*今回書き上げた短編は、私の実録だけでなくKHuxに関して重大なネタバレを含んでいます。ストーリー730をクリアしていない方。もしくはネタバレが嫌いな方は『戻る』をクリックしてください。
KHUxをプレイする予定なんてない。ネタバレは全然構わない。と言う方は、どうぞお進みください。
空き家に潜む影に襲われ、予知者から託された大事な物を奪い取られてしまった。
影は闇に紛れどこかに去り、あとに残されたのは、床に倒れたキーブレード使いの少女と仕替え魔のチリシィのみ。
チリシィは懸命に立ち上がり、よろよろと覚束無い足取りで少女を揺さぶる。
「ストレリチア…」
掠れた声で少女――ストレリチアの名前を呼びながら揺さぶるチリシィ。
ストレリチアも目を覚まし、ゆっくりと上半身を起こしてチリシィを抱きしめる。
けれど、お互い傷が深く、息も絶え絶えだ。
「ごめんね…守れなくて…」
「そんなこといいよぉ……」
二人は涙を零す。命の終わりが近づいているからか、こんなあっけない結末で終わるからか、予知者から託された者を盗まれたからか、それとも…。
せめて、こんな真っ暗な場所ではなく外に出ようと、ストレリチアは残る気力を振り絞り、チリシィを両手で抱きかかえて開けたままの空き家のドアへと歩く。
「…やっぱり」
もう少しで外に出れると言う所で、ストレリチアは思い出す。
それは、ストレリチアの一人の“友人”。パーティに入っている訳ではないし、話しかけた事もない。でも、それなりに同じ時間を過ごしていた。
初めて噴水広場で会った時、遠くから見ていただけだけど何か惹かれるモノがあった。話しかけてみたい、けれどそんな勇気なくて、いつの間にかその人を遠くで見ている日々が続いた。
でも、アヴァ様からユニオンリーダーとして選ばれて、この後の未来やダンテライオンの事を任された。でも、あの人はダンテライオンではない。このままではあの人は戦争に巻き込まれて消えてしまう。
だから今日、ようやく話そうと決心した。消滅の未来は伏せる形でダンテライオンに勧誘して、あの人を消滅する未来から救おう。そう、決意したのに…。
「話したかったな……」
やっと日の当たる場所に辿り着いた、あと一歩で外に出れる所で、ストレリチアとチリシィの身体が消えていく。
もし、会えたら。話せたら。本当の友人に、なれたかもしれない…遠くからじゃなく、隣に、いれたかも、しれないのに…。
こうして――ストレリチアは誰にも知られる事無く消滅して、残った心はゆっくりと空へと飛び去った…。
「――ん?」
噴水広場にて、眼帯を付けた長髪の女性が顔を上げる。
今、誰かに呼ばれたような気がしたからだ。
「どうしたの?」
「……ううん、なんでもない」
パーティメンバーの一人である人物に不思議がられ、すぐに首を振って前を見る。
そこにいるのは、自分のお別れの為に集まってくれたパーティの人達。
自分は1年近く活動してきたこのパーティを離れて、イラ様率いる『ウルコニウス』からアセッド様の『ウルスス』にユニオンを移籍するのだ。
「それじゃ、お疲れ様。あっちのユニオンでも頑張ってね」
「それにしても、元はウルススに所属していたなんて」
「こっちのパーティも長いんでしょ。ずっと居てくれてもいいんだよ」
「そうそう。ウルススなんて毎週ランキング最下位なんだよ? ランキング一位をキープしているウルコニウスの方が優遇いいじゃん」
「アセッド様も、あんまりいい噂聞かないし。前にアセッド様に楯突いてこっぴどくやられたんでしょ?」
労いをくれる者、意外な顔をする者、ウルススに不審があるもの。本当に様々な言葉を送ってくる。
そんな彼らに、苦笑を浮かべて長髪の髪を弄る。
「うん、確かにランキング上位だから色々優遇はいいけどさ…」
髪に付けてある魚座のチャームクラウンをチラリと見て。
「“一番最初”からいたから、自分の中でなんか繋がり切れなかったんだ」
最初は知り合いがそこに所属していたから、ウルススに誘われてそのままパーティに入った。まあ、所属する人数が少なくて今入れば特典が付く、と言うサービスも魅力だったのだが。
それで、ずっとウルススで活動してきた。所属している予知者に悪い噂があろうが、そこに所属する人も悪い、と言う訳ではないのを知っているから。
「それに、ウルコニウスに所属したのもこのパーティに参加したのも、友達がリーダーで誘ってくれたから。でも、そのリーダーももう来なくなっちゃったから…元の所に帰ろうと思う。ごめんね」
再びウルススに所属しようと決めてたが、ウルコニウスでパーティのリー
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