを掲げる。
「マグネガ!」
磁力の塊を出すと、瓦礫が引き寄せられるように動き出す。
ある程度瓦礫をどかすと、道が出来た事で数名の使用人がこちらに歩いてきた。手には回復薬の入った籠を持参している。
「ありがとうございます。道が塞がれて困っていたんです」
「これで避難所に薬を届けられます」
「ここは俺達に任せて、早く安全な場所に」
「はい」
リクが言うと、使用人達はそそくさとその場を後にする。
それを見送ると、カイリはルキルの持つキーブレードを見た。
「ルキルが魔法を使えるようになって良かった。私達じゃどうしようもなかったよ」
「ふん」
カイリから顔を逸らすが、少しだけ顔が赤くなっている。どうやら照れているようだ。
「それにしても、酷い有様――」
「あなた達、無事!?」
ついオパールが愚痴っていると、後ろから誰かが降り立つ。
そこにはクェーサー、アトスの姉妹。更にアルビノーレがアルカナを支えて降り立った。
「すまないな…相手の思惑に気づかず戦ってしまった」
「どういう事だ?」
アルカナの訳ありな謝罪に、リクが反応する。
「ああ。相手は俺達と戦う振りをして、下の階層を邪魔建てをする計画だったようだ。その事に気づいた時に、相手は突然撤退した。だが、迷惑をかけた事には変わりない」
「…突然撤退した?」
「皆さん!」
アルビノーレとオパールが話をしていると、今度は中庭で戦っていたイオン達がやってきた。
「イオン、ペルセ、ラクラとフェンデル! そっちは終わったの!?」
「ええ。こっちの戦いが終わったから手伝いに来たの。あら、やっと目が覚めた?」
「…っ…!」
事情を知っていたオパールに答えつつ、目覚めたルキルにフェンデルが声を掛ける。
その時、小さな影がイオンの後ろに隠れる。完全に隠れてないが、やけに小さな身長で長い銀髪をしている。
「えーと、その子は?」
「なんか、見覚えのある服着てるような…?」
「…どうする?」
隠れる子供の姿にカイリとオパールが感想を漏らすと、ペルセが屈んで目線を合わせ後ろに隠れているその子に聞く。
子供は隠れたまま二人にしか聞こえない声でボソボソと答える。すると、イオンは子供を後ろに隠した状態で紹介した。
「えーと、この子はシャオです。詳細は省きますが、女の子になりまして…」
「「「はあああああ(ええええええ)っ!!?」」」
「まあ、驚くよな…」
驚くリク達三人にラクラも乾いた笑みを浮かべていると、アルカナの持つ通信用の栞が点滅した。
「おや、通信が…」
家族に拒絶された悲しみの中、闇へと身を沈める。
やがて見えてきたのは、闇の世界へと続く道。ここを戻れば、暮らしていたあの場所に帰れる。
だけど――進んだら、もう二度と戻れない。
彼がいるであろう、この光の世界に。
(君も黙って行くの?)
帰路を前にして立ち止まっていると、背後から声がして振り返る。
そこには、金髪に緑目の金の刺繍が入った白ローブの青年が冷めた目でこちらを見ていた。
(あなたは…!)
(久々にこっちに戻って来たら、色んな人がいなくなったって事で手分けして探してたんだけど…まさかこんな場面に立ち会うなんて思ってなかったよ。スーちゃん?)
咎めるような視線を浴びせられ、耐えられず目を逸らしてしまう。
(…お願い。行かせて)
(君の立場分かってる? それに、待つって決めたんじゃなかったの?)
(私は…)
(俺だって、会いたいよ。帰って来て欲しいって願ってる…俺の、たった一人の親友なんだ)
遠い目をして腕を組み、彼はそう呟く。
関係性は違えど、会いたいと思う気持ちは自分と一緒だ。だが、一途な感情だけで動けるほど彼も私も子供じゃない。
(だけど、もう俺は離れられない。頭首として【組織】を纏めるスーちゃんもそれは同じだろ)
彼の言う通り、離れる事なんて出来ない立場なのは重々承知だ。
それでも、この願いを叶えたい。
どんなに儚くても、途方もない道だとしても。
親しい者を敵に回してでも。
(ごめんなさい。待ってるだけなの、もう疲れたから。だから、彼を――クウを探しにいく)
(決意は固いんだね…)
心底呆れて、思いっきり溜息を吐く。
そんな彼の様子に、無言で手に力を込める。何時でも戦えるように。
闘志を宿して警戒している中、彼は目を伏せると大きく頷いた。
(分かった――じゃあ、俺からスーちゃんにプレゼントあげる♪)
戦闘になると思っていたが、彼はとびっきりの笑顔で作った。
これに気が抜けている隙に、彼はローブの
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