「クウー、早くー!」
「そんな急ぐなって、スピカ――あだ!」
「ふん、油断しているのが悪い」
「もう、ウィドったら」
新米教師として赴任した学園。
そこで始まる、一年間の生活。
「えーと…確か」
「わ、私…クラス委員長のレイア、です。よろしく、お願いします…クウ先生」
「ふふ、初めての教師はいろいろと大変でしょ。先輩として仕事のやり方とか教えてあげるわよ?」
「いや、スピカは保険医だろ? 俺と仕事が違うっての…」
「大丈夫か、ボウズ? こんな時間までクラブの練習してたら親が心配するぞ」
「大丈夫…親は、ボクの心配なんてしないだろうし」
彼の働く学園以外でも、様々な女性と交流を持つ。
「私、これでも……あなたより、年上です……」
「え…わ、悪い!? 俺より小さかったから、つい…」
「へぇ、巫女さんか…祭り以外で見るなんて思わなかった」
「君こそこんな日に神社に来るなんてよっぽどの変わり者だよ。おっと、紹介が遅れたね。ボクはスズノヨミ、この神社の神主の娘さ」
彼の選ぶ行動が、言葉が、後に影響を及ぼす。
「あ、あの、クウ先生…私、先生の事、クウさんって呼びたいんです!」
「いいぜ、そのくらい。まあでも、学校内や人がいる時は止めてくれよ?」
「あ、ありがとうございます! クウさん!」
「ふふ、久しぶりね。こうやって二人きりで帰るの」
「生徒達に妙な噂立てられないといいけどな…」
「あら、私は別にいいわよ。だって私…私達、幼馴染じゃない!」
「お、お願い! ボクが“女”だって事、内緒にして! 折角お兄ちゃんがレギュラーに選ばれたのに…お兄ちゃんが怪我で入院してるってバレたら、全部無駄になっちゃう!」
「分かった、誰にも言わない。これは、俺とお前だけの秘密って事でいいよな?」
「…っ! ごめんなさい、クウさん!」
「へー、歌手を目指しているのか? そっか、だからこんなに歌が上手いんだな」
「褒められる事では、ないです……でも、嬉しいです……こんな寂れた、バーでも……私にとっては、ステージだから……」
「寂れちゃいないよ。だって、この店にはこんなに綺麗な華がいるんだからよ…そうだろ、ニルヴァナ?」
「ふふ、また僕の神社に遊びに来てくれたの? 折角の日曜日なのに、他に行く所あるだろ?」
「かもな。でも今日は、スズノヨミのいる神社に来たかった。それだけだよ」
「う…何だよ、お前! よくそう言う事涼しい顔で言えるよな…!」
触れ合う事に垣間見る秘密と闇。
「大丈夫か、レイア!? 誰がこんな酷い事を…!!」
「やめ、て…! 言わないでください、クウさん…!」
「だけど!?」
「だって…こんな事、他の人にバレたって知られたら…私、もうこの学校に来られなくなる…!」
「ねえ、私って何時まであなたの幼馴染なの?」
「何を言って…?」
「――私、帰る」
「待てよ!? 何でお前泣いているんだよ!?」
「家では有名校の為に厳しく躾けられてばっかり。このクラブだけが、今のボクを充実させているんだ」
「シャオ…」
「でも、このクラブに本当にいるべきはお兄ちゃんなんだ…だから男装してお兄ちゃんの代わりとして通ってるけど、それはボクじゃなくて…ねえ、ボクって何なの? 分からなくなるんだ…孤独になるんだ、ボク…!!」
「そうだよな。今のお前はシャオでもあり、ツバサでもあるんだよな…」
「ニルヴァナ、あんな奴の言葉なんて気にするなよ」
「いえ、そんな事……だって、事実ですから……」
「でも、俺は…」
「こんな自分、嫌なのに……変わりたい、変わりたいのに……結局分からなくて、何も出来なくて……!!」
「羨ましいな、やりたい事を出来るってさ」
「スズノヨミ?」
「ほら、僕って神社の生まれだからさ。僕がいなくなったら、この神社は無くなってしまう……でも、自由になりたいのも事実でさ。だから君が羨ましいのさ、クウ――って、何言わせるんだよ!?」
「うごっ!?」
縮まる距離、触れ合う心。
彼は誰と結ばれるのか!?
特殊な方法でしかたどり着けない、裏ルート。
「昔々、そのまた昔――この地を守る、神様がおりました。神様はこの地に住む者達に恵みを与えていました。
ある日、神様はその土地に住み始めた人間の子供に恋をした。純粋な心を持つその子供もまた、神様を一目見て好きになった。
村の者達は神様に愛された子供を、祝福しながら神様の元に送った。それに満足した神様は祝福のお礼に、この町に住む子供達の願い事を時折叶えているそうです…めでたし、めでたし」
「その話、この町に伝わる昔話だろ? でもまあ、本当かどうか分からないよな」
「だった
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